#22 疾走!ワールドランナーズ!!⑫『ふりぬきインサイダー』
「こいつら、一体どれだけ湧いて出るんだ!?」
重厚な鎧に身を包む男が、剣を振るいながらに叫ぶ
「とにかく、一般人を守ることが先決だ!」
同じ鎧に身を包む男が応えるように言う
突如として結界に封じられた『シティー』
逃げ場を求め惑う人々を誘導しながら彼ら『鋼鉄騎士団』は
襲い来る謎の敵と交戦していた
「きゃぁぁぁ!?」
「しまった!?そこには一般人が!」
隙を突いて襲い掛かる敵
このままでは間に合わない
「でぇぇぇい!」
地面を抉る剣激が敵を吹き飛ばす
「おまえは!?」
剣を携えて立っていたのは
紅い鎧に身を包んだ『紅蓮の風』の傭兵だった
「奴らは、俺たちが引き受けた!」
「シティーの連中をやらせるな!」
絶対の護りを誇る『鋼鉄騎士団』
怒涛の如き攻めを得意とする『紅蓮の風』
お互いに反目しながらも
お互いの誇りは認め合っていた
弱き者を護り、悪しき者を討つ
それこそが『戦士としての誇り』
彼等だけではない
突入したギルドの騎士団もまた『誇り』の名の元に戦っているのだ
「今度こそ、ぶち壊すでぇぇぇ!!」
渾身の力を込めて剣を振り下ろすベルカ
だが、その結界は傷一つ付かない
「どうすりゃいいんだ・・・?」
策はないかと思考を巡らせるアイン
ふと、遠くから何かが聞こえてきた
「どけ、どけ、どけぇぇぇいぃぃ!」
声と共に現れたのは
武骨なまでに露骨な鉄塊だった
「ここは、私に任せてもらおうか!」
鉄塊から身を乗り出し現れたのは、巨大な毛玉
「な、なんだぁ!?」
「けったいな毛玉や・・・」
呆然と眺める二人
「ハーポ君!アレを使うぞ!!」
「アレって何ですか?」
「・・・・・・・」
「アレだよ、ア・レ」
「はぁ・・・?」
ゴソゴソと内部を物色する
「コレですか?」
「そうそう!コレを使って、ばっちりオシャレな・・・」
言いながらブラシで髪を整え始める
「って、違うがな!?」
「なんで、ココでヘアをキメなアカンねん!?」
場の空気を読まず漫才が始まった
「アレと言えば!」
「こんなこともあろうと用意しておいたアレだ!!」
言いながら大砲のようなものを構える毛玉
「結界破砕投網~っ!!」
「どんなことを想定したらそんな都合の良いものを、用意するんですか!?」
「さぁ!食らうがいい!!」
結界に向けて発射された『ソレ』が閃光を放ちながら、結界を押し広げていく
「おおっ!?」
「やるやないか!毛玉のおっちゃん!!」
期待外の展開に、どよめき立つ二人
「よし!今のうちだ、ベルカ!!」
「一気に行くでぇ~!」
「くわぁぁぁ!!」
間髪入れずロードランナーが疾駆する
「わはは!どうだ!見たかね?ハーポ君!?」
得意気に叫ぶ
「博士?」
「わはは!自分の天才振りが恐ろしい・・・」
「博士ってば!」
「ふふふ・・・」
「いつまで笑ってんだ!このアフロ!!」
手にしたハリセンで、毛玉をひっぱたく
「にゅがは!?」
「なにをするか!?」
やっと我に返る
「良いんですか?」
「何がだ?」
不意に尋ねられた
「私たち行かなくて?」
閉じていく結界を指さす
「こうしてはおれん!行くぞ!ハーポ君!!」
「え?ちょっと博士!?」
有無を言わさず結界に飛び込む
閃光と共に、物悲しい爆音が鳴り響いて消えた




