8回目 手を出してくる奴らへの対策
「今回の襲撃、手が込んでる。
見つからないって事は、裏切り者がいる可能性がある」
内部情報を漏らしている。
それによってこちらの動きが筒抜けになってる可能性があった。
「こっちの手口がばれてるなら、何しても意味がない」
だから、それを先に見つける。
「他にも、盗聴器なんかがあるかもしれない」
とにかく内部情報が外に漏れる経路を探す。
見つけてそれを潰す。
必要な道具が揃うまでは、そちらを片付けておく。
「他にやる事もないからな」
「はあ……」
あんまりと言えばあんまりな理由に呆れる。
まず、重要な話は一部の人間でやるようにした。
参加人数が減れば、それだけ漏洩の危険は減る。
それでも漏洩する時はするが、それならそれで犯人は見つけやすい。
情報を知ってる人間は限られてるのだから。
更に、今までとはやり方や配置も変えていく。
警戒装置なども、今まで通りでは意味が無い。
既に相手に何がどこにあるか分かってるかもしれないのだ。
それらの配置を一度変える。
ただ、全部の置き換えは難しい。
なので、本当に一部を変える。
もちろん効果が出るように。
ついでだから、配置の確認もしていく。
死角が出来て監視装置の意味が無くなってる場合もある。
そうなって無いかも確かめる。
そして、人を調べていく。
外部と連絡をとっていそうな者がいないかどうか。
ただ、これは見つけるのが難しい。
だいたいにおいて、何らかの形で外出する者はいる。
言ってしまえば、その全てが疑わしい。
なので、これについては詳細に調べる事は難しい。
短期間では不可能である。
よって、これについては、外出禁止で対応する事にした。
電話や無線機などの通信手段がなければ、これで情報漏洩を防ぐことは出来る。
そうした、現状で出来るだけの対策をして事にあたっていく。
動ける人数は減り、作業の手間は増えた。
「まったく……」
ただでさえ面倒な状況だ。
そこに更に仕事が増えている。
「ふざけやがって」
憤りが沸き起こり、姿の見えない敵に向かっていく。
幸い、配置を変えた監視装置によって、誰がどこから来てるのかは掴めた。
その情報をもとに、ヒロキも動いていく。
相手が逃げ出す前に捕まえ、情報を吐き出させる。
そんな事を何度か繰り返した。
やってきていたのは、この近隣にいた浮浪者。
ヒロキ達の羽振りがいいと聞いたという。
ならば、そいつらから食い扶持を奪おうと思いやってきたという。
「誰がそんな事を」
疑問を抱くが、それについてはさして有効な情報は得られなかった。
浮浪者達も相手の事は知らないという。
ただ、ヒロキ達の話を聞いただけで。
とはいえ、それだけ分かるだけでも十分だった。
どこで話を聞いたのか。
どういう風体だったのか。
それが分かるだけでもありがたい。
出没地域がある程度分かるからだ。
そうなればあとは簡単だ。
「そこを潰せばいい」
物騒な話である。
だが、それで十分なのも確かだ。
「こっちに手を出せばどうなるか。
それが分かれば迂闊な事はしない」
痛い目にあうと分かれば下手な事はしない。
後日。
頼んでおいたものを朽木が持ってきた。
それらを使うことで、ヒロキ達周辺は確かに少しだけ安全を増した。
何せ、接近した者達は見つかると同時に吹き飛ぶのだから。
地雷。
朽木に頼んでおいたものである。
それをヒロキ達は周囲に張り巡らせておいた。
接近すれば誰であろうと吹き飛ばせるように。
監視装置に接続された地雷は、実に効果的だった。
探知すれば相手を確実に吹き飛ばす。
監視してる者によって手動で吹き飛ばされる事もあった。
それでも大半が自動化されてるので、人手はほとんどいらない。
そうして吹き飛ばされた者達を見て、ヒロキ達の所に近づく者は減った。
さすがに命がけで近づくような者は多くは無い。
よほど切羽詰まってる者でも、ヒロキ達を襲おうとは思わなくなる。
どうせ襲うなら、もっと楽な相手の方が良い。
あえて難しい所に挑戦する必要は無い。
身の回りの安全は、こうして確保した。
あとは、問題の根元だ。
「俺たちに手を出したらこうなる」
その結果を、捕らえた連中に見せる。
「こうなりたくないなら、協力しろ」
反対する者はいない。
迷うことなく誰もが頷いた。
<注意>
現実の群馬県、およびその関係する諸々と本作は一切関係はない。