#12 疾走!ワールドランナーズ!!②『よなよなジュエル』
「毎度、どうも」
依頼を終え、報酬を受け取る
「しょっぼい報酬やな・・・」
受け取った報酬を見て、愚痴をこぼすベルカ
「それを言うなって・・・」
確かに、あれだけ派手にやっておいてこの報酬の額は少ない
まぁ、元々安い額なのは承知の上での事なのだが
おそらく明日の食事だけで無くなってしまうだろう
「で?おっちゃん」
ベルカが依頼主に尋ねる
「あんな、トリ捕まえて何しようってのや?」
先日、捕獲した『トリ』
正式名『ロードランナー』主に乾燥地帯を棲み家にしている
『飛べない』鳥竜種だ
鳥竜種とは言え、その知能は人並に高く
捕まえるのにはかなり骨が折れた
そこまでして捕獲した『トリ』を、どうしようというのか
少なからずとも興味はある
「・・・・・」
無言で手払いをする
『首を突っ込むな』
暗に、そう告げているのだろう
所変わって
「そうか、手に入れたか」
檻に入れられた『トリ』を眺め呟く
「後は、例のブツを運ばせるだけだな」
その口元は怪しく歪む
「アレさえ、運び出せれば全てが覆る」
折を軽く小突いて言う
何処とも判らない薄暗い場所で、行われている怪しい会合
華やかなイベント『ワールドランナー』の影で暗躍する彼らの陰謀
それは少しずつ染み込むように、世界へと広がりつつあった
「気に食わへん」
開口一番、ベルカが言う
「そうか?結構イケると思うがな?」
ナイフを皿に戻しながら応えるアイン
「肉の話やないわ!」
珍しく突っ込むベルカ
「皆まで言うなって」
言いたいことは解かっていた
「ホンマにコレでええんか?」
「良いも何も、俺たちの仕事は『依頼の達成』だ」
受け持った依頼の達成こそが、ギルドへの義務だ
どんなに怪しいことだろうが、迂闊に関わるべきではない
が、確かにどこかスッキリしない
「コレ、なんだと思う?」
言いながら取り出したのは小さな巾着と地図が一枚
依頼主の足元に落ちていた物
何の考えも無く、拾ったものだ
「宝石・・・やな」
巾着の中身をテーブルに流し出す
地図に付いた印は、山岳の廃城を記している
「さて、どうしたもんかね・・・」
コップに注がれた水を飲み干して、真っ直ぐにベルカを見る
「店にでも売り飛ばしたろか?」
興味無さ気に掌で躍らせる
「そしたら『ギルドに御用』だろうけどな」
恐らくこれらは『盗品』か『密売』の品だろう
「そら、ゴメンやわ」
気だるく言う
「そこで、だ」
アインが、含み有り気に笑う
「俺らで、コイツらを捕まえるってのはどうだ?」
更に、広げたのは『ワールドランナー』の受付用紙
「報酬も、タンマリってか?」
ニンマリと怪しい微笑みを浮かべる
「決まり、だな」
どっちが悪役か分からなくなるような一場面であった・・・