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俺の考えはあたらない  作者: 大空ヒロト
竜介と紅葉
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現実と幻

「もう死んでるの」


紅葉の口から出たのは予想もできないような言葉だった。は、何、意味がわからない。いや死ぬと言う言葉の意味はしっている。でもなんでこいつが?紅葉がもう死んでいる?

でもここにこいつは紅葉は生きた人間として俺の目の前にいるじゃないか。


「は?どういうことだよ…おまえが死んでる?お前はここに生きてるじゃないか!」


「うん、そうだね。生きてるね。でも死んでるんだよ。」


「なにいってんだよ!わけわかんねぇよ!」


「落ち着いて聞いて、竜介君。ここはね幻想…幻の世界なんだよ」


「ま…ぼろし?」


「そう。現実じゃなくて幻。そして現実には私はいないの」


「いない?」


「さっきいったよね。生きてるけど死んでるって。それはこの幻にはいるけれど現実にはいないってこと」


「は!?なんなんだよ。そんなこと信じられるわけねぇだろ!」


「でもこれが真実。たとえば竜介君この世界で事故にあったことあったよね?」


「あ、ああ。あったな…」


「あれ本当は死んでたんだよ。でも私が願ったの絶対に死なないでって」


「なっ……」


「もうほとんど記憶に残ってないとおもうけど、竜介君海で溺れたんだよ。このときも願ったの私、そしたら溺れたこと自体がなくなっちゃった」


「溺れた?俺が…うぅ…いっ…」


頭がいたいズキズキする。


「でもこれが真実だまっててごめんね。最近調子がわるかったのはこの世界が終わろうとしているからなんだぁ」


「この世界が?幻がか?」


「うん」


「幻が終わるとどうなるんだ?」


「もとに戻るだけだよ。嘘がおわって本物になるの。私がいない…」


「それがほんとだとして…じゃあなんでお前は死んでるんだ!!」


「そうだね、それも説明しなきゃね。いまから昔話をするね」


竜介という男の子と紅葉という女の子がいました。この2人は同じ中学で同級生でした。小さな事がきっかけでよく話すようになった2人は3年生のころには恋人になりとっても仲良くすごしていました。小さなことで笑い楽しみとっても仲良く。受験なども始まり、同じ高校に行くため頑張りました。紅葉はとっても頭が悪く大変でしたが。そして2人は同じ高校に進学することが決まりました。2人は高校でも楽しく一緒にすごそうと約束しました。しかしそれは卒業式の日にくずれさりました。紅葉は登校する途中遅れそうだった事もあり走っていました。そして道路を横断しようとしたとき車にひかれてしまったのです。そして紅葉は薄れゆく意識の中竜介のことを考えていました。もっと一緒に、ずっと一緒にいたいと。そして意識をうしないました。この瞬間、世界は光に包まれたそうです。おしまい。


「これが私の死んだ理由。私達はね、もう会ってたんだよ。しかも恋人同士だったんだよ。でも私は死んでしまった。交通事故で…」


紅葉は話ながらぽろぽろ涙をながしていた。


「俺と紅葉が会っていた?恋人同士だった?じゃあなんでなんにも覚えていないんだ」


「わからないんだ。高校であったとき私は竜介君に記憶がないってわかったからきっかけを作るために副委員長に指名したの」


「そ、そうだったのか……」


「信じてもらえるの?」


「正直まだわからないが、たしかに事故にあった時の怪我のすくなさはおかしいと思っていたからな。でも紅葉、もうすぐこの幻が終わるって言ったな。それってさっきからいってるが、もう会えなくなるって事だよな?」


「そうだよ。それどころかこの幻の記憶はなくなっちゃうよ。事故にあって私がいなくなったときにもどるんだよ」


「っ………そんなのぜったいやだぞ!俺がずっと前から恋人同士だったとか知るか!今がめっちゃ良いんだよ!俺はおまえとずっと一緒にいたいんだよぉ……」


「竜介君……でもこれはどうにもならないよ。幻は絶対にいつかきえるものなんだよ。だからね、竜介君。ほんとはもうできないはずだった竜介君との高校生活、残りすくないかもだけど一緒にいままでて1番楽しくすごしてくれないかな?」


1番つらいのは紅葉のはずだ。現実の記憶があるのだから。なのに最後紅葉は笑いながらそう言った。そんな顔をされたら断れるわけないじゃないか。


「ああ、わかった。最後の最後までとっても幸せに楽しく一緒にすごそう。」


「ありがとう…竜介君」



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