11回目 敵の始末
ヒロキ達にちょっかいをかけてきた連中が誰なのか。
それは既に分かっている。
それらが浮浪者に襲撃されて勢力を減退させている事も。
それを見て師匠は動き出す。
「弱ってる奴らはやりやすい」
敵地に乗り込んだ師匠はヒロキに語っていく。
「こいつらは襲われて人数を減らしてる。
その分、抵抗も小さくなってる」
そんな敵に銃を向けて撃つ。
浮浪者をそそのかして襲わせていた連中だ。
容赦は無い。
対策をしてなければヒロキ達が死んでいた。
それを思えば情けなどかけていられない。
「基本的に全員始末しておいた方がいいが。
生きてるのを捕まえられるなら、それも良い」
何人かまだ生きてるのを集めて、そうも言う。
「そういう奴からは情報が引き出せる。
手段を選ばず何でも引き出せ」
こちらが知らない事を何か知ってるかもしれない。
それが分かれば今後の行動がしやすくなる。
特に背後に誰かがいる場合などは。
浮浪者をそそのかして来た連中だが。
そんな連中も誰かの指示で動いてるかもしれない。
ならば、そういった者達を今のうちに掴んでおきたい。
そうしておけば、今後の対策が出来る。
「最終的には、そいつらを潰す」
「うわあ……」
凄いことをさらっと言う。
そんな師匠にヒロキは、
「出来るんですか?」
「分からん」
尋ねても返事は渋いものだ。
「だが、やらなくちゃならん。
でなきゃ、死ぬ」
その言葉にヒロキはぞっとした。
だが、当たり前の事だ。
やらなければやられる。
数少ない取り分を奪い合ってるのが、この底辺だ。
襲ってくる奴らは倒さねばならない。
でなければ、自分が死ぬ。
「その為に、目の前にいる敵は潰す。
そうすりゃ、相手も手足がもがれる。
そうしていけば、そのうち頭も潰せる」
言いながら師匠は、集めた連中に銃口を向ける。
「とりあえずはこいつらから事情を聞く。
話はそれからだ」
そのやり方は容赦のないものだった。
協力的でない者からは何も聞かなかった。
ただ、延々と拷問を続ける。
素直にしゃべると言ってもそれは止めない。
「最初に反抗した奴はいらん」
最初の態度で全てが決まる。
例えどれほど有益な情報があっても、反抗すれば地獄を味わう。
それをまずは実践してみせる。
それから他の者に尋ねる。
「おまえらはどうする?
素直に言うならもう扱いはもう少し良くなるが」
反発する者はいない。
そこからは順調に進んでいった。
知ってる情報を敵は吐き出していく。
おかげで、知らなかった様々な情報を得ることが出来た。
それが終わってから師匠はナイフを一本放り投げる。
「一人だけ助ける。
最後に残っていたのを」
それを聞いた敵は、我先にナイフに飛びついた。
そして味方同士で殺し合う。
そうして最後に一人が残り、
「ご苦労」
そう言って師匠はそいつを撃った。
「こちらで処分するより早い。
弾丸の節約にもなる」
そう言って。
「あと、大事なことだ」
ヒロキに向かって告げる。
「敵は絶対許すな。
昨日の敵は、今日も明日もこれからずっと敵だ。
味方になる事は無い」
「はい」
「昨日の友が、今日は敵になる事はあってもな」
「分かりました」
その通りだと思った。
敵は決して容赦しない。
それが味方になる事は無い。
そして、自分の所から去った者達が戻ってくる事もない。
仮に対立していた者がすり寄ってきたとしても。
それも内部に入って乗っ取ろうとしてるような者ばかり。
敵は敵でしかない。
味方と言える者は少ない。
そんな敵を信じるつもりはなかった。
「いいか、敵は利用するんだ」
その師匠の言葉が突き刺さる。
「仲間になりはしないんだったら、使い倒せ。
絶対にのし上がらせるな」
「うん」
短く、しかしはっきりとヒロキは頷いた。
<注意>
現実の群馬県、およびその関係する諸々と本作は一切関係はない。




