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『愛しき全ての人たちに――3』




『光の高原』




 光の高原は人が結婚するときだけに来る場所。

高原の全てが白い光を放って輝き、すごく綺麗で、ほかの場所よりも高いから、ブレンダンの景色を一望できる。

左の眼下に広がる緑光の草原、遠い街並みに輝くのは衣装や光のポワポワたちの光に、湖や山の広大な風景。

反対にある透明な鏡の向こうにも、同じ風景が広がっているから、どこを見ても光に包まれている。

淡い白光を踏みしめながら、私とトキは高原の風景を一望する。

「わあ!すごい光ー、真っ白!」

「いや、白い光は綺麗だけどよ。俺の身になってみろって、君のドレスも白光だろ?身体無くなってんじゃねえか」

「え?なくなって見える?」

 私が慌てて自分の身体を確認するとトキがひっひって笑い出す。

「見なくても分かれって、色ちょいちげえだろ!イカレたイオ」

 イカレたイオ?

「あー、その呼び方忘れてなかったんだ!イカレたイオって、私ね、それイヤ」

「おーそういや久しぶりか、君に会った時はよく言ってたよな、イカレたイオちゃんって」

「ちゃんなんて付いてなかったもん。ちゃんが付いててもヤだけど!」

「いいから、アレ聞きに行こうぜ。結婚する時聞けるんだよな」

「うんっ!ね!楽しみ」

 光の高原には、歌人と語り部の一組の夫婦がいる。

妻は歌人、夫は語り部と決められていて、次のその組み合わせが見つかるまでは別れられないから、高原に必ず一組はその夫婦がいて、結婚する時にしか聞けない歌と話をしてくれる。

恋人は、二人で光の高原に来てそれを聞き終わったときに結婚したことになる。

 高原で聴ける歌は最も愛しい人を見つけたことをミレに伝える歌で、女性の歌人が歌ったあと結婚する二人で歌う。


その際、『小さき歌、かなみたる歌』って枕詞が少し変わって、『愛しき歌、かなみたる歌』で始めるのが慣例らしい。

順番を待ってから、私とトキはその暖かな調べを歌い終わり、最後に語り部の話を聞く。


語り部の男性の話はちょっとだけ辛い話だった。

 どんなに深い恋や愛でも二百年経ったら、光球になって消えてしまう。

しかし、その二百年すら保たない愛は非常に多く、ここに来た沢山の者たちがまたこの高原を登ることになる。

愛されてるからと言って、努力と美しさを忘れることなかれ、愛しているからと言って、相手の想いに目を塞ぐことなかれ。

お互いに愛し、そして愛される自分でいなさい。

 …………語り部の話は、そんな話と、それの元になった二百年を添い遂げた二人の伝承で締めくくられた。

 二百年の愛、それは簡単そうに聞こえて、すごく難しいこと。

ブレンダンでの結婚は、お互いが愛してる間だけするもので、そのほとんどが一年保たないって言われてる。

ブレンダンは沢山の異性が居て、結婚は何一つ相手を束縛するものではないから、ちょっとケンカしただけで別れちゃう夫婦も多い。

だから二百年は大変なことなんだ。

 私とトキはどうなるのかな。

 二百年の愛が育めるのかな。

私は不安になって、隣に座るトキの手をそっと握る。

「ね、トキ」

「あんだよ?」

「……私たちも二百年の恋ができるといいね」

「ああ、できんじゃねーか?キミもしつけえし、俺もしつけえからな」

「しつこい?……うーん、なんかね、こういう時は違う気がする」

「そーか?じゃあなんて言うんだよ」

「それは、……えっとね、うーん、……なに?言葉にすると難しいね」

「だろ?いんだよ、考えんな。愛ってのは目に見えねえもんだろ。なら、俺と君の感じてるこれが、二百年続きゃあいいんだから。単純だろ」

 私とトキの感じてる暖かい想い。

これが続けば。

「あ!そっかあ、そーだね!トキねすごいね、いい言葉!」

「おう、任せろ」

 そして二人で笑いあって、より柔らかにお互いの手を握る。

愛しき歌、かなみたる歌。


共に過ごしたいあなたのために、私の全てを捧げる歌。







     ミチノカナタ~完~
























『後書き』







 これで完結です。お付き合いありがとうございました。


 物語が終わってもイオたちの人生は続きます。

 線も残しましたし、続編も可能ではあるのですが、私は現在の所、違う星に住む読者に向けての物語に掛かり切りなので、申し訳ありませんが、続編は他の物語を描き終えて、気が向いたら……となりそうです。

(次描いてるのが異星人への手紙なら、ミチノカナタは、私が私という読者に宛てた手紙でしょうか、だから気に入っているんですよね~)

 続編はどうなるでしょう?作者なんて道端のゴミなので、イオたちが右行けば右のストーリーになるし、左に行けば左のストーリーになります。

だからきっと続編は今私が考えてるものとは大きく違うモノになるでしょう。

 今回の話も、当初の予定では虹色石を使って、イオが公演をし、活躍する話のつもりでした。

カトリーヌもレリーもガンゴンも存在せず、虹色石もとられない、トキの告白もラスト付近、そんな予定をイオたちが自由に動いて壊し、私の考えてた物語より、何倍も良い物語にしてくれたので、続きも楽しみです。

続編はどうなるんだろう?

トーリス最上位まで綺麗になったイオと、路地で公演してるだけのトキの間には、まだ一つ越えなきゃいけない壁があります。

 それにここはトーリス、綺麗になると、別の問題が現れます。

 内容は語りませんが、それを越えるのが次の話になるのかな?と思ってます。

イオもトキもいい子で、頑張ってくれるので、私自身、いつか見てみたいなあ、と思ってます。

 あ、ちなみに、私の他の作品には期待しないようにお願いしますね、ミチノカナタとは全く違う読者宛てになるので、きっとお口に合わないと思います。

 作品は作品毎に色合いがあります、ミチノカナタが光と林道なら、今描いてるのが、岩の中の溶鉱のイメージでしょうか。

一作一作、作家名も替えちゃおうかな?と思ってるくらいですので、続編以外に期待はNG。

というわけで次はミチノカナタの続編でお会いしましょう。ではでは。また。


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