災害と魔法
康広が言うには、カメラは録画する機能を持っているが、動画を見るにはカメラからパソコンに移さないと見れない作りになっている。
置いてあった場所が、休憩室のテレビ付近、店長のロッカー、女子更衣室だと言う。
テレビ付近のカメラは完全に同化していて誰も気づかない置き方だった。
店長のロッカーにはロッカーの隙間から休憩室を見渡せるように置いてあった。
女子更衣室には椅子の下に置いてあり違和感がなく置いてあったと言う。
「よく、カメラの場所がわかったな。」
「勘だよ。カメラって見られている感じがして落ち着かなくなるんだよ。」
「それでも、店長のロッカーの中を探すのは勇気がいるが…」
「それぐらい当然だよ。」
「女子更衣室を探すのも当然なのか?」
「いや、それは、最初知らなかっただけだ。本当だ。現にカメラがあったから無罪だろ?」
「まぁ、そうだな。」
腑に落ちないが康広が女子更衣室に入ったことより店長の隠しカメラのほうが問題だ。後で店長に事情を聞く必要がある。
「ここの店長は前から少しおかしいところがあったんで謎が解けてホッとしてます。」
由香が言った。
おかしいところは少しではないし、まだホッとしてはマズイが、口には出さないことにしよう。
問題は店長の処罰だ。俺が決めていいものではないし、被害者であるはずの由香もこんな感じでは先が見えない。
「とりあえず、副店長に報告するか…」
「じゃあ、私から言っておきます。」
「大丈夫か?」
「はい、私から言ったほうが効果があると思いますし、梨子はいつも店長の悪口言ってるんでそのほうがいいかと…」
「そうか、わかった。」
「それなら任せて俺らは帰ろうぜ。」
康広は自分は無関係みたいに言った。
「優斗さん達は先に帰っていて大丈夫ですよ。」
由香までそう言った。
この件もすぐ解決に向かいそうなので、由香に任せるとしよう。
俺はお言葉に甘えて帰ることにした。
「お疲れ様です。」
「お疲れさま〜」
そして、康広と帰路についた。
帰り道ではやけに盛り上がっていた。
W杯が始まって電化製品を扱ってる店の前のテレビには人だかりができている。
『スタメンのワントップには大迫が起用されます。』
大変盛り上がっているが、康広は別のテレビを見ていた。
「なぁ、あのニュース気にならない?」
『連日発生している連続放火事件の犯人はいまだ捕まっておりません。』
「普通のニュースじゃないのか?」
「普通の事件じゃないんだよ。」
康広が続けて説明した。
「このニュースを見ると放火された建物は火災などの事故も対策されて設計された建物なんだよ。放火された後の画像を見ると建物がまるこげなんだよ。」
「何が言いたい?」
「要するにだ。重火器やガソリンを大量にばら蒔いたりしない限りここまでの火災にならないんだよ。鉄骨が見えてる部分もある。それなのに逮捕されないからおかしいんだ。
ここまで派手な火災なら周りの防犯カメラにも映っているはずだ。」
言われてみればそうだ。テレビの映像で今まで被害にあった家屋の画像が流れているが全焼している。
しかも、最新の建物もだ。
それなのに捕まらないのはおかしい。
「確かにおかしいな。」
「なぁ、そうだろ。」
俺と康広は疑問に思いながら帰った。
次の日に俺の前で起こる事件を何も知らないまま…
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都内某所
「このマンションは焼きがいがあるな…」
1人の男が呟いた。
男はマンションの周囲を回った。
「防犯カメラが3台あるな。だが、犯人を映せても証拠を写せないんじゃ意味がないな。」
そう言うと、マンションが急に燃え始めた。
男は少し離れて笑っている。徐々に火は強くなり、周りの人が気づき始め、救急車と消防車が来た。
野次馬も増え始めている。
火はますます強くなり、消防車が消化しようと必死だが火は一向に消えない。
1時間が過ぎ火は消えた。だが、マンションは全焼していた。
男は笑いながら去っていった。




