#05 共闘
激しく闘いが続けられる地下迷宮
その中ひときわ目を引く闘いがあった
「なかなか、やるじゃないか?」
「当然や!」
言いながら、さらに剣激を繰り出す
「これで飯食ってんやで!?」
軽やかに交わされる一撃
「こ、こんのぉ~」
当たらない攻撃にイラつくベルカ
「うがぁぁぁ~っ!!」
闇雲に武器を振り付ける
「ひとつ提案だが?」
「なんや!?」
攻撃の手は止まらない
「どうだ?ここは休戦といかないか?」
そのまま武器を収める
「このまま潰し合うよりもいいだろう?」
完全に戦意はないようだ
「ウチは、このままやってもええねんで!?」
闘争心は人一倍
「そんなことでは勝ち残れないぞ?」
「片っ端から、ぶっ倒したるわ!」
「で、そのあとどうする?」
「・・・・・・・・」
言われて考え込む
「ええやろ!」
考えがまとまったらしい
「楽しみは、取っといたるわ!」
ふてぶてしく笑うベルカ
「うむ、なかなか見所があるな!」
「小僧!!」
有無を言わせぬベルカの大剣を、見事な白刃取りで耐える
【小僧】は(一応)女としてのベルカへ禁句なのだ
「休戦するのではないのか・・・!?」
お互い、歯ぎしりしながら睨み合う
同じ頃、単独で進むツバメは
偶然にも、もう一つの目的を果たすこととなる。
「みつけた・・・・!」
手にした苦無に力がこもる
「どうして・・・」
「どうして私達を・・・いや、一族を捨てた!?」
質問をぶつけた相手は、何も答えることはなく
対峙した二人は武器を構えるのみ
「父上ぇぇ!!」
怒りと悲しみに満ちたツバメの叫びが響き渡る
それに答えることなく彼は、武器を構える。
地面を蹴って、お互いが邂逅する
閃光と共に、手にした武器が軋みを上げ震える
父親の顔を前にしたツバメの気の迷いを読んだのか
一気に武器を弾かれてしまう
「しまった!苦無が・・・!」
叫んだ瞬間、ツバメの身体を激痛が襲う
「ち・・・ちう・・・え」
力なく崩れ落ちるツバメ
それを見下ろす【彼】のその眼に
光は宿されていなかった・・・
深い深淵のなかで咆哮が空気を震わせ
その獲物を捉える
「こ、コイツ、強い・・・!!」
ブレードを、いくら切りつけても怯まない
余りにも頑強な、そのモンスターに焦りを隠せない。
「動きを封じるわ!」
言いながら拘束網を投げつける
ネットに絡まれ、もがき暴れだすモンスター
その衝撃に辺り一面が崩れ始める
崩れる地面に囚われ、二人は闇の底へと落ちていく
そこに広がる闇は
大きく広がる口のように
アインたちを飲み込んでいった。