034
034
その後、帝都を行く三人の死刑囚は見かけた悪魔を次々と殺していった。
悪魔の中には中級悪魔もいたが、満身創痍とは言え怪物である彼らの前に一分と生きてはいられなかった。
「悪魔は粗方倒したみたいだな」
と、ドロロは辺りを見回して言った。
突如、帝都を囲む壁の外から多くの騎士達が歓喜の声を上げる。
どうやら壁外の戦闘が終わり、騎士団が勝利したようだ。
その歓喜の雄叫びを聴いた三人は足を止め、壁を一瞥すると再び歩き出す。彼らは帝都の中心、皇城に向かって大街道を進む。
血と殺気に塗れ、『英雄』とは掛け離れた獣の如き姿で大街道を進む三人の死刑囚に騎士と民衆は目を奪われる。
先頭を行くドロロの右手には黒山羊の悪魔の首が握られており、彼らが上級悪魔を倒したことを証明するには十分だった。
彼らこそが、噂の『英雄』であると民衆と騎士達は口々にする。
雲の隙間から差し込む陽光に照らされ、大街道を進む三人の姿を見た人々の中には、膝を突き、涙を流しながら手を合わせる者すらいた。まるで神や天使を崇めているかのようである。
民衆と騎士達にとって三人は救世主なのだ。
悪魔との戦争は連戦連敗で、果てには帝都まで攻め込まれ、帝国は滅びかけていた。誰もが諦め、死を待つだけった。
だが、そこに現れた三人の『英雄』の存在。そして、絶望に呑み込まれていた民衆と騎士を救ったのが彼らだった。
民衆の視線を浴びながら歩く彼らは、全身を傷と血に塗れながらも戦い続けた。
人々は感謝を込め、手を合わせる。騎士でも聖騎士でもない三人が、帝国と民衆のために命を賭けて戦ってくれたことに心から感謝した。
多くの人々が三人の死刑囚を崇める光景は、彼らが皇城の中に姿を消すまで続いた。
三人は気付いていない。自分たちが神の如く崇められ、心から崇拝する者が生まれていることに。




