#19 疾走!ワールドランナーズ!!⑨『おめざめリターンズ』
街は、混乱の中にあった
突如として現れた、謎の魔術師たちの襲撃
これによって街中は瞬く間に、変質していった
「なんて強力な結界だ!」
ギルド専属の魔術師達が、舌を巻くほどのその結界は
街を包み込むように存在している
外部はもとより、内部からも解除は困難であるその結界は
何者も拒む強固な檻として街を閉じ込めている
「いったい誰が、こんな結界を!?」
報告を受けた魔術師達の隊長が、ソレ(結界)に触れる
「!!?」
瞬間、閃光に辺りが包まれたかと思うと
其処に居たはずの隊長は、姿を消してしまっていた
「なんてことだ!?」
一斉に動揺が走る
「あなたたちでは、この結界に触れる事すらできないわよ!」
野太い女言葉が、場を沈めた
「・・・・・・なんだ?」
「この、変質・・・・・」
言葉を言い終えるより先に、その顔が迫る
「死にたくないなら、すぐにここから逃げる事よ」
結界についての警告なのか、彼女(?)についての警告なのか
「あ、あんたはどうするつもりだ・・・?」
後ずさりながら、質問する
「私達に任せなさい!」
ウインクで、人が殺せそうなほどのスマイルで言い放った
「ハイハイ、いいからソコ退いて」
入れ替わるように、きらめくような金髪の少女がそこに現れた
「それに触ると危険だ!」
一瞬にして言葉が険しくなる
「危険は承知よ」
言いながら手にした杖を結界に突き立てる
「だからこそ、私たちがやらなきゃいけないのよ!」
杖から魔法陣が広がっていく
「サムソン!今よ!!」
「任せてちょうだい!」
屈強なオカマ僧侶が、呪文を詠唱する
「すべての呪詛を、浄化せし大気の恵みよ!」
開かれた結界に、噛みつくように光の輪が食い込む
「イケるわよ!ネア!!」
「オッケー!」
いいながら結界の中に駆け込んでいく
「待ってなさいよ!今ぶっ飛ばしてあげるから!!」
物騒なことを叫びながら、街中へと突入していった
「そこのアナタ」
ギルドの魔術師にオカマが呼びかける
「ここから先、誰も通しちゃダメよ!?」
「し、しかし・・・」
彼にもメンツがあった
「もし何かあったら、アナタたち責任取れる?」
「り、了解した・・・」
渋々了承する
「さて、と・・・」
おそらく、全ての元凶があるであろう街の中央を見据えてつぶやいた
-一方その頃-
「だぁぁぁぁぁ!!」
叫びながら必死に走る者がいた
「寝過ごしてもうたぁぁぁぁ!!」
「ちょ、待てって!?」
ロードランナーに乗って追いかけるものの、なぜか追いつけないアイン
うっかり寝過ごして、あわてて走り出す主役の二人であった