猫虐待の記憶
今世間で話題になっている通り魔には、ネコを虐待していた経歴があったらしい
ニュースでは数日前の通り魔事件の犯人の話題を取り上げていた
猫虐待をしていたという事実は「意外だ」というものでなく「やっぱり」といった感じだろう
マスコミにとっては格好のネタだ
無差別に人を襲ったんだ
猫虐待くらいしていても何の不思議もない
猫虐待の前科がある人物の言動には尚のこと注意する必要があるだろう
画面越しに語る心理学者やら何やら達は通り魔の心を読んでいるかのように話す
人の心の内など、ましてや「異常者」の考えることなど分かるはずがないのに
猫虐待から人を襲うに発展していった…か
しかし、数ある通り魔事件の犯人達の中、どれほどの人に猫虐待の経験があるというのだろうか
一般的に考えれば、通り魔の犯人が猫虐待をしていてもそりゃおかしくないのかもしれない
だが、猫虐待の経歴からその人物の内面を決めつけることがあればそれは間違っていると思う
猫虐待も通り魔も一般人からみたら気の知れない異常な行動だろう
異常者だから猫虐待だろうが通り魔だろうがやってのけるんだ
その様に考えるのは普通かもしれない
しかし、異常者にも色々いるもんだ
自分には理解できない考え、価値観を持つ人間全てを「異常者」という一つの括りとして同じに見ることがあってはならない
通り魔と猫虐待なんて何の関連性もない、全く異質の異常
今回の通り魔はたまたま両方の異常を持っていただけだ
猫虐待から通り魔に発展なんて馬鹿馬鹿しい
それらの行動の本質を知らないからそんな考えで納得できるんだ
常人に理解できない考えを持つ者を「異常者」と呼ぶなら、なぜ猫虐待から通り魔に繋がることが分かる
どうして猫虐待などするのか、どうして通り魔などするのかなど本人達にしか分かるまい
そもそも猫虐待にしても通り魔にしてもそれを実行する理由は皆同じではなく色々あるのではないだろうか
もし、そいつらの考えが分かると言うのならそれは間違いなく勘違いだ
それでも分かると断言するなら…
…断言するならそいつも立派な「異常者」だ…
…
……
……自分で何が言いたいのか分からなくなってきた
こんなの何の言い訳にもなっていない
俺は何を考えているんだ
猫虐待と通り魔に何の関連性もないなんて嘘だ
凶悪事件と動物虐待に関連性があることは統計的にも示されていると聞くし、俺も本当はそれを理解している
俺は何でこんなことを考えているんだ
友人を庇うためか
それとも自分自身を…
いや、そんな事はどうだっていいんだ、いまさら…
そもそも考えすぎなんだ
遠い昔の過ち
忘れたいだけの記憶
現にずっと忘れていた
それを今になって思い出したということに、何か意味を求めてるだけじゃないのか
でも…そうだ…
自分がこんなことを考えていることにも意味はちゃんとあるんだ
通り魔と猫虐待の理由、目的、本質は全く別物
そう考えているうちは、自分が通り魔などすることはないのだから