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信悟の逆恨みと魔法

「この前はどうも。」


先に口を開いたのは信悟だった。どうもと言われたが感謝はされていないのがよくわかる。


「あのあと大変だったんだぜ〜 1時間して起きたけど上司にどやされて、部下には1人の女に負けたって笑われて。おかしなことがあって負けたって言っても誰も信じてくれない。」



そうだ。普通は魔法なんて言われて信用できない。


「だから、利用させてもらうことにしたよ。」


(えっ?)


優斗には言っていることが全くわからなかった。


気になり信悟を見ると、懐から飲みかけの500mlのコーラのペットボトルを出した。


そして、左手でキャップを開けた。飲むのかと思ったが、右手を出してそこにコーラを垂らしている。


(もったいない、もったいない。)


優斗がそんなことを思って呆れていると、信じられない光景があった。

コーラの液体が細長く固まっていて、竹竿みたいになっている。


「気づいたのは昨日だったよ。洗面所で顔洗ってたら水が俺の手から離れないんで、そのまま持ち上げたらくっついてるみたいだったよ。そのときはすぐ離れたが、今日の朝には自然に形を作れるようになったよ。まだ、少量しか無理だし形を維持できるのも短い間だがな。」


信悟が右手を振り回し竹竿がコンクリートの壁に当たった。



ドコッ



重い音がした。

見てみるとコンクリートの壁が凹んでいる。


「朝、俺を笑った部下にやったら一発で倒れたよ。今の俺ならお前ぐらい殺せるかもな。」


冗談じゃない。俺の皮膚はコンクリートより硬い訳がない、頭に当たったら即死もありえる。


「本当はあのお嬢ちゃんを殴りたいんだが、どこにいるかわからないし、たまたまてめぇが通りかかったから相手してもらうぜ。」



信悟は両手で持ち、剣道みたいに面を打つように振りかぶった。


冗談じゃない。逆恨みだ。当たればこの前より酷いことになる、両手で止めようとしても無理だ。


「とりゃ〜」


気の抜けた掛け声で勢いよく振り下ろした。直後衝撃はなかった。だが、水しぶきがかかった。勿論コーラの… ベトベトする。


「?」


殴られたと思ったんだが…


「なんだよ、それ。」


信悟が恐る恐る見ている先を見ると「手」があった。


振り下ろす時に優斗が両手で止めようと考えたイメージだった。両腕をクロスさせて頭を衝撃から守るイメージが具現化されていた。


何の原理かわからない。そもそも、信悟のコーラの竹竿の原理もわからないままだが、この「手」は自由に動かせる。


「右手右手左手右手」


言葉にしてイメージしながやってみると、動きは鈍いが思い通り動かせる。


ボコッ



動かすことに夢中になり、コンクリートの壁を殴ってしまった。


「ヒィィィ」

信悟が驚いて尻餅をついている。よく見ると信悟より壁を凹ませていたからだ。


「許してください〜」


「え?」


「もうあなたには関わらないし、この力も使わないです。あと、ナンパも金輪際いたしません。許してください。」


「わかった。別にナンパもしていいし、その力も使っていいが、人を悲しませるようなことはしないでほしい、それだけは約束だ。」


「わかりました。失礼させていただきます。」


信悟は走っていった。

「手」もいつの間にか消えていた。

今回ばかりは怖さを目に焼きつけただろうし、もう悪さをしないだろう…


「ぶへっ。」走っていったはずの信悟の間抜けな声が聞こえた。見てみるとこの前と同じように吹き飛ばされ壁にぶつかり倒れていた。


「ふん、つまらん奴だ。」


話し声とカツカツカツと足音が聞こえる。俺のほうに歩いてくるようだ。


カツカツカツ


姿が見えた。スーツ姿で眼鏡を掛けている。スラッとしていて身長は180㎝近くありそうだ。信悟とは違い、サラリーマンのようだった。眼鏡を中指でクイッと上げそうなインテリ系だ。


ゆっくりと俺に近づいてくる。間違いなく初対面だ。

話し掛けてきたのは相手からだった。


「初めまして伊戸川東光(イトガワトウコウ)と申します。あなたの魔法見せてもらえませんか?」


伊戸川の視線は冷たかった。


優斗の肌にピリピリとくる感覚は恐ろしい物だった。皮膚が麻痺しているようで頭が真っ白になりなにも話せなかった。

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