#23 疾走!ワールドランナーズ!!⑬『うやむやヴァーサス』
「この魔力・・・あなたが黒幕ね!?」
突如現れたその『黒き存在』
これまで相対してきたどの魔術師よりも
遥かに強大で禍々しい魔力を隠す事も無く放出している
「気を付けなさいネア、この子かなり危険よ・・・」
口調はいつものままだが、その表情は硬い
サムソンもまた、魔術を身に付けた者として
この異質な存在に緊張を隠せないでいる
「ふふふ・・・」
ほくそ笑みながらその手に魔力を込める
「一体何が狙いなの!?」
ネアもまた、手にした杖に魔力を込める
「ボクの目的はね・・・全ての世界の終わりだよ・・・!」
漆黒のフードから歪んだ笑みがこぼれる
「先手必勝!!」
先に動いたのはネアだった
「業火尖刃!!」
降りぬいた杖を合図に、無数の炎が嵐のように飛び交う
「やった・・・!?」
炎に包まれる敵の姿に思わず声が出るサムソン
「こんなものなのかい?」
その身を炎に焼かれて尚、口元から溢れ出す笑み
「サムソン!離れて!!」
そう叫んだ瞬間、サムソンが彫像のように凍り付いた
「それくらいの炎じゃ、ボクは燃え尽きないよ」
パキパキと音を立てながら、それまで燃えていた炎が氷となって崩れ落ちていく
「この!よくも・・・!!」
再び杖を振り上げるネア
「残念・・・時間切れのようだね」
その気配すら感じさせず距離を詰め
ネアの耳元でつぶやきながらその身をふわりと宙に浮かせた
「ちょっと!逃げる気!?」
怒りも露に叫ぶ
「君たちの相手は、ボクじゃないんでね」
眼下にネアを見下ろしながらほくそ笑む
周りに目をやると
ネアたちを取り囲むように、黒装束の者たちが集まってきた
「ソノ・・・チカラ・・・ヨコ・・・セ」
「イノチ・・・カガヤキ・・・ホシイ」
彼らの生気は既に無く、それでいて尚
口々に魔力を求めている
「な・・・何!?」
「あははっ!油断してると君も彼らの仲間入りだよ!?」
そう言い残してその存在は消え失せた
ジリジリと詰め寄ってくる黒装束たち
その数20人以上を超える
「このネア様を・・・」
怒りの炎を燃やし杖を振り上げる
「軽く見るんじゃないわよ!!!」
怒りが爆発するように、凄まじい爆炎が辺り一面を包み込む
一時の静寂の後、ただ独り佇む影
「あ、サムソン忘れてた・・・」
肝心のサムソンは、一瞬のうちに氷を溶かされ
ただ呆然と立ち尽くしていた




