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一章 第二話 高校教師になった俺が生徒に出会うまで

第二話です。感想お待ちしてます。

翌週、入学式がやって来た。俺にしては珍しくウキウキしていると、重大な事に気付いた。


……集合時間がわからない……。


今まで他人に何かに誘われたりした試しがないのでなんら不思議に思わなかったわけなのだが。かといって朝から学校の前をウロウロしていると警察さんのお世話になってしまう(実体験)。

どうしたものかと唸っていると、一つ良い案を思い付く。妹に電話をかければなんとかなるんじゃね?。我ながらダメな兄だと思う。

携帯で櫻と書いてある番号にかけてみる。プルルルル、プルルルル。ちょうど三回目が鳴るかというところで電話がかかる。

『もしもし、お兄ちゃん?久しぶりにかけてきてどうしたの?』

「ん、櫻か。お前今日から高校生だろ」

『えっ……。なんでお兄ちゃんが知ってんの?』

なぁマジで引かなくてもよくないかなぁ。割と傷つくよ本来に。

「いや、家族なんだから知ってて当たり前だろ。俺はお前のお兄ちゃんだからな。……ね、ねぇ。あ、当たり前だよね?」

『まあキモいと思ったけど、お兄ちゃんありがと』

「まあいいってことだよ。でお兄ちゃん見に行きたいから入学式何時からなのか教えてくんない?」

『えっ来なくていいよ。本当に大丈夫だから。っていうか来ないでほしい』

ヘイマイリトルシスターそこまで言われるとお兄ちゃんでもヘコむよ。物理的にも。

「いや俺は行くからな。一応20歳だからな、今年で。保護者も成り立つ」

何故俺が教師のことを伏せているかというと、神谷がドッキリということにしてスタートしたいらしい。

『お兄ちゃんなんか怪しーんだけど。で、でもまあそこまで言うなら教えないこともないけど』

櫻の口調が早口になり、何故か声が大きくなっている。

「頼むよ櫻。教えてよ、ね?」

『わ、わかったよ。一応集合は八時で、八時三十分から入学式開式って言われてるけど』

なにか嫌な予感がする。

「櫻さん今何時でしょうか?」

『七時五十分』

「お前今どこで電話かけてんだよ?」

『ん?学校だけど』

マズイ。非常にマズイ。俺の家から十文字学園駅まではだいたい四十分。今起きたばっかで、最寄りの駅で乗っても間に合わない。

「ハハハ、ハハハぁ。じゃあさきにいろいろしててくれ」

明らかに死んだ声を発する俺の声に櫻が驚愕の声をあげている。

『えーと、ど、どうしたのお兄ちゃん大丈夫?』

俺は心のなかで皆まで言うな、と相槌をうちながら家から飛び出した。



十文字学園に行く電車は最先端の技術者の育成もあり、無人で走っている。俺はそれのデータに割り込みスピードを急激に上げた。幸い誰も乗っていない。そのおかげでなんとか間に合った。ジェットコースターかってくらいに速くてビビったが。

……三十秒前になのだが……。

さあここからが勝負である。どんな風に言い訳しようと考えながら走っていると、やっと入学式を挙げている体育館についた。そしてドアを開けた瞬間チャイムが鳴り、ゲームオーバーを告げる。

生徒や保護者、先生方までもが俺をみてる。何故か探ろうと思う前に明らかな違いを感じてしまった。

この体育館にいる誰もがスーツなどの規則ある服を着ているのに対し、俺はというとジーパンに灰色のセーター、青いトレーナーを着た上に白衣をまとったよくわからない格好をしているのに加え、黒髪はボサボサ、目の下の薄いクマにダルそうな目がかなり目立つ。ただ眠いだけなのにこの注目度はアイドルの素質があったかもしれない。奥のステージの上の神谷だけが声を出さず爆笑しているこの状況に俺より櫻の方が顔が赤い。縮こまった姿が不覚にも可愛く見えてしまう。

いい妹を持ったと天を仰ぐ今日この頃。この登場に加え、神谷からの俺の紹介が面白く体育館が湧いた。勿論当事者の俺もだけど。神谷が上手いフォローでなんとかしてくれたおかげでサプライズということになった。俺の紹介で名前を知らない人はいないらしく、俺的にはいいのだが、櫻が心配だ。馬鹿にされないかなぁ。そんな俺の悩みをよそに、俺が学校で自分の生徒達に馬鹿にされる事実を知るのはもう少し先の話だ。

入学式が終わり、生徒達と教室に戻っていく。先程の職員会議(俺個人専用)でだいたいは把握した。この学校は、一学年百人で五クラスある。通常の高校生の生活とはだいぶ違うらしく、三年間変わらないクラスでテスト結果や内申的なものを考慮の上で、毎回のテストごとに競い合いをするんだそう。さぞかし面倒くさいものだろう。クラスはA組、B組、C組、D組、そしてE 組を飛ばしてF組とあからさまに差別視されているクラスがあることがわかる。

俺の担任するクラスは、入試と内申、理事長の判断からクラスが決めらているなかでも全体的に低いものや性格に難ありな生徒達らしい。

どんな奴等かと考えていると、教室についたようだ。深呼吸をしてからドアを開ける。そこには、輝かしい高校生、とは幾分違うもの達がいる。俺はおはよーと声をかけ、生徒達の反応を観察。何人かの生徒が会釈する程度で特に何も無い。このクラスには、パッと見身長百五重ぐらいから百八十くらいとばらつきがあり、成長する高校生の唯一の面影だろうか。俺のような黒髪から赤髪に金髪、顔だって1人1人違うのに、1つ確かに同じなものがある。


死んでしまったかのような色をうつさぬ目。

かつての俺と同じような目をしている。まぁ今でも俺の目はあまり変わらないのだが…。その目は諦めや活力の忘れさられた、そんなどんよりとした色が濃い目。生徒1人1人の目をみるたびに思う。

こいつらは今までも逃げてきたのだろう。生きるために、また勝ち戻るための逃げではなく、生きないために逃げてきた。逃げ続けていくたび擦り切れ、あげく生きる活力を失った、そんなことが容易に理解できる。なら、俺がしてやれる事は1つしかない。

俺の授業とやらを生徒に聞かせてやろうじゃねーか。




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