00 奄美剣星 著 『Go to travel ! 画塾講師Amami』
挿図/Ⓒ奄美剣星「上から目線のAmami(習作 200915)」
どうも、画塾講師のAmamiでぃーす。ここは私の画塾。一番乗りの塾生は高校二年のリボンちゃん。彼女は教室壁際に置いたテーブルの上にある私ののスケッチブックを開いた。
「Amamiセンセイ、自画像ですって? 先日、鏡を見て描くと言っていましたよね? このアングルは無理でしょ。狼少年、いや、狼少女じゃないですか!」
「秘技・幽体離脱」
「センセイは霊能者さんだったのですね?」
「リボンちゃん、私のネット界でのハンドルネームを知ってる? 狼皮のスイーツマンっていうのよ」
リボンちゃんは、ああなるほどと両手を合わせた。
挿図/Ⓒ奄美剣星「画塾教室(習作200912)>
絵画教室の時間まで間がある。私は塾生のリボちゃんとの雑談をした。
「ところでAmamiセンセイ、いくらなんでも、もりすぎでは?」
「これから美少女路線で進めることにする」
「いくらネット読者に本人が見えないとはいえ、この絵姿は増長しすぎです!」
リボンちゃんは腕組みをして頬を膨らましてみせた。
挿図/Ⓒ奄美剣星「アトリエ 200912)」
私はリボンちゃんに声をかけた。
「そういえば〈Go to キャンペーン〉が始まるね」
「Amamiセンセイ、今年はコロナでさんざんだったから、旅行したいです」
「じゃあ、週末、付き合わない?」
というわけで、私とリボンちゃんは秋の一泊旅行に出た。
挿図/Ⓒ奄美剣星「駅 200913」
――駅にて、リボンちゃんによるAmamiの撮影画像――
「Amami先生、読者さんが、モニターの向こうで苦笑してますよ」
「ふふ、知らぬが桜、Amami美少女路線はウケてるはず」
挿図/Ⓒ奄美剣星「港 200916」
目的地の港。私たちは波止場を散策した。風が吹いている。
「あ、帽子が飛んだ」
私が帽子を拾ってくると、リボンちゃんがスマホで撮影した数枚の画像を私に見せてくれたので、ツイッター投稿用にそのうちの一つを転送してもらった。
「Amami先生、パンチラ画像もありますけど」
「このくらいがちょうどいいの。やりすぎるとキモイでしょ」
リボンちゃんは小首をかしげて微笑していた。意味ありげ。見るからに小悪魔な子だ。
ノート20200916