表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミチノカナタ~~物戻る街で~~  作者: 流氷陽北
終章:チカクトトオクト
44/47

『緑青の湖畔でお披露目します』



 アクセサリーはできたから、あとは着飾るだけ、ここは湖の畔で鏡がないから、ミレに尋ねる。

「一応ね、つけたけど、どう?」

三つの渦巻きの髪飾りからは、白い光の流れが出てきて、髪に付けると私を光のヴェールに包んだ。

……色んな場所を削っていったら、思ったより光の流れはうまく扱えて、綺麗なドレスみたいになる。

ミレは私の髪飾りの位置を慎重に調整し、やがて喝采をあげる。

「美しい人ね!白光のドレスが綺麗!所々の焦げ茶色が白を際立たせてるのね」

「うん!ローブもね、私のものだから、全部隠したくなかったんだ」

「髪の上から薄い光のヴェールが後ろに流れてるけどどうなってるの?」

「髪飾りにね切り込みを入れてるの、そうするとね。光の薄い場所もできるから」

「そう?素晴らしいわイオ、これならトキも、よりあなたに恋するはずよ」

「ブローチはどこにつけようかな」

 削り方で色調に差をつけたブローチは薔薇を象った物にした、でも、ただの薔薇じゃなくて、薔薇に、盾と王冠とそれを支える二匹の獣をあしらったもの。

2つともこれから私の長く過ごす、薔薇の館の象徴だから、これにしたくて、付き人になってくれたスミの分と2つ作っていた。

スミは私を助けてくれたから、そのお礼に。

「胸のこの辺りに付けたらいいと思う」

「ありがと、そうするね」

最後に、トゥリーイヘアド(60)を数える虹色の指輪を指に嵌めて、私の準備が整う。

 トキはさっき一度ミレが呼びに行って、ここに向かってるところ。

この衣装を最初に見せるのはトキが良かったから、私は湖の畔の森にこうやって身を潜めておく。

できる限り綺麗に出てく方法を考えたら、空と湖が緑と青の二色に染まる緑青の時間が一番良くて、トキにはその時間に着くようにお願いしてある。

ミレが空を見上げる。

「緑青ね。そろそろ湖の畔で待ってたら?私ここで見ているから」

「うん、ありがとミレ!トキなんて言うかな!」

「それはあなたしか聞けないこと、私にもあとで教えてね、神のご友人!」

 そう言ってミレは笑って、私に「楽しい時間を!」

って言ってくれる。


あとはトキを待つばかり。

 湖の畔で緑青の風景を眺めてると、トキらしき人影が、湖の周回をまわってくる。

最初は遠まきに、私の方を見たけど、私だと思わなかったみたいで、途中で足を止め、森の方とか、湖の反対側とか、別の方をきょろきょろと探し始める。

「おいイオー、どこだ」

……わ、トキ、私だと思ってないんだ。

私がすごい綺麗になってるから?私は嬉しくなって、トキにちょこちょこと手を振る。

遠くだったけど、トキは怪訝な顔で私を見て、それからそっぽを向き……ゆっくりゆっくり、人違いじゃないか、確かめるみたいに近づいてくる。

 トキは人違いだったときの言い訳を考えてるみたいで、私の方を見ず、湖を眺めながら近づいてきて、私の9歩くらい先で止まって、完全に湖の方を向いてボヤく。

「あーイオ、いねえな、まさかこんな綺麗な奴じゃねえーし、イオどこだよ。おいイオー!」

 トキはもう自分で確認する気はないみたい。

人違いか、私かを、私に言わせたいみたいで、湖を見てるだけ。

本当に分かりかねてるみたいだから、ちょっとびっくりさせよう。

……私はトキから離れる方にたくさん歩いて、トキの視界から外れ、つつつって回っていきトキの後ろから近づいていく。

「んだよ違うのかよ」って、トキが振り向いたところで、ふわって抱きつく。

「トキ!」

「お、おいやっぱ、君イオか?」

「うん!」

 トキは驚いたように、私の衣装をせわしなく見る。

「イオおお?」

「うん!」

「おおいっ!めっちゃ綺麗な衣装になってんじゃねーか!トーリスでも最高位だぜ!なんだよ、おい、すげーな君!」

「ありがと!ね、トキ、地味なの好きって言ってたけど。でもねこれが私の綺麗だから!」

「うおおっ!すげええ!俺さ、地味なの好きなんだよ。イオ地味だったろ、その見た目好きだったんだわ、地味なのがすっげえ好きなんだよおお!」

「じ、地味なの?」

「おお!地味な君だ!」

「えっと地味な私が好き?」

「おう地味なの好きなんだよ!ものすごくっ」

うそ?地味なのが好き?

「綺麗すぎた?え、あ、ごめんね、アクセサリーだから外せるから」

「お、おい外すなって」

「え、ちがうの?ブローチ?指輪?地味なのだよね」

「ちげえって!あれだよあれ!悪い!興奮しちまって頭回んねー、そういう意味じゃなくてさあ」

「何?」

「じゃなくてさあ!あーあれだ!今わかったんだよ。俺さあ、地味なのが好きだったんじゃなくて、イオが好きだったんだわ!君が綺麗になったら、もっとすっげえ好きになった、なんだよそのドレス!すっげえ可愛いよ、イオ!」

 言いながらトキは私を抱き上げてくれて、私の顔を覗いて、すっごく嬉しそう。

抱え上げた私の全身をすごく嬉しそうに眺めてる。

「わ、……わー、なんかね恥ずかしい……」

横向きに抱き抱えられてたから、光の流れが崩れてないか気になったけど、ちゃんとドレスみたいに身体を包んでくれてた。

トキが私を抱えたまま歩き出し、声を弾ませる。

「おい、君ずっとそうしてろよ、俺の恋人だって街中に広めるぞ!他の男が寄って来ないようにな!

まだ誰にもその衣装の裸は見せてねえよな?」

は、裸?

「うん、見せてないよ」

「じゃあ俺が初めてだな!君は俺のもんだから、もう誰にも靡くんじゃねーぞ!」

 やっぱりトキもあれは気にしてたんだ。

私が他の男の人に身体を許してしまったこと。

ちょっと申し訳なかったけど、少しはトキの悔しい気持ち和らいだかな。

「ねえトキ」

「なんだ?君が嫌がっても街に広めんのはやめねーぞ」

「……、少しだけでも、私に恋してくれた?」

「少しどころじゃねえよ!!君はなあ、俺の最高の女だ!」

 よかった。

トキの喜びを感じて私も心が暖かくなる。

だから、トキの首に両手を回して、身体を持ち上げて、トキの頬にキスをする。

 トキは驚いて、にやけながら言う。

「おいー、やめろよ、余計に好きになっちゃうだろ」

「私、トキ、大好き!これからもトキのためにがんばるから!」

「おう!お互いがんばろーぜ、まあお互いっつっても、特に俺が頑張らなきゃな」

「え?」

「君が可愛いすぎんだよ!よーし、いいから恋人宣言してくる、君は俺のもんなんだからな!どんなかっけー男が来ても断ってくれよ?」

「うん!安心して」

「安心できねえって、俺、君一人にしたくねえよ、とにかく宣言だ宣言、神の友人だろ、仕草綺麗だろ、性格良くて、見た目めちゃ綺麗だろ、ぜってえ男が寄ってくる」

 トキは焦ったように私を抱え、街に急いで急いで、私は笑い出してしまう。

ありがと、トキ、トキのおかげで私はね、自分に自信が持てたの。

私はもっとあなたに好かれるように頑張るよ。

だから、ね、ずっと一緒だよ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ