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トレジャーバンディッツ  作者: TAMA-RUN
18/28

#18 疾走!ワールドランナーズ!!⑧『ひとときトーキング』

 その光景は異様


辺りには、薬液に浸された水槽が多数

その中には幼い子供らしき『モノ』が入れられている


その正面には、いくつもの実験器具

無造作にちりばめられた『緑石エメラルド


「素晴らしい・・・!」

緑石エメラルドを、かき集めながらつぶやいた


「この技術が実用されれば、世界などたやすく手に入る!」

眼前に広がる、無数の水槽の一つに触れる


人形おまえなど、幾らでも手に入るのだからな!!」


水槽の中で、虚ろに見つめ返す瞳

魔力を秘めたその瞳の色は、緑石色にうっすらと輝く


-------------------------------------------------------


「結局、ソレは『禁忌きんき』として封じられたはず」

彼の手に踊る宝石を眺めながら、溜め息交じりに言う


「だったんだが、な・・・」

目深に被ったフードを下す


歳は、ベルカと同じくらいだろうか

蒼く染まった髪が、焚火の炎でうっすらと闇に映える


その姿は、どことなくアインと同じような雰囲気を持った青年だった


「お前たちはコレが何か知っているのか?」

手にした宝石を彼に投げ渡す


魔封石ジュエル

忌々し気に言い放つ


「数千年ほど前になるか・・・」


 かつて、その国は『魔導帝国マジック・キングダム』と呼ばれていた


帝国の中心部には、その国を象徴するような『世界樹ユグドラシル』が天を突くように、その葉を広げている


その葉からは、世界中に『魔力』の胞子を散布されている

つまり、人々の使う『魔法』の源は世界樹ユグドラシルによって

供給されているのだ


その神秘的な光景も、『魔導帝国マジック・キングダム』の魔力精製に行われている技術の為に枯渇しようとしていた


やがて、失われてしまう魔力を補う為にその国がとった行動は『武力による制圧行為』であった


そもそも『魔力』とは、人と大地を繋ぎ止めている源の一つである

その源を、再び一つのところに貯蓄するためには広大な土地が必要になる


それ故に、その国は戦争を始めた

いや、それは戦争と呼べるような行いですらない


『魔導』を扱う事に長けるその国の行いは

一方的な『侵略行為』でしかなかった


為す術もなく、制圧されていくそれぞれの国

その国の民は住む場所だけでなく


その身でさえ奪われていく


その国は『人間』の持つ『生命力エナジー』をも略奪していったのだ

もちろん、『生命力エナジー』を奪われた者の辿る結末は決まっている


大地と命を、食い尽くさんとする戦争

その過程で、様々な技術が生まれては消えていった


その一つが『魔封石ジュエル

魔力と共に、持ち主の記憶をも封じた『魔導具』の一つ


ちょっとした封印を解くことによって、その所持者に従う『人形』を精製する事ができる


大地の源を利用した『魔導』

それを、簡易的に蓄える『魔導具』


それらを扱う『魔導士』


その力を用いて『魔導帝国マジック・キングダム』は勢力を広げていった


だが、その戦争の結末は『魔導帝国マジック・キングダム』の消滅

という形で歴史から姿を消した


その戦争で何が起こったのかは、詳しくは記されていない


だが、その過程で生まれた数々の『魔導具』の技術は未だ存在する

この世界を支える今の文明は、それらによって成り立っている


それを応用し、新たなる技術を生み出すことで発展しているのだ


『魔導具』が『兵器』として使用されていたという事実

それを使い続けているという事実


人々は、自身をも滅ぼす『魔導』を恐れ目を背ける

その代用として、また別の技術や法廷事ルールを生み出す


それが、この『リング・リンク』の姿なのだ



「つまりコレは『忌まわしき過去』の遺物ということか・・・?」

アインの表情が曇る


「しかも、まだ『使える』ときている」

やれやれと頭を軽く振る


「で、ソッチはこれをどうしようってんだ?」

再び、質問を投げかけてきた


「最初は、持ってた奴等をとっ捕まえてやろうと思ったんだがな」

軽く寝息を、立てて眠るベルカを眺めて笑う


「手を引くことだ」

睨むように言う


「それは、オレが決めることじゃないんでな」

あくまでも軽く言う


「とにかく今は、休むさ・・・」

そのまま壁を背に座り込む


「面倒な姫様だな」

ベルカを眺め軽く笑って言った





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