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12回目 最後の始末

「さて、最後の仕上げだ」

 師匠はそう言ってヒロキを連れていく。

 といっても、特別な場所へというわけではない。

 見慣れた場所。

 ヒロキ達の住処。

 そこへと向かっていく。



 ただ、住処にしてる場所でも、外れにある所。

 普段は滅多に近寄らないような場所。

 そこに師匠はヒロキを導いていく。



「ここで今回の件の決着をつける」

 向かった先にある部屋。

 その前でヒロキに振り返ってそう伝える。

「今までで一番きついかもしれない。

 でも、しっかりこなして欲しい」

 そう言って中に入る。

 ヒロキも続いた。



 中には見慣れた顔が何人かいた。

 ヒロキの仲間だった者だ。

「こいつらが内通者だった」

 師匠は事実を告げる。



「そそのかされたらしい。

 こちらに付かなければ潰すと」

 そう言われて、敵についたという。

「だからこちらの動きが敵に筒抜けだった」



 これを調べるのに時間がかかった。

 朽木が嘘発見器を持って来るまで何も出来なかったのだから。

 それが到着してから一人一人調べた。

 そして判明したのが、この場にいる者達だった。



「こいつらからも情報は聞き出した。

 それで更に分かった事もある」

「他にも裏切り者が?」

「いや、それはここにいる奴らだけだ。

 こいつらが誰と連絡を取り合っていたのか。

 それが分かった」

「もうそいつらは捕まえてるの?」

「まだだ。

 だが、動いてはいる」

「そう」

 それを聞いてヒロキは少し安心した。

 何も手つかずというわけではない事に。



「もう、全部聞き出したの?」

「必要な事は」

「そう」

「あとはこいつらの始末だけだ」

 その声に仲間だった者は泣きわめき始めた。



「頼む、殺さないでくれ!」

「頼む、頼むよ」

「やだ、やだ…………!」

 命乞いが始まる。



 当然だろう。

 裏切りは高い代償を支払う事になる。

 まず無事では済まない。

 それだけ裏切りというのは忌避され嫌悪されている。



 それもそうだろう。

 裏切りはそれだけで大きな損害を与える。

 単純に、裏切った人数だけ勢力が減る。

 更に、その人数がそのまま敵に回る。

 あげく、内部の情報も相手に渡る。

 とてつもない損害だ。



 そんな事をやらかす奴を放置するわけにはいかない。

 例え仲間であっても。

 むしろ、仲間であったから許すわけにはいかない。

 こんな事がまかり通るなら、自分達を守る事も出来なくなる。



 殺し合いが当たり前の場所だ。

 そんなところで仲間を裏切るのだ。

 自分が助かるために。

 そんな事をする奴をそのままにしておくわけにはいかない。



「ふざけんな」

 銃を取り出し引き金を引く。

 命乞いをしていた連中はそれで全員くたばった。

「敵をゆるすわけねえだろ」

 裏切った瞬間にそうなった。

 もう仲間ではない。

 友でなど、決してない。



 昨日の友は、今日の敵。

 敵は決して許してはならない。

 許しは滅びをもたらす。



 倒れた死体を見下ろす。

 憎しげににらみながら。

 もたらした被害。

 そのままにしていたら、もっと増えていた損害。

 あったはずの仲間の死。

 それを倒れた者達の死体と交換した。



「よくやった」

 裏切り者を始末したヒロキを師匠はねぎらう。

「忘れるな。

 それをしなければ、お前が死ぬ」

「分かってる」

 言われるまでもない。



 それをためらう事は無い。

 やらねば自分が死ぬ。

 そんな事を受け入れるわけにはいかない。



「こいつらは敵だ」

 倒した奴らを指して言う。

 それがかつての仲間であったという事など、ヒロキにはどうでもいい。

 許しがたい敵である。

 それが唯一絶対の事実だ。



 だから倒す。

 そんな当たり前の、単純で簡単な話だ。



 そして、倒した奴に同情はない。

 情けなどかけるわけもない。

 ただ、憎悪と怒り。

 それがあるだけだ。



「ふざけやがって」

 それだけを吐き捨て、倒れた者達を片付ける。

 最後の情けというわけではない。

 放置しておけば腐敗して、衛生的な問題になるからだ。



「ドブに放り込め」

 仲間にもそう言う。

 持ち出した死体の処分法法。

 埋めるでも燃やすでもない。

 そんな手間をかける程暇ではない。



 廃棄物処理用の用水路に放り込む。

 それがふさわしい扱いだ。



 底辺に生きる彼らに、墓を建てるなんて余裕はない。

 せいぜい、名前を記して忘れずにいるくらいがせいぜいだ。

 だが、裏切った者にそんな事をしてやる者はいない。

 自分達を危険にさらした敵である。

 ゴミとして処分して終わりになる。



 そうやってゴミを処分して。

 ようやくヒロキ達は今回の問題を終える事が出来た。

 少なくとも、直接手を出してくる奴らは消えた。

 しばらくは平和になる。



 その平和がどこまで続くか分からないが。

 それでも、安心と安全があるのはありがたい。



 ただ、それを全員が受け取るわけではない。

 忙しくなる者だって当然いる。



「それじゃヒロキ」

 師匠が声をかける。

「今のうちに次の準備をしよう」

「これからですか?」

「これからだ」

 当然とばかりに師匠は言う。



「相手も痛手を受けてる。

 しばらくは動けない。

 この間に、出来る事は進めておく。

 それが、勝つための秘訣だ」

 ありがたい言葉である。

 ヒロキは涙が出そうだった。



 これから敵に本格的な反撃が出来る事と。

 これからまた、休む事もなく仕事に入る事に。



<注意>

 現実の群馬県、およびその関係する諸々と本作は一切関係はない。

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