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その罪人に破滅の願いを込めて  作者: たつのオトシゴ
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二作目です。


投稿した前作とは別物です。


ワードからのコピーなので段落などがズレているところがあります。確認したら順次修正します。


追記:いつか書き直したいと考えています。

結構前に書いたものなので、今書くと文体も変わってるかと思います。改めて読み返したら「ここはこう表現した方がいいなぁ」とか「こうした方が面白いかも」とか思うところが一杯あるので、いつか書き直したい。

2020.8.10

 

   000


 大陸の大半を支配する帝国には世界最強と名高い騎士団が存在する。

 その騎士団では剣術、魔法共に優れた騎士には聖騎士の名が与えられる。

 聖騎士の中でも最高位の力を持つ『十騎士』と呼ばれる十人の英雄。

 更にその中でも最強の力を有し、十騎士の頂点、全騎士の将軍である『騎士王』を授かる者の名は――レイ・ルルシオン。


 その騎士王レイ・ルルシオンの右腕が斬り飛ばされた。


 帝国最強と謳われる聖騎士の右腕が奪われた。

 黒雲から雨が降り注ぐ中、彼の右肩口から夥しい量の鮮血を散らす。

 右手に握られながら宙を回っていた白銀の聖剣がザクリと音を立てて地に突き立つ。

 レイは聖剣が突き立った背後を徐に振り返る。

「……皆、どうして」

 彼の背後では十騎士と呼ばれている――呼ばれていた――九人の聖騎士の死体が無残な姿で転がっている。

 ――何故だ。

 と、どうしてこのような結末になったのか、レイには理解出来なかった。

 ――私達は、どこで間違ったのだろう。

 帝国の全兵力を以てしても、十騎士の全員が力を合わせても倒せない悪魔の存在。

 それも、たった一体の悪魔に全滅させられた現実が到底理解出来ない。

 右腕を斬り飛ばされた痛みを気にする余裕も無い。

 レイは視線を前に戻す。

 視線の先には、漆黒の樹を角のように双つ生やした黒い山羊頭に、人間のような肉付きに黒い獣毛に覆われた肢体の悪魔が暗澹とした空気を纏い、立っている。

 不意に、その双角のように生やす漆黒の樹枝が一瞬で伸びるとレイの右眼を貫く。

 右眼を貫通させ、そのまま凄まじい力で放り投げる。彼の体は泥水を撒き散らしながら地を転がる。

 視界の右半分が暗黒に染まり、残りの左半分の視界も明滅を繰り返す。朦朧とする意識の中でもレイは 最後まで戦うことを諦めていない。

「俺は――まだ」

 と、声を漏らして立ち上がろうとしたが右腕を失っていることを忘れていた体は崩れるように倒れる。

 全身に力を入れても起き上がれない体。どうにか左目を動かすと、黒い山羊頭の悪魔が白銀の聖剣を引き抜き、そのまま立ち去っていく後姿を見る。

 帝国最高戦力を以てしても、人類と悪魔の全面戦争の結果は敗北。

 圧倒的な大敗。

 絶望的な戦力差。

 最初から勝てるはずが無かったのだ。

 それでも最後まで闘志を燃やし続けているレイ・ルルシオン騎士王の意識が遂に途絶えた。

 

 全面戦争に敗北した帝国は帝都を残し、最後の砦が陥落した。


 人類の希望は潰え、絶望と敗北の波に呑み込まれていく。刻々と人間の時代は終わりを迎えようとしていた。

 悪魔の軍勢は占領した砦へ――砦の役目を持つ小都市へ――引き返していく。

 奴らは十日もすれば進軍を再開するに違いない。

 人類に、帝国に残された防衛線は帝都を囲む壁のみ。つまり、全ての砦が陥落してしまったのだ。

残るは帝国の中心、帝都だけである。


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