暗闇
自分とは何なのか?
いつも考える
自分は国のために生き国のために死ぬ
どの大人も同じことを言う
僕が物心つく頃には、戦争が始まっていた。
それは失われた旧人類の「英知の結晶」
を求めたものらしい。
この戦争は、もう100年続いているらしい。
僕はそんなくだらない戦争のため、訓練させられる
僕自身、英知の結晶のことを知らない
多分みんなそうだ
戦争批判や政治批判行ったものはみな 殺されたらしい。
さらに 旧人類の政治思想や英知の結晶について書かれた本は燃やされた
国にとって都合が悪いものは消される
僕は戦い方しか知らない。
僕は竜との混血種族 「竜人」 だ。
世間や国は「竜人」のことを人を殺すだけの「大量殺戮兵器」
としか思っていない。
だから戦争批判をするものは「竜人」のことを嫌った。
そして
僕は目を覚ました。
いつもどうり監獄の中だ。
国は敵国に正体が知られないようにと思い 僕ら竜人兵の部屋は監獄の中に作られている
外の景色は全く見えない寒い監獄の中で。
鏡の前に立った。
自分は小柄の体型でまるで女性ののような容姿だったから
新人の看守からはよく間違われた。
髪は白い白銀で瞳は赤色だ。身長は160センチほどで
ほかの兵から馬鹿にされた
背中からは小さい羽が生えている 服に着替えるには少し邪魔だ。
別に羽で飛ぶわけでないし
国は竜人兵のことを秘密兵器として隠していているらしいが
市民からは知られている
「レイ おはよう」
道を挟んで向こう側の牢屋から声が聞こえる
「ん? あぁ おはよう」
それとなく答えを返した
目の前や隣に自分と同じ竜人がいることはわかっている
だが暗くしっかりと顔は見えない。
一度もしっかりあったことがない。
ドゴォーーン!
巨大な爆発音とともに
視界が明るくなった目が痛いほどの光だった
生まれて初めて見た光かもしれない
さっきあいさつした隣人の顔が見えた
だが体は二つに分かれ死んでいた。隣人は僕よりも小さな女の子だった
そして初めて見た人の死だった。
僕は外れた鉄格子から外に出た。
上に空いた穴から空を見上げた
空は真っ青だった本でみたとおりだった
看守はどこにもいない
階段を上り上に出た、だが本で見たような
建物がたくさんあり多くの人で賑やいでいる町ではなく
叫び声と炎にまかれた地獄のような場所だった。
苦しい
大量の煙を吸い込んでいた。
膝から崩れ落ちる
手が震える。見えていた町がゆがみ始めた
強烈な頭痛に襲われそのまま
倒れこんだ体を起こせないまま
気を失った。