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三章 第十三話 俺と生徒たちが異世界での初授業をするまで

第十三話です。なんか設定みたいになっちゃいました……。

「今から魔術についての基本を説明する。分からないことがあったら質問してくれて構わない」

「はい。わかりました先生」

 相川の了承を機に俺は魔術の説明をした。

「まず、第一に魔術という単語や現象自体を見たことがなくても、聞いたことはあるだろう。

その魔術の発動するまでの過程と魔術の条件をまず話す。魔術とはー」

「ここにも黒板ってあるんだね」

「ああ、俺も向こうの世界に行ったときに同じものがあったのにはびっくりしたな~、じゃなくてだな櫻。俺の話を聞いてくれ」

「いよ、兄妹同士のノリつっこみ」

 どっかのお調子者がおだててくる。

「しばかれたくなかったら黙れ」

「う、うす」

 お調子者ってなんでこんなに小者なんだろう。世界的にそう決まっているような気がしてならない。

「先生、授業の再開をお願いします」

「ああ、すまない鈴木」

「魔術とは、自分の体内にある魔力というものを使って発動させる。魔力っていうのは生きてるだけで自然と溜まる。魔力の量は人間も亜人もそこまで大差はない。けど、悪魔とか魔種は亜人の俺やお前ら人間のそれよりも高いものが多い」

「なんで魔種というものと魔力の量に差が出るのでしょうか?」

 相川からの質問である。授業に真面目な生徒たちから同様の質問が多く上がる。

「それはな、魔種の暮らす領土に魔力の根源になる魔素粒子が多く集まる場所、『魔境』が魔種側に多いからだろうな。上級魔族とか言われてるやつらは自分で魔境を創ったりするらしいから」

「なるほど」

生徒たちから説明について了承を得た。次の説明に第三フェイズに以降。

「で、魔力は自己生成と環境生成がある」

「自己生成は自分の体内で、環境生成は自分の周りの環境にあるものを取り込んで体内生成ってことですか?」

「ねえ、俺のセリフ取らないでくんない?」

 相川さん読みが早いのは良いことですが先生にはちょ~おとキツイんですよ、持ち場的に。

「そこで、その生成した魔力を使って魔術を発動する」

「おおおー、イッツファンタジィー!」

「ちょっと黙れよ中二病、後で語り合おう」

 小林君、君ほど話が合いそうな人間も少ないですよ、僕は友達が少ない、ですから~。

「で、魔術の発動条件と種類についての説明をするぞ。

 魔術とは自分の魔力を外に放出するわけなんだけど、そのときに自分の体内から外的環境に

干渉させる必要がある。そのときに使うのが魔術の詠唱で、それが達成されて魔術と呼べる」

「なんか難しそうだな~」

「まあそこまで難しい話じゃないよ櫻」

「先生、外的環境に干渉させる必要があるといいましたがそれは一体どういうことですか?」

 一見問題なさそうに聞こえるところにしっかり質問してくるところに素晴らしさを感じますね先生は、鈴木君。

「う~ん、魔術の暴発、簡単に言うと外的環境に干渉しきれないと自分の体内に放出しきれないと、体内で爆発して重傷、もしくは死亡する」

「マ、マジっすか……」

「俺らの持ってたイメージと全然違うぞおい」

 なんというか、うちのクラスの生徒って結構大物多いよね。さっきめちゃくちゃいい笑顔で『魔術とかいうのでぶっ殺してやる!』とか元気に叫んでる赤髪のヤンキーがいたし。

「まあ簡単な魔術だったら咳き込むくらいだから大丈夫だぞ最初のうちは」

「よかった~」

 生徒方から安堵の声が聞けたところで、次の説明をっと。

「次は魔術の種類の説明だな。魔術には三種類の物ともう一つ特別な奴がある。

一つ目は基本魔術。名のとうり、基本的な魔術だな。お前らが受ける編入試験はこれが一番の評価だと思ってくれよ」

「基本魔術とはどんなものなんですか?」

「うんと、説明面倒くさいから実際に見せるか」

「おおー、リアル魔術」

「うるせーなちょっと黙ってろ。

《魔の宿りしこの体にさらなる力を・『身体強化(フィジカルチャージ)』》からの

パンチ」

 俺は拳に力を集めた。拳の前に魔力の細波が立ち、空間が歪む。筋力が跳ね上がり、拳を勢いよく撃ち放つ。



「あーれれ~おかしいぞ、魔術が出ないぞ~」

 撃ち放った、はずなんだけどな~。魔術が発動しない。

 ……ジト目と、いうのだろうか。初めての感覚だな。全く嬉しくない。

「うーん、悪りい。久しぶりで出なかったは次は真面目にやるから、さ」

「本当なのお兄ちゃん?」

「多分な、まあ見てろ。

《魔の宿りしこの体にさらなる力を・『身体強化』》」

 今度はなんとか発動したっぽい。よかった~もうジト目はいやだし。

「いくぜ、シンプルにパンチ!」

 

ズドドドーン


「ヤバイ、やっちまった……」

 放ったパンチは宙を描いた。はずなんだけどな~。

というか拳を使う必要がなかったことを今になって気づいた。跳躍とかでよかったんじゃね?

 恐る恐る顔を上げ、パンチを放った方向をみる。放った方向にあった壁が吹き飛んでしまった。本当に跡形もなく。

……これはマジヤバイな……。弁償金とかいくらするんだろう。もう逃げちゃおうかな俺。

「これが魔術使用の悪い例だ。真似すんなよ」

「先生、誤魔化そうとしてますよね?」

「なんのことかさっぱりわからないが、授業を続けよう」

 めちゃくちゃ冷や汗をかきながら笑う俺に、相川は呆れてしまったようだ。だって仕方ないじゃん、そうでもしないと俺がサリアにしばかれるし。

「今見せた『身体強化』にもいくつか種類がある。今のは腕の筋力強化で、他にも跳躍強化とか全身強化もある。お前らの覚える基本魔術はこれともうひとつ、《魔力防壁》だ」

「聞く限りだと防御系のものですか」

「そのとうりだ。ちょっとやってみるから見てろ。《魔の宿りしこの体に壁を築け・『魔力防壁』》」

 俺のまわりに魔力による目視できない壁ができる。この壁によって魔術の攻撃を防御できるため、簡単ながらも、即座に使える術として多くの魔導士に愛用されている古い魔術なのである。古いがため、昔からの調整で今ではかなりの防御力を誇るほどまでになった。最も、力は使い手しだいだが。

「まあ地味だがとりあえずはこの二つを覚えるのに専念してくれ」

「「「は~い」」」

 こいつら舐めてんのか? めっちゃ余裕そうなんだけど……。

「で、ここからはプラスアルファなわけなんだが、さっき言った三つのうちのもうひとつ、精霊魔術の使い方だ」

「精霊魔術?」

「体内にある魔力と自分に適正のある精霊の二つを使って発動させる魔術だ。この精霊には属性が九種あって、火、水、風、土、植物、闇、光、生、負の生、が基本的に使える精霊だ」

「あたしたちの中のもそういう精霊ってあんの?」

「ああ、人によって違うけどな」

  精霊といえども、それは魔力の中にある不純物の色というか特徴によって別れるだけなんだけども。

「これも実際にみせるか」

 ジトー……ジトー……ジトー……。

「先生また不発とかないんですよね?」

「う、うん多分ね」

 かなりキツイジト目の数々、まあさっき失敗したし仕方ないか。

「んじゃやっか。まず精霊の流れを具現化する練習だ」

 黒き魔力の波が俺の体を覆う。その波が空気に伝染し、そこら一体が薄っすらと黒き風に覆われた。

「何これ、体から力が……」

 櫻の体がよろめいた。まずいぞ、これは。

「げ、ヤバイ。ジェイド起きろ、久しぶりだからって暴走すんな馬鹿が!」

「ジェイド?」

「俺の相棒みたいなもんだ」

「へ~」

「見せないぞ」

「わかってるよお兄ちゃん。で、さっきの続きお願い」

「わかってる」

 意外に興味があるみたいでよかった。続きをしよう。

「今お前らの力が抜けたのは俺の魔術の影響だ。俺の扱う精霊は闇。お前らも精霊を使って一つの魔術を習得してもらう。人によって違うけど、基本魔術ができればなんかなるはずだ」

「先生、それより質問があんだけどさー。先生はさっきの現象を相棒のせいとか言ってたけど、精霊って自分のなかの魔力のひとつなんだよね?相棒ってどういうこと?」

「……別にいいだろ、そんなこと。それよりもさっきの続きだ」

「そうやって逃げんのかー先生?」

「お前らには関係ない。それと逃げてない。こいつの存在は基本的に伏せとかなくちゃいけないんだよ」

「なら聞かない。そっちの都合もあるだろうしな」

「わかってんなら聞くんじゃねー」

「わかってますよー色々と」

 だいぶ引っ掛かる柳場のもの言いだったが今は置いておくとして。

「それと闇の精霊属性の奴がいるかもしれ手ないから一応言っとくと、今の魔術は『ダークスモーク』って名前ので、自分の闇の魔力を放出することで相手の魔力に反応させて行動を鈍らせるっていうか痺れさせる、って芸当だ。割と簡単だしすぐにできるようになると思うぞ」

「でもさっきのってお兄ちゃん、詠唱?っていうのしてなかったよね。どういうこと?」

「一応説明しとくか。魔術は基本、詠唱によって出すが、詠唱には詠唱改変と呼ばれるものがある。詠唱を大体同じ意味になるようにして威力を上げたり、命中率を上げたりな。それに基本の詠唱を新しく区切ったり、間延びさせたり、一部消したりしただけでも魔術は変わる。魔術は一節だけでもできるけど、この改変が短くなればなるほど、命中率が落ちる代わりに早く発動できるようになる。

今俺がやったダークスモークで詠唱がなく発動できたのは、詠唱改変のその上、意識改変だ。意識改変とは、自分のなかにあるその魔術への意識をより明確にすることによって成功する。まあさっきの俺の奴はなんとなく脳に強く残ったこの魔術に対しての意識が強くて無意識に出ちまったんだろうな。詠唱改変と意識改変の説明はざっとこんなもんだ」

「ちょっと難しい話になってきましたね先生」

 ここで喋ったのはさっきまで完全に背景化していた佐藤だった。ヤバイ完璧に忘れるところだった。

「ちなみにダークスモークの詠唱とは?」

「ああ、行くぞ《黒き闇の風・濃くして煙になり・世界を覆いたまえ》、ダークスモーク!」

 俺は魔術を発動した。さっき発動したときと同じように黒い霧が生徒の前に行ってところで、

「《消え失せろ・発動を却下》」

 そこでダークスモークは一瞬で消えた。

「先生、今のは?」

「魔術改変ってやつだな。お前らも自分の発動させた魔術なら自分の魔力を使ってこういうこともできる。それこそ今みたいに消すんじゃなくて、新しいのを被せたりもな」

「奥深いというかなんというか……」

「でもさっきのじゃ自分のは消せないぞ、さっきのはー」

「詠唱改変、ですか?」

「そのとおりだ。よくわかってんじゃん」

「先生の授業の賜物、とでもいっておきましょうか」

「そらどうも。よし、お前ら訓練開始だ」

 そうして1―F組の面々は行動を始めるのだった。




少し長めになってしまいました。次の投稿もよろしくお願いします。

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