3回目 支援者 2
銃を使ってヒロキは仲間を守るようになった。
襲ってくる敵を倒して。
危ない奴を探して倒して。
やがてヒロキのいる場所はだんだんと安全になっていった。
朽木はそんなヒロキ達に変わらず支援を続けた。
食料や武器を与えた。
必要な知識や訓練も与えた。
時には知らない誰を連れてきた。
それらはヒロキ達にものを教える者達だった。
そうしていくうちにヒロキ達は一つの勢力になっていった。
襲われるだけのひ弱な子供ではない。
襲ってくるなら撃退し、危険と判断すれば襲撃して潰す。
そういう者達になっていった。
全ては朽木との出会いからだ。
それが無ければ、ヒロキの今はない。
生きていたかもあやしい。
仲間もそうだ。
とっくに何人かは死んでいただろう。
実際、朽木と出会うまでには何人も死んでいた。
その連中は今も死ぬことなく生きている。
抗争で死ぬことはあったが、飢えで死ぬような事は無い。
そうなっただけでも奇跡だ。
その奇跡をもたらした男は、今もヒロキ達を支援している。
武器や食料を渡し、やり方を教え。
ただ、以前とはかわってきた事もある。
「今日の仕事はこれでいい。
ごくろうさま」
そう言って朽木は笑みを浮かべる。
「ああ、ごくろうさん」
ヒロキもそう返す。
……これが今までと違うところだ。
仕事。
いつからか朽木はそれをさせるようになった。
町の様子を調べさせたり。
別の地区にいる誰かを処分させたり。
そういった事をヒロキに求めるようになった。
食料や物の対価として。
拒む理由はない。
ヒロキはそれを受け入れた。
そうすれば、普段より多くの物が手に入るのだから。
そんな関係が続いて何年が経ったのか。
今もヒロキは朽木との関係を続けている。
そうしてヒロキは生きている。
同じように底辺を這いつくばっていた仲間と共に。
そんな朽木の正体だが。
それについては分からない。
残念ながら不明だ。
ある程度想像はしてるが。
しかし、答えは分からない。
それでいいとヒロキは思っていた。
何を考えてるのか。
何が理由なのか。
どんな思惑があるのか。
それは分からない。
分からないが、朽木は必要なものを提供してくれている。
それだけで十分だった。
何もしてくれない他の誰かよりは。
例え利用されてるだけだとしても。
それでも構わなかった。
必要なものを持ってきてくれるのだ。
何もしてくれない連中よりもよっぽど良い。
「今回の報酬は後でもってくる」
「頼むよ」
「これは先に渡しておく」
新しい弾丸。
今回使った分を補うのには十分な数。
「助かる」
受け取ってポケットに突っ込む」
「それと、強化服のほうは大丈夫か?
一度使ったなら整備した方がいい」
「そうしたいけど、代わりが無いと」
「安心しろ、ちゃんと用意してある」
そう言って新しい強化服を持ってくる。
ヒロキが身にまとってる身体強化器具だ。
針金のように細い器具が筋肉のようにつながっている。
それを身にまとうことで、身体の動きを補強し、超人的な身体能力を得る事が出来る。
それを脱いで新しいものと交換する。
それから通常の衣服を身にまとっていく。
「じゃあ、これも頼む」
「ああ、しっかり補修してくる」
受け取った朽木はそういって強化服をしまっていく。
「じゃあ、また。
次の仕事も頼む」
朽木のその声に「分かってる」と応えて別れる。
また数日後に会う時まで。
<注意>
現実の群馬県、およびその関係する諸々と本作は一切関係はない。