#08 対峙
「我々、一族は陰に生きるものだ」
腕を組み、静かに告げる
「光あれば、また闇もあり!」
「それは、表裏一体」
私は物心付いてから、そう教えられてきた
それは、『父』としては無く『頭領』として
しかし、突然彼は全てを捨てた
家族も、一族も、そして誇りさえも・・・
やがて、母も逝き一族は滅んだ
周りのものをなぎ倒しながら、暴れまわる『腐灰竜』
生き残ったハンター達が果敢に挑むものの、まるで効果がない。
「無駄な足掻きだ・・・」
勝ち誇ったように、ほくそえむヴォルドー
「オッサン!そこ動くなや!!」
壁を突き破りベルカが宙を舞う
いきなりの奇襲に虚を突かれたヴォルドー
しかしそれを守るように『腐灰竜』が、その身体を叩きつける
「何度も、同じ手を食うかい!!」
カウンターで、ブレードを叩きつける
巨大な身体が吹き飛ばされ砂煙が一面に舞う
「な!?なんだと!」
その光景に驚きを隠せない
瞬間、爆音が辺りに響き渡る
「何事だ!?」
「そこまでよ!ヴォルドー!!」
爆炎の中から1人のハンターが現れた
「あなたには、禁忌開封の罪状により生死を問わぬ処分命令が出ているわ!」
その毅然とした物言いが、特別な存在であることを物語る
「命までは、取らないわ!おとなしく投降しなさい!!」
決まり事のような言葉を投げかける
「ふはははは!まだ甘いな!情けは死を招くことになるぞ!」
言いながら煙玉を投げつける
「くっ!?待ちなさい!ヴォルドー!!」
煙を掻き分け後を追う
「んな!?ちょいと待たんかい!!」
急に相手を奪われ困惑するベルカ
そして、それを阻む腐灰竜
「・・・・・」
睨みつけながら口を開く
「アイィィィィーーーーーーン!!」
その呼びかけの向こうに影が現れる
「とっとと、コイツを片付けるで!!」
言いながら、一気に間合いを詰め足元に取り付く
ベルカの渾身の一撃が腐灰竜の頭部を砕く
「その、ガキんちょを、ひっぺがすんや!!」
「わかった!!」
息の合ったコンビネーションは、二人の付き合いの長さを物語る
「よし!いいぞベルカ!!」
破壊した頭部から引き剥がされた唄姫を抱きかかえて跳ぶ
殻となる、唄姫を失った事により崩壊していく腐灰竜
「お前は、この時代に生きとったらあかんのや・・・」
ベルカの一撃が、大地を穿ち腐灰竜を粉々に砕く
「ゆっくり眠りや・・・」
崩れ落ち消えていく腐灰竜を見つめ静かに告げる
闘いの終わった広間より少しばかり離れた場所
お互いの武器がぶつかり合う音が響く
かつての親友同士が闘う姿がそこにあった。
「くっ、迷いがない分、一撃が鋭い」
激しい攻撃により、徐々に体力を減らしていくハヤブサ
「・・・・・」
その表情は変らずただ、ただ攻撃を繰り出すハヤテ
次第にその状況は悪化していく
「どうすることも出来ないというのか・・・?」
追い込まれて後がもうない
突然、爆発がふたりの間に割り込んできた
「ご無事で!?ハヤブサ様!!」
爆炎と共に現れたのは、ツバメだった