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月の兎

作者: SPOOK

月の兎の話を御存知だろうか?


とある山の中で、猿・狐・兎が衰弱して倒れている老人に出会った。


3匹はどうにか老人を助けようと考えた。


猿は木の実を採り、狐は魚を捕ってきた。

しかし、兎だけはどうしても食べ物を採って来ることができなかった。


己の無力さを嘆いた兎は猿と狐に頼んで、火をおこしてもらった。


そして兎は自分自身の身を焼いて食べてもらえるよう、火の中に飛びこんだ。


兎の行動を見た老人は、帝釈天としての正体を現し、兎の捨て身の行動を後世に伝えるべく、兎を月へと昇らせた。


この話は自己を犠牲にしてでも他人に尽くす事の尊さを謳った話だ。

しかし、見方を変えれば、持たざる者が他者に奉仕しようとすれば、自身の身を焼くしくらいしか方法がないのだ。


もし、兎に魚を捕ったり、木の実を採ったりする術を持っていれば、自身の身を焼く必要も無かっただろう。


今の自分はあの兎のようだ。

他人を助けたくても、いつも自身の身を焼く事しかできない。しかも、その行為が常に相手にとって有益とは限らない。

自分に何か特技があれば、痛みを伴うことなく、誰かを助けてあげられるのに。


今の私は兎か?


そして 今夜もまた、月を見上げる。

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