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004. うーぷす!!!

   〔7〕


 だみだこりゃ!


《なんですか、藪から棒に》

(次にいってみたので)

《……そうですか》

(次にいってみたので! 次にいってみたので!)

《お、おう》


 おありがとうございます、おありがとうございます!


 さて、えー。

 ある意味で一番意味不明なぐっちゃりぶりを発揮している項目についてっすね。まあ「不利な特徴」のことなんですけどね。


 本来のキャラクター「アトラン」としての不利な特徴は、現在のキャラシート上では「癖」の項目になぜか移動してしまっている。そして、見覚えのない不利な特徴が新たに設定されているかのごとき状態と化している。(アトラン本来の「癖」に書いてあった内容はどこにも見当たらない)

 不利な特徴は、行動や判断に直接的な制限が加わる、もしくは意志の力で抑え込んで行動できるとしても明らかなペナルティが乗ってくるものを表しているから、ここが自分の想定通りになっていない状態、把握できていないという状態は、非常に危うい。


(この状態は、どういった理由によるものでしょう?)

《はい。それは、不利な特徴というより、精神的な特性に関してキャラクターではなくあなたご自身のものが反映されている形だからです。言うなれば、「アトラン」という肉体の器に、あなたという“中身”が入り込んだ結果とご理解ください》

(……なるほど。と、いうことは、「癖」の欄に並び変わりつつも消えずに、CP値が激減した形の元「不利な特徴」たちは、見た通りの理解でよろしいので?)

《はい。-1CP相当に強度が極小化した上で「癖」レベルに納まった……という理解で正しいです》

(完全無効ではないのですね)

《残滓のあったほうが、あなたとの同調性が望めました。長年遊びこまれたキャラならではの愛着と思い入れ、それらが土台としてあったればこそ“器”として用いるに適しているのですから。それに、あなた自身の感覚としても半身に近いものがあったはず。完全な削除まで勝手にしてしまえば反射的な拒否感が生じていたのではないですか?》

(それは、まあ、そうでしょうね。たとえば「好色」じゃないアトランなんてまったく考えられませんし)

 なにせ元ネタがアレだからなぁ。なつかしい、特攻野郎αチームの交渉担当“フェイスメン”。女に弱くてつい口説いたり絆されちゃったり、それで危ない目にあうこともあるしけっこうおっちょこちょいだったりもするけれど、締めるところはカッコよく締める。自身では暴力に頼らない、口先のヒーロー。大好きだった。


(癖の数が五枠制限超えてますけど、これはいいのですか?)

《構いません。ゲームシステムそのものの制限を受けているわけではありませんし、癖の数の分でいわゆる“CPが稼げて”いるわけでもないので》

(あー。有利な特徴の形をとった“特殊な”ヤツがもりっと増えてたりしますけど、ぶっちゃけこいつらのせいでCPの制約とか使いどころとかおもくそ破綻してますよね。ちょっとのマイナスCPくらいそっちに費やされる形にしかなってないとするなら、元からのシステム運用としても許容の範囲ではありますか)

《そういうことです》


 理解は及んだ。が……残念といえば残念でもある。

 実のところ、アトラン本来の癖の設定をけっこう気に入っていたのだ。(まあ自分で作ったキャラの設定を気に入っていない奴なんていうのも滅多にはいないだろうが)

 ちょっとうろ覚えだが思い出して並べてみるなら、たしか……

 ・癖/キザに髪をかき上げる

 ・癖/口癖「ヒューッ」「さすがだな」「自慢の口八丁で、爆裂球からネグリジェまで何でも揃えてみせるぜ」

 ・癖/じゃじゃーん!(決めセリフにリュート等の効果音を合わせたがる)

 ・癖/実は小動物など可愛いもの、毛並みふさふさなものなども好き

 ・癖/飛び出した実家と、跡継ぎを押しつけた弟には悪いと思っている。詫びと称して旅先の土産物(ただし迷珍品)を何かと送りつけたがる。


 こんなんだった。

 特にこの、最後の奴が好きだったんだよなぁ……。間抜けっぽいけど人間臭さがあって。

 まあそのせいで実家の商家と弟がとあるキャンペーンで登場させられて(土産の送付ルートから居所を辿られていたという設定で)、なんやかや過去の清算っぽいことをやらされたりもしたわけだが。(イイ思い出だネ!)

 ちなみに弟くんの性格付けは見事なツンデレ風味だった。閑話休題。


(ただ気になるのはですね……。この内容、「平和愛好」の非殺だの専守防衛だのってのは、まあなんとなく分かります。日本人なら当たり前ですからね。それでも本来「-15CP」の特徴が「-10」に軽減されている点や、あと「足すくみ」だとか「恐怖症」だとかってほうにはてんで心当たりがないのですが?)

 特に致命的なのが「足すくみ」だ。身の危険に直面した際(つまりはおおむね、戦闘開始した際)に体が硬直して身動き取れなくなる、朦朧状態に陥ってしまうといった強いペナルティを受ける不利な特徴だ。そんな特性に行動を縛られていたら、危険な状況でとっさに身を守ることもできない。

 ただこれも本来は「-15CP」の大きな特徴であったはずが、なぜだか「-5CP」級に軽減されているようだが……


《結論から先に述べますと、背景環境の違いです。あなたのそれらは故郷の地の暮らしにおいてなら、取り立てて不利というほどのものではありませんでした。“強度が浅い”からです。しかしこれから降り立っていただく地の文明は、先述したようにおおむね「剣と魔法」の世界に相当します。あなたにもっと適した表し方をするなら「TL」が三、一部でかろうじて四、そういった文明文化圏ですので》

(オーケー把握しますた。ごしんせつな説明ありがたうございます)

 もうね、剣と魔法の世界なんて見飽きるくらい慣れ親しんでますからね。で、TL、つまりTechnology Levelの略であり文明技術レベルを指す便宜的階層値なわけだが、これが「三」ということはいわゆる中世レベル、近世以前を意味する。「四」なら近世の初期、ルネサンス期から大航海時代あたりを指すので(蒸気機関や電気技術などが発明される産業革命期まで届くと「五」になる)、“一部でかろうじて四”ということは社会的にも規範成熟的にも治安の面に関してはお察し状態というわけだった。

 つまりところ、わりとヒャッハー(力こそすべて!)してる世界なんだろうなぁと想定できちゃうますん。


 しかし、おれってば出血恐怖症だったのか……

 たしかに、たまに誰ぞの大怪我やらに居合わせた際には、気分が悪くなりはしたが……


《それも程度の問題で、故郷の地で暮らされていたならば問題になるほどではなかったのですが、あちらの地では「不利」に該当してくるのです。たとえばあなたは、健康診断で採血された際に失神してしまった経験がありますね? その時は半ば徹夜明けという無茶な体調も影響していたようですが、血を見るということが特段珍しくもない環境においてちょっと出血したくらいで行動に悪影響を受けていたら、どうなりますか》

(そりゃまあピンチのときに追撃の泣きっ面に蜂アタックでダメージがさらに加速します……。あのー、おれこれやっぱり現代人らしいナヨ男ですから、そんな修羅の国みたいなところで生きてゆくのなんて無理くさくありません?)

《そこは、たくましく》

(……たくましく?)

《精神的に》

(希望かっ)


《まあそこまで言うほど荒事ばかりというわけでもありませんよ。なんといっても現地の人々も国を作り都市を築き、共同生活を営んでいるのですから》

(あ、ちゃんと人間らしい人間さん方がいらっしゃるのですね、それは一安心です……。ていうかツッコミのほうはスルーですかそうですか)


《さて、「不利な特徴」に関してはこれでよろしいですか? でしたら次に「技能」項の説明に進めさせていただきますが》

(えっと……はい。進行願います)

 ふーむしかし、やっぱりツッコミ対応はスルー一徹なんでせうか。受け流しスキル高いですね。いや……いや、もしかして、“あえてスルーを繰り返すことでさらなるツッコミを誘う”高度な返し技である可能性が!?


《微粒子レベルでも存在しませんから、早く技能の不明点を整理してくださいますか》


 申し訳なかったのである^^

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