#17 疾走!ワールドランナーズ!!⑦『つきぬけエスケープ』
謎の爆発により、森の一帯が消失して一夜が明けた。
そこに残されていたのは、広大なクレーター
「なんということだ・・・」
その深さから、かなりの衝撃だと読み取れる
「ハヤブサ様」
彼に付き従う忍者の一人が、背後に現れた
「彼女達は?」
振り向くことなく尋ねる
「消息は不明です」
「・・・そうか」
少し心を落ち着けて告げた
「奴等の動向から目を離すな」
「御意」
そのまま姿を消した
「これで終わる事など無いと思うが、な」
フードを深く被り、瞳を伏せる
「次はどう出るつもりだ・・・?」
その言葉を残し、ハヤブサは風と共にその場から姿を消した
「どした!どしたぁ~!!」
両手を広げて、相手を挑発する
「そんくらいで、ウチに勝てると思ったんか~!?」
遠巻きに、取り囲んでくる黒ずくめの一団に叫び散らす
昨夜起こった、謎の爆発のどさくさに紛れて
いきなり襲いかかってきたその一団は
予想外の反撃に、戸惑っていた
「ちっ・・・」
「手間取らせてくれる」
口々に、愚痴をこぼす
「一体何なんだ、アイツら・・・?」
ベルカの背後を守るアインが、ぼやく
「そんなん、心当たりが多すぎて知らへんわ」
「だろうな・・・」
思わずため息が出る
しかし、このままにらめっこしていても仕方が無い
「ベルカ、良い考えがある」
「・・・なんや?」
相手の出方を伺いながら提案を持ちかける
「一気に、突っ切って逃げるぞ?」
「何言ってんねん、全部倒しゃええやん!?」
予想通り、突っ掛ってくるベルカ
「バカ言ってんなよ!どれだけいると思ってんだ!?」
少なく見積もっても20人近く
「どんだけでも、ぶっ倒せば一緒やろ?」
面倒臭くなって、数えるのをやめた
「あっちは魔法だって使ってくるんだ!」
こっちは武器を持っているとはいえ
相手は遠距離から魔法で攻撃ができる
「いくらなんでも、全部を相手にするのは無茶だ」
しかしベルカは、嬉々として言うことを聞こうとしない
「しょうがない・・・」
ロードランナーの手綱を引き寄せる
「行くぞ!!」
そのまま、手綱をベルカに引っ掛けて引き寄せる
「ちょっ・・・いきなり何すんのや!?」
思わずバランスを崩して、アインにしがみつく
「黙ってないと、舌噛むぞ」
ベルカの怒声を無視して、ロードランナーに飛び乗る
「くえぇぇぇぇぇ~っ!!」
雄叫びを上げながら猛スピードで走り出す
「こらっ!トリ!!ちょっと待たんかい!?」
アインにしがみついたまま叫び散らす
「にゅがは!!?」
変な言葉を口にしたかと思うと、うつむいて震えだすベルカ
どうやら、舌を噛んだらしい
「だから、黙ってろって言ったろ・・・」
やれやれといった仕草でつぶやいた
「こ、こいつら!!?」
「よ、避けろ!」
有無を言わせず突っ込んでくるロードランナーに混乱する
「このまま、突っ走れぇぇぇぇ~!!」
混乱する奴らを尻目に疾走する
「なんなんだよ・・・あいつら?」
言いようのない不安が、アインの中で膨らみ始めていた
「後で、絶対ぶん殴ったるかんな~っ!!」
涙目で叫ぶベルカの声が、風に乗って響いていた