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現代魔法の秘密

目が覚めた。目覚ましがなかったが自然に目が覚めた。


「朝か…」


家に居る感覚で右手で目覚まし時計を止めようとしたがない。普段ある場所に無い。小さい机にポツンと置いてあるはずの電波時計がない。目を開くと周りが白いカーテンに包まれていた。少し考えて辿り着いた答えは


「病院か…」


骨折した時に数日泊まった病院に似ていた。


「病院ではございません。」


若い男性がカーテンを開いて話し掛けてきた。医者のように白衣を着ている。病院ではないならどこなのだろう?


「私は医務員です。お目覚めになったら、担当の者を呼ぶよう言われておりますゆえ、失礼させていただきます。楽にしてお待ちください。」


「は、はい。」


医務員と名乗る男はカーテンを全部開けて、ドアを開けて、一礼して出て、閉じて、小走りしていった。スリッパの音でわかった。担当者を呼びに行ったようだ。

ベットは俺が寝ている物しかないから個室のようだ。医療器具なども一切置いていない快適な空間だ。一つ気になるのが窓がないことだ。隔離されているような空間に感じた。

なぜ俺がここに居るのかを考えた。伊戸川と戦って、負けそうになったが誰かが助けに来て、寝てしまった。これが一連の流れだ。後々考えると恥ずかしい。不思議なことに伊戸川から受けた痛みがない。そして、体を起こした。


「お待たせ、元気してる?」


ドアをバンと開けて入って来たのは昨日助けに来た女の子だった。キレイな顔立ちでフリフリのスカートにフリフリの服、黄色と白を基調にしている。髪は黒のロング、靴もオシャレで少し背伸びをした中学生と言った感じだ。

中学生ぐらいと思ったのは幼い感じを残していて、背も150㎝はないと見えたからだ。


「いきなりでビックリしたよね。私は宮古礼美(ミヤコレミ)ここの実行部隊の隊長をやっているのよろしく。」


「俺は七見優斗だ。宮古さん、よろしく。」


「私は礼美でいいよ。ちなみに今何歳?」


「俺は18歳だが。」


「へっへ〜。私は14歳で中学生だからくれぐれも気をつけてね。」


14歳だと?

確かに14歳には見える。実際言われてみるとゾッとする。「気をつけてね」の語尾にハートをつけても違和感のない喋りだったが、なぜ14歳の中学生がここにいるのか不思議だ。


「優斗さん、今、『14歳のか弱い少女がなぜこんな所にいるんだ?』って思わなかった?」


「優斗さっ、あ、ゴホン。そりゃいろいろ疑問のありますよ。魔法のことからこの施設のことまで…」


「下の名前で呼ばれるの馴れてないの?久しぶりのお客さんだから気長に話しましょう。」


礼美の口からは、か弱さは全然ない。とりあえず、今ある疑問を全部解決できそうで安心した。


「なにからお話いたしましょうか?」


「話し易いようお願いします。」


俺もなにから聞いたらわからないから礼美に任せることにした。



「優斗さんの怪我は治ってるはずですが、動かせますか?」


「大丈夫だが。」


「それならよかったです。今は昼の12時ですが予定などはありますか?送りいたしますよ?」


「それも大丈夫だ。」


フルタイムでバイトをしているので週休2日であるが、曜日が毎週違う。今日は木曜日だが休みなのだ。


「礼美は学校はないのか?」


「風邪で休みにしたわ。折角のお客さんですもの。」


初めてあった他人の心配をする余裕はないがつい聞いてしまったが、そんなんでいいのか?と思ってしまった。


「まずはここのことから話すから相づちしなくていいから聞いてて」


「わかった。」


「ここは魔術規制組織。略してMKS。誰が略したのかわからなけどセンスないよね。

MKSは強盗や殺人などの事件で魔法が使われた時に動く組織なの。警察が対処できない事件を裏から解決する組織。魔法事件が起こったらいつでも対処できるように警察から情報をもらっているのよ。

こんなことを可能にできるのは秘密があって、私の父は警視庁の最高権力者だからなの。表沙汰にはなっていないけど、魔法が存在するのを警察の上層部は知っているのよ。そして何百年も前に作られたのがMKS。私達が作った、警察とMKSを警察の最高権力者とMKSの最高司令官と座をを代々受け継いでいるの。そして私はその娘でここで魔法が一番使えるから実行部隊隊長なのよ。すごいでしょ。」


「ちなみに、MKSは警視庁の地下にあるのだから窓もないの。何せ秘密の組織だからね。あと治療室や病室も滅多に使わないから1日泊まっても大丈夫だよ。」


礼美の話でこの部屋や施設の違和感は無くなった。ここで礼美は俺に質問した。


「魔法を知らないって本当?」


「3日前に聞いたばかりだ。」


「やっぱり。3日前に一十神さんに会って魔法を知ったってことで間違えがない?」


「そうだが。何で知ってる?」


「近くの防犯カメラでみたの、珍しい魔法の映像がある部下に言われて見てみたら、一十神さんだったって訳。一十神さんは私達が今探している人物の一人なの。私の家系と同じように昔から魔法を使える家系で、少しお話を聞きたいのよ。」


「一十神さんを?」


「勿論良い意味で、伊戸川は悪い意味でお話したいのよ。」


「いろいろ事情があるんだな。」


ちょっと待てよ。3日前のことを見てたってことは…


「昨日も一十神さんが現れないか部下がチェックしていたのよ。」


そうなると伊戸川に言ったことも見たことになる。


「優斗さんが伊戸川に言ったことみんなで笑ってましたよ。『俺の昔を思い出すよ。』とか『若いっていいね』ってね。ちなみに、MKSの職員は1000人近くいるのですが、みんな知っていますよ。」


俺が胸を張って言った言葉だが、大勢の人に聞かれているとなると恥ずかしい。自分でも少し顔が赤くなるのがわかった。


「わ、私はカッコいいと思いますよ。」


「あ、ありがとう。」


照れながら言われたら、俺も余計に恥ずかしくなってします。気まずく見つめあってたが、礼美が話し始めた。


「話を戻しますと、一十神さんから魔法の存在だけを聞いたってことでよろしいですか?」


「はい。」


「では魔法の話から少ししますね。」


「そうか、なぜ俺が魔法を使えるようになったのかも教えてくれ。」


「分かりました。では、途中で混ぜながらお話しましょう。集中していてくださいね。」


長い話になりそうなので少し身構えた。


「魔法の歴史から話すわ。魔法は昔から使われていたの、食べ物を調理するため火を起こし、干ばつで作物が育たない畑に水を与えると… 色々な用途に使われていた。今から2000年近く前からあった。でも、その時代は魔法の力を使うためには、地面に魔方陣を書く必要があったの。魔方陣を書き体内の魔力を引き出し、魔法として力を使ったの。その時代は魔法は認知されていて、みんな当たり前に使っていたの。

そして、何世紀か後に戦争にも使われるようになったの。領地の取り合いや国内革命で使われたの。

最初は自陣を守る為に使われていたんだけれども、攻撃にも使おうって話になり、敵陣の前で書くのは自殺行為でしょ?魔方陣に書くことを減らして、魔法を適性化してきたの。

今から一世紀前に適性化され続けてきた結果が今の魔法。

体内の魔力を放出し、形をイメージし具現化させ、物質を変化させる。それが今あなたが魔法と呼んでいる物。


そう、それが『現代魔法』よ。


現代魔法って言いにくいから、みんなは「魔法」って呼んでいるけど歴史から見たら現代魔法と名付けていい代物なのよ。


今の世の中に魔法が認知されていないのは、戦争で使われることを恐れて、王や貴族が規制してきたの。それでも、魔法は無くならず、魔法を受け継いできたのが、一十神一族や伊戸川一族、宮古一族なの。他にも受け継いでいる一族は大勢いるわ。それは今度にしましょう。

ここから優斗さんの質問の答えになるけれど、昔は魔法を教えるのは莫大な時間を費やして、勉強し、魔力を引き出す為に修行してきたの。

現代魔法になってからは、本人の感覚で使える訳だから、現代魔法の力を受けた人が才能があれば、現代魔法が使えるようになるのよ。

そうね…

他人の体内の魔力が具現化した物に触れると自分の体内の魔力が暴走して使えるようになるって所かしら。

一通りは話したけど、何か質問ある?」


「あ、ああ、あるぜ。魔力が暴走してってことは、俺の場合は昨日の事件で暴走したってことになるのか?」


「ちょっと言い方が悪かったかな?意識してないのに魔法を使ったことも含めておいて。」


「それなら俺も心当たりがあるぜ。朝、目覚まし時計を止めようとしたら勝手に止まっていたことがある。」


「そのとき、自分で止めようと思っていた?」


礼美は笑いを堪えながら聞いてきた。


「そうだが。」


優斗は真面目に答えた。


「はっはっは〜。優斗さんの能力が手なのかが理解できたわ。おかしいわ。」


俺には語尾のおかしいの意味が理解できた。疑問に思っているのではなく、笑われているのだと…

何故笑っているのかはわからない。



「ごめんなさい。魔法のお話もしましょう。それで理解できるはずです。」


「お、おう、頼む。」




「魔法には基本属性があって、雷、水、火、地の4つがあり、魔法を使える人間は一つの属性しか持てないようになっているの。基本が4つだから他にもあるわ。

水は火に強いとか、雷は水に強いとか思うけど、属性に優劣は無いわ。魔力が強ければ、相手の魔法に打ち勝てるの。

基本以外だと優斗さんが知っている物だと、風、無の二つだわ。風は一十神さん唯一の属性、無はあなたの「手」の属性だわ。

無の属性は、使用者が欲しいものや考えたことが具現化されて現れると聞くけど、ぷぷっ、優斗さんの場合は目覚まし時計を止めるために、手が欲しいと考えて、ぷぷぷっ、出てしまったみたいだけど、笑っちゃうわ。」



(もう笑っているだろ)


突っ込みは心の中だけでして置こう。


「だけど、無の属性を使える人間は稀なの。才能がある人間にしか宿らないの。魔法を受け継いでいる一族にも滅多に現れない。優斗さんは素質を持っているの。最後に無の属性の人を確認したのが、14年前らしいわ。私が産まれた年。

伊戸川のことを言い忘れていたけど、彼の能力は地と風の間の属性で、伊戸川は風を使おうと努力したけど、扱えず、間の属性のままなの、本人は風と言ってるみたいだけども。

私達から言ってみれば衝撃の力で、地の力を使い、物体が空気を弾いて、風圧でダメージを与えているの。だけど、伊戸川は強いことには変わりないわ。あの時、優斗さんが一撃喰らわせていなければ、私達がここにいなかったかもしれないのよ。

優斗さんの魔法が強かったからなの、優斗さんには才能があるのよ。」


「俺に才能が? 笑うのか褒めるのかハッキリしてくれよ。」


本音が出てしまった。年下なのだから少しはいいだろう。


「すいません。ちょっと調子に乗っただけです。」


目を少しウルウルさせている。反省している顔はまだ中学生だ。俺が反省するべきだった。


「俺に才能があるなら何か手伝えないか? 一十神とも1回会いたいし、何より誰かの為になるなら大歓迎だ。」


「優斗さんは凄い人ですね。昨日あんなことがあったにも関わらず『誰かの為に〜』って言うなんて…

申し訳ないんですけど、私達の組織は、警察で魔法を使える人を引き抜いているので、警察の試験を受かることが最低条件なので入れないです。」


「そうか…」


「手伝うってことなら…」





話が終わりパトカーに乗り家に帰った。礼美の話で俺の周りで起こっていたこてが全て解決した。


礼美には助けられたし、感謝しなくてはならない。


最後に礼美と別れる際に紙を一枚渡された。


『何か魔法の事件がありましたら、MKSに電話を下さい。』と電話番号を書かれていた。


その下には、

『魔法などで私とお話したいときは連絡をください。』と礼美の電話番号とメールアドレスが書かれた紙をもらった。丁寧に仕事用とプライベート用の両方が書いてあった。


ベットの上で今にも寝そうになりながら紙を見ていた。


「由香にもメールしなきゃな。」


書いた文が、

『昨日、ケーキありがとう。食べきれなくて残った分は店長に食べてもらいました。また、明日も頑張りましょう。お疲れ様です。』


送信してすぐ眠りについた。




メールが届いた由香が悔しいがったのは言うまでもない。優斗に全部食べてもらえなかったこと上に、店長に食べられたことをだ。



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