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俺の考えはあたらない  作者: 大空ヒロト
竜介と紅葉
13/35

夏の思い出

私は気づくと道にたっていた。真っ暗の中なんでこんな所にいるんだろう?私は何も覚えてなかった。私は誰?おもいだそうとしてもからっぽでなにもでてこない。私は歩く。目的もなくただひたすらに。すると向こうから男の人と女の人があるいてきた。男の人は私をみると近づいてきて言った。

迷子?大丈夫?




夏休みも半分が過ぎた頃、俺達4人はなんとなくあつまっていた。とくにみんな予定がなかったためあつまったってかんじだ。高校生の夏休みだってのに暇な奴が多いことだ。まぁ俺にもいえることなんだがな。とりあえず俺達は涼しいとこに避難するという意味で近くのファミレスに逃げ込んだ。


「あっちぃ~」


海翔は今日これしか言ってない気がする。むりもないんだけど。今日は最高気温37にもとどくというちょー暑いからだ。俺も今日はほんとにつらいと思う。人間、冬になれば寒くてつらいとか言うくせにな。


「そうだな。なにもこんな日にでてこなくてもよかったな」


俺は後悔しながらドリンクバーからとってきたコーラを飲みながら言う。


「え~私は竜介君に会えたしとってもよかったよ~?」


「ぶっ!?そ、そうか」


俺は紅葉の不意打ちにコーラをふきそうになったが素直にうれしかった。……顔が紅くなってないだろうか…


「ほんとに仲良いよね紅葉たち」


「だよな~うらやましいぜ」


なんかいまので顔がやばくなったきがする。紅葉をみると同様にまっかになってうつむいていた。とまぁこんな感じでゲーセンいったりしながら夜まであそんだのだった。まぁそとは暗いから紅葉をおくることになったが。そこでまさかあんな出会いがあるとは予想もしなかった。


「今日はほんとに暑いな」


「だね。夜なのにすごいね」


「でも今日は楽しかった」


「私も~またいこうね」


「ああ」


「あとおくることになってごめんね」


「全然いいからきにすんな。彼氏だぞおまえの」


「うん!ありがと」


俺たちはなにげないことを話ながら歩いていた。


「ん?おい紅葉あれ」


「どうしたの?竜介君」


「あそこにだれかいないか?」


「え?うーんほんとだ~」


そこには俺たちとは反対方向からあるいてくる人がいた。よくみると女の子で小学校低学年くらいだろうか?


「なんかきょろきょろしてるけど迷子かな?」


「そうかもな、1人で危ないし話しかけてみるか。こんばんは、ねぇ迷子?大丈夫?」


「え、誰ですか?」


「ん、俺か?俺は佐藤竜介って言うんだ。で、このとなりにいるのが大山紅葉だ」


「りゅうすけ…もみじ?」


「ああ、そうだよ。それじゃあ君の名前は?」


「な…まえ?」


「そうだよ。なまえ」


「わからない」


「わからないの?」


「うん」


?俺と紅葉は顔を見合わせる。


「じゃあなんでこんな所に1人でいたの?」


「それもわからないの」


「親とかは?」


「わからない」


この子は何を聞いてもわからないだった。俺と紅葉は放っておく訳にもいかないので紅葉の家までつれていった。


「ほんとになにもおぼえてないの~?」


「うん。気づいたら1人で立ってたの」


「そっか~竜介君どうする?」


「どうするっていってもなとりあえずおまえの家で今日は泊めてやれないか?」


「それは全然いいけどさ、この子はなんで何も覚えてないのかな?」


「わからないよ、記憶喪失なのかもしれないし、とりあえず明日いろいろまわって探してみようぜ」


「そうだね」


「じゃあまた明日なえーと名前がわからないとふべんだな」


「そうだね、じゃあ君の名前はるりちゃんだよ~」


「るり?」


「うん、そう。どうかな?」


「るり…るり…うん!とってもいい」


「そっか!」


「じゃあるり、また明日な」


「うん。ばいばーいりゅうすけ!」


「呼び捨てかよ…」


「ふふっ」




そして今俺は紅葉とるりをつれて街を歩いている。るりが記憶喪失ならばいろいろ見ればもどるかもしれないと思ったからだ。それにあるいていれば、親御さんが気づくかもしれないし。


「るり、ここは俺らが通ってる学校だぞ。みたことないか?」


「ううん。しらない」


「そっか~じゃあ次の所にでも行こっか

うん…」


「大丈夫だよ、るりすぐにいろいろわかるって」


そして次の所に向かおうとしたとき向こうから見知った顔が近づいてきた。


「よぉ竜介!それに大山さんも」


「あ、浦部くんこんにちは」


「なにやってんだよおまえこんなとこで」


「いや~ひまだったからさどっかいこうかな~なんて。おまえらはなにやってんだよ、ん?誰だその子?まさかついにおまえらの間に子供が!?」


「でかすぎるだろ!てかなわけねぇだろ!」


後ろを振り返ると紅葉の顔はまっかだ。


「この子はるりっていって…まぁ本当の名前はわからねぇんだけどさ」


「本当の名前?」


「ああ。昨日の帰りひとりで歩いてたんだよ。で、何も覚えてなかったの。だからいまてがかりがないか探してた所だよ」


「警察にいってみればいいじゃねぇか」


「ああ、そりゃ行くがとりあえず探してみようと思ってな」


「ふーんじゃあ俺も行くか」


「そうか、ってなんでだよ!」


「だーかーらひまだからだよ」


「そうかよまーいいけどよ。るりこの人は浦部海翔って言うんだ」


「よろしくな。るりちゃん」


「うんよろしく、かいと」


「よ…呼び捨て…」


「我慢しろ」


「なんかいつものメンバーになってきたね~」


「そうだな」


「こうなったら恵もよぼ~」


「え、おいちょっ」


「もしもし恵~?」


俺が振り返るとすでに電話してる最中だった。こうして15分後事情を聞いた鵜飼がやってきた。


「この子がるりちゃん?」


「るりだよー」


「可愛い!私は鵜飼恵だよ、よろしくね」


「うん、よろしく」


「それじゃあ次の所にいくぞ」


俺達は近くの商店街についた。この辺は、人がいっぱいいるからな。なにかてがかりがあるかもしれないな。


「商店街、私久しぶりにきたよ~」


「そうなのか?俺もあまりこないんだけどな

どうだ、るり。なにか思い当たることとかないか?」


「やっぱりなにも思い出せないよ」


「うーん、でもなんでるりちゃんは記憶がないのかな」


「ほんとだよなぁ事故にでもあったとか?」


「ばか、浦部くんそんなこと冗談でもいっちゃだめだよ!」


「わかってるよ。ごめん」


それから俺達は夕方までいろいろなところを歩き回った。しかしるりの記憶どころかてがかり、話しかけてくる人もいなかった。つまりは、なにもわからなかったと言うことだ。


「だめだったな、結局なにもわからなかったな」


「そうだね…」


「警察にいくか?」


「いやちょっと最後にそう言えばるり気づいたら立ってたっていったよな?それはどこだか覚えてるか?」


「うん。おぼえてるよ」


「そうか、じゃあそこにいってみよう」


俺達は最後の希望にかけた。そしてるりがここといった場所はただの道路だった。まわりにてがかりになるような物はなにもない。と思ったのだがまがり角のところをよく見ると花やいろいろな物が置かれていた。


「おい、みんなこれ」


「なんかあったのか?ここで」


「この辺はあまり通らないから分からないな~」


俺は近くを通った人に聞いてみることにした。


「あの、すいません。そこに花などか置かれていたんですけどなにかあったんですか?」


「あぁそれね。1週間ちょっと前かな事故があったんだよ。残念なことに1人が亡くなってね。まだ小学校低学年位だったと思うんだけどねぇ~」


「っ……!まさかその子は女の子です

か!?」


「そうそう、そうだよ。なんだ知り合いかい?」


「い、いえ。そういうわけでは。ありがとうございます。」


「いいよ、それじゃぁ」


「お、おい今の話…」


「そんなわけあるわけないでしょ!」


「だ、だよなぁ」


「紅葉…今日もるりを泊めてやってくれないか?」


「う、うん。警察は?」


「今日はやめよう、みんなももう帰ろう」


「あ、ああそれじゃあな」


「ばいばい佐藤君、紅葉、るりちゃん」


「ばいばーい」


「それじゃあ俺らも帰るか」


俺はそのあと帰ったふりをして近くの人に聞いてまわった。そうするといろいろなことが分かった。亡くなったのは、近くの小学校に通う2年生大嶋のぞみちゃんと言うらしい。調べていくうちにのぞみちゃんの家もわかった。すこし恐怖があったが俺はたずねてみることにした。


ぴんぽーん


「すみませーん」


「はい?どなたですか」


「おそくにすいません。佐藤竜介という者なんですけどのぞみちゃんのことですこし話をさせてもらえないかなと思いまして」


「のぞみの?」


「はい。ちょっとしたきっかけがあって話をしたりしていたもので」


「そうなんですか。こんな大きなお友達がいたんですね」


「ちょっとまってください今開けますから」


がちゃ


「どうぞ」


おれは家にあがらせてもらった。そして俺は見てしまった。いたるところに飾られた写真。大嶋のぞみちゃんの写真を。それはるりとまったく同じだった。俺は見ていられなくて顔をしたにそらした。


「る、のぞみちゃんはなぜ事故にあったんですか?」


「のぞみは友達の家にいこうとしてたんです。あの子楽しみにしていましたからとっても走ってたんだと思います。そしてあのまがり角のところでとびだしてしまってひかれて……しまっ…」


「すみません。もういいですよ。ごめんなさい」


「もっとあの子といたかったのに話もしたかったのに…」


俺はるりの家をあとにした。俺は帰りながらどう伝えるかなやんでいた。このまま伝えるべきだろうか?でもいつまでもかくし続けてどうなる?何も知らないでずっと探しつづけるのか?俺はなやんだけっかありのままを伝えることにした。るりはとてつもないショックにみまわれるかもしれない、でも伝えなきゃいけないそう思ったからだ。




「みんなこんなに朝はやくにわるいな。るりも大丈夫か?ねむいか?」


「ううん、大丈夫」


「そうか、おまえにとって大事な話だからな。いいか落ち着いて聞くんだぞ。るり、君の名前は大嶋のぞみだ。」


「おおしまのぞみ?」


「そうだ」


「名前わかったの!?竜介君!」


「あぁまあな。」


「そしてここからだ。信じられないかもしれないが君はもう……くっ、亡くなってた」


「え?」


「何言ってるの竜介君!?るりちゃんはここにいるじゃん」


「そうだぞ竜介」


「じゃあこれを見てくれ」


「これは?」


「昨日あのあと花が置いてあった場所、あそこで亡くなった大嶋のぞみちゃんの家でかりてきた写真だ」


「えっ?これって」


「嘘でしょ」


「ああ俺もそう思いたいさでもまったく同じなんだよ!」


「私が死んでる?もう生きていない?」


「るり?」


「うわぁぁぁぁぁぁ~~~~」


「るり!?」


「るりちゃん?!」


「どうしたんだ!?急に!」


「たぶん今のがきっかけで全部記憶がもどったんじゃないかな?」


「いたい、いたいよー」


「そんな、るりちゃん!」


「紅葉が泣いているるりをやさしくだきしめた。まるで母親のように」


「うわぁぁぁぁぁぁんあぁぁーーー」


そのあとも泣きやむまでずっとずっと。




るりはやっと落ち着いてきたようだ。


「大丈夫?」


「う、うん」


「そっかじゃあお母さんに会いに行こうか」


「は?お母さんに会わせるのか」


「そうだよ~だってたぶんそのためにこの子はるりちゃんは現れたんだよ」


「そうか、わかった」


「いいの?私だってもう…」


「いいんだよいこう!」


「うん」


「そうだじゃあお母さんになにかプレゼントしようか。たとえば~似顔絵とかどうかな?」


「うん!したい!」


「じゃあかこうか!」


2人はそう言うと仲良く描き始めた。なんども描き直しながら一生懸命描いていた。そして今るりは絵を持って家のまえに立っている。俺達は遠くからみまもる。


ぴんぽーん


「はーい」


びくっとるりがふるえたのがわかった。


「いまあけますよ」


がちゃ

ドアがひらく。るりの顔が笑顔になった。しかし


「あら?だれもいないじゃない。いたずらかしら」


!!!お母さんはるりにきずかなかった。るりは俺達以外には見えていなかったのだ。だから歩いていてもだれからも話しかけられなかったのか…。るりが泣きそうになった。お母さんはそれにもきずかずドアを閉めていく。その時


「あら、これは何かしら」


お母さんがるりのかいた似顔絵にきずいたのだ。


「これは、私?とても似ているわねぇ誰がかいたのかしら?あら、」


その時お母さんの目から涙がぼろぼろとながれだした。


「どうしたのかしら、うぅ…ひっく」


お母さんは似顔絵をだきしめて家の中にはいっていった。るりがこちらにあるいてくる。

目は赤くなって涙もながれていたけどるりは笑顔だった。


「お母さん、私の描いた絵にてるって…」


「るり…」


「るりちゃん…」


「竜介、紅葉、海翔、恵ありがとう」


るりは俺達にお礼を言うと光りだした。まるできえてしまうかのように。


「またお母さんにあわせてくれてありがとう」


「お、おい」


「るりちゃん…」


「お礼なんていいんだよだからいくな!」


「もうだめみたい。ほんとにほんとにありがとう」


さらに大きな光がるりをおおった。


「るりっ!」


「楽しかったよ」


「るりちゃぁぁぁぁぁぁぁん」


るりは消えた。俺達のなかの記憶ごとすべて。




俺はある道にきていた。花束を持って。なぜここにきたのかはわからない。でもこなきゃいけないそんな気がした。すると


「竜介君?」


「竜介?」


「佐藤君?」


「みんな?どうしてここに?」


「いやわからないんだけどなんかここにこなきゃいけない気がして」


「わたしも」


「おれもだ」


「なんだみんな同じか」


「ここでさ事故があったらしいよ」


「うん。知ってる。さっき聞いたよ」


「安らかにねむれるといいな。ここでなくなった子」


「大丈夫だよ。なんかそんな気がする」


「そうだな」


そう言って俺達はまがり角に花束を4つ置いた。

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