ぷりんせすキッス
笑いと言うものはなにか? と言うことを踏まえて、今回の作品を執筆しました。今から読むみなさん。これが私なりに考えた「笑い」です。できることならご評価をお願いします。
「ねぇねぇー。お兄ちゃぁん」
「なに?」
「危ない☆しりとりしようよー」
「なに! その『つのだ☆ひろ』みたいな☆は!? それに危ないってなにが危ないの!?」
僕はとても悪い予感がしました。僕の勘は高確率で当たります。
「えーっとね。放送禁止用語限定に――」
「そんなしりとりいやだよ! なにその微妙に生々しい顔!? 怖いよ! 子どもが見たら絶対トラウマになるよ!」
「えへっ」
「イタ! 痛いよ! そんな青春感じてる少年のような笑顔で蹴りを入れないでよ!」
「お兄ちゃんのえっちぃーっ」
「意味わからないよ! 今の会話にえっちな要素はゼロだよ!? 痛! ティッシュの角で殴らないでよ!」
「スコッティだよッ!」
注:スコッティとはティッシュの種類です。
「えっ! なんでそんなにキレてんの!? 痛い痛い痛い痛い! ごめん! お願いだからスコッティで殴らないで!」
妹は僕を仰向けに倒し、僕の上に馬乗りをしました。まさしく第三者が見たら激しく勘違いされそうです。そうなったら僕の人生は終わりです。ムーンウォークをするマイケルにネバーランドに連れて行かれます。そしたら僕は二度とそこから出られません。そんなのはいやです!
「お兄ちゃーん♪」
「な、なに?」
「お兄ちゃーん♪」
「な、なに?」
「お兄ちゃーん♪」
「な、なに?」
「お兄ちゃーん♪」
「いい加減にしつこいよ!? 痛い! ティッシ――痛痛! スコッティで殴らないで! そして僕の上から降りてよ!」
妹は意外にも僕の言うことを素直に聞いてくれた。と思いきや妹は自室の鍵を閉め、にっこり僕に向かって笑った。
「これで……二人っきりだよ」
僕は妹の瞳の中に吸い込まれていきます。この部屋(六畳ほど)には僕と妹しかいません。しかも密室。これはまさかの展開ですか!? なにが起こっても文句は誰も言えません! こんな展開を認めてしまっていいのでしょうか!?
「お兄ちゃん……」
僕も健全な中学2年生です。えっちな本だって両手の指じゃ数え切れないほど所持しています。いくら血が繋がっているとは言え。妹はれっきとした中学1年生の女の子です。こんなかわいい妹に責められた時の、僕の理性がどうなっているかはお察しして下さい。
「お兄ちゃん……」
妹は僕との距離をどんどん縮めてきます。そして僕は妹が近づくたび後退します。とうとう僕は自室の壁際まで追い詰められました。危ないです。ピンチです。果たしてこんな展開が認められるでしょうか!? 今にも僕の心はオーバードライブしそうです! 震えるぞハート! もえつきるほどヒート!! 刻むぞ血液のビート! おおおおおおおおっっ! ってやっぱりだめです! そんなことはだめです! 例え神様仏様が許しても、マイケルが許してくれません! ネバーランド行きのチケットは要りません!
「お兄ちゃん………やろ……」
妹と僕の距離は1センチもないでしょう。僕の理性は既に限界を突破しており、そろそろ発狂しそうです。
「おおおおおおおおっッ! 僕は人間をやめるぞぉお!」
僕は心の叫びは、きっとマイケルまで届いたことでしょう。さようなら、みんな。
そう思った瞬間です。僕のお腹にハンマーで殴ったような衝撃が走りました。あまりの痛さに膝を地につけ、うずくまりました。
「貧弱! 貧弱ゥ!」
身長が140センチにも診たない妹に、金魚が死んだような目で見下されます。その妹の片手には、トンカチが握られています。間違いなく僕のお腹の痛みは妹によるものです。
「お兄ちゃんっ! 腹筋はもっと鍛えないとダメだよっ! 腹筋を鍛えるにはね、まず! ひざを立ててねぇ「手」を頭の後ろにちゃんとやるんだよ! そのあとは「へそ」を覗き込むようにしながら、肩が床から離れるまでしっかりと上体を起こすんだよ! ここがポイントだからね!? それと――」
「別に聞きたくないし、説明長いよ! ていうかなんで僕のお腹を殴ったの!? しかもトンカチで! まず説明するのはそこからでしょ!?」
「だって………」
妹は僕の言葉に拗ねたようにうつむきます。僕は何一つ悪いことをしていないのに罪悪感に襲われます。
「お兄ちゃんとトランプやりたくて……」
トランプをやることと、僕のお腹を殴ることにどのような関連性が見出されているのか、なんてことはこの際水に流します。それがお兄ちゃんとしての優しさです。
「うん。なにやろうか? ババ抜き?」
「ダウト!」
「それ絶対終わらないよ! お互いの持ち手バレバレじゃん! いちって言いながら全部出すしか勝つ方法ないよ!」
「じゃあ、doubt!」
「発音よくしてもゲームのルールはなにも変わらないよ!」
「いちー」
「え? いつのまに配ったの? ちょっとまってよ! さり気無く全部出さないでよ! ダウトって言うタイミング逃しちゃったじゃん!」
「1枚残してあるもんっ! いいからお兄ちゃんのばんだよっ!」
「くそッ! にー」
「doubt!」
「あんた最低だよ! 僕だって残り一枚にしてもいいじゃん! ていうかなんでそんな発音いいの!?」
「さーん♪」
「ダウト!」
「ざんねんっ。3だもん」
「最低! ほんと最低! 僕に勝たす気ないでしょ!? 痛! 痛い痛い! スコッティで殴らないでよ!」
「エルモアだもん!」
注:エルモアとはティッシュの種類です。
「痛痛! ていうかさっきから上に出てる解説なに!? 痛い痛い痛い痛い! ごめん! お願いだからエルモア殴らないで!」
僕がそう言うと、妹はエルモアを放り投げました。果たしてさっきのスコッティはどこに行ったのでしょう?
妹は何の前振りもなく自分のスカートの中に手を突っ込みました。僕が突っ込むよりも早く、スカートの中からカルタが出ててきました。なんていやらしいんでしょうか。女スパイでもそんな所には隠さないでしょう。
「お兄ちゃーん。かるたやろー」
「う、うん」
妹は熟練のマジシャンのようにカルタを広げました。そんな技術をいつ身につけたのでしょうか? 永遠の謎です。
「ってちょっと待ってよ。誰がカルタ読むの?」
「お兄ちゃん読んでー」
これは妹を叩きのめす絶好のチャンスです。僕は読むと同時にカルタを取りにいく、作戦で行きます。まだまだ青いですな、妹よ。勝負の世界は非情なのです。たまには妹にお兄ちゃんのすごさを見せ付けなくてはいけません。
カルタを並べ終わって、さぁ、ゲーム開始です。
「し んだほうがいいよ、キミは。ってなにこのカルタ!? 自分で読んでて欝になってくるよ! しかも書いてある絵が妙にリアルでいやだよ!」
「もーらいっ!」
「ていうか見つけるの早! ベンジョンソンもびっくりだよ!」
「お兄ちゃん。次いこっ! 次ッ!」
今のは油断したましたが、次からは本気でいきます。このままじゃお兄ちゃんの威厳が保たれません。
「い としいあの娘の笛を舐める青春。って誰だよ! このカルタ造った奴! この笛舐めてる男の子、すっごい僕の顔に似ているじゃないか! ていうか僕そのものだよ!!」
「もっらぃーっと!」
「ねぇ、これどういうこと!? このままじゃ気になって、カチンコファイトクラブ見れないよ!」
「他人の空似?」
「なんで疑問形なの!? 余計に気になるよ!」
「気になる? あ、そう。帰っていいよ」
「なんでそんな冷たいの!? あまりの冷たさに恐怖を覚えたよ!」
「いいから次いこうよー」
あっさり流されました。こういうときは気持ちの切り替えが大事です。カルタに書いてあった絵はあくまで僕に似ているだけで、それ以上の意味はないです。そう考えるしかありません。他人の空似です。それ以上でもそれ以下でもないです。
気持ちを落ち着かせるため、1、2回の深呼吸をします。これで完璧です。僕の今の精神は強固たる物です。例え、マイケルでも今の僕は止められません。どんなカルタでも絶対とってみせます。
「お にいちゃんは人妻大好き」
カルタに書いてある絵は、言うまでもなく僕にそっくりです。しかしこの程度は想定の範囲内なのです! 大体僕は人妻好きではありません!
僕は予めに位置を確認しておいたカルタに素早く右手を伸ばします。
「うぎゃああああああああゐゐゐ!!」
僕は叫びました。もう一生分叫びました。僕の右中指は変な方向に曲がっています。そして物凄く痛いです。
「もぉーらいッ!」
「なにが『もぉーらいッ!』だ!! その左手に握られてるトンカチはなんだよ!?」
そうなのです。僕がカルタに手を伸ばした瞬間、恐るべきことに妹は一体どこから出したのか、トンカチを僕の右手に叩き込んできたのです! 信じられません! 実の兄にですよ!? 僕は超素早く反応し、右手を引いたものの、完璧には避けられずに、中指に直撃しました。僕の中指は控えめに見たって全治6週間です。もう最悪です。
「お、お兄ちゃん! どうしちゃったの!? その中指!? 変な方向向いてるよ!」
「お前がやったんだよ!! なに今更!? 目撃者面!?」
「だって………」
「そんな、かわい娘ぶってももう僕はダマされないよ!」
「お兄ちゃん♪ 大好き♪」
「うん。僕も――ってなにムリヤリ話を流そうとしてるの!? 危うくダマされるところだったよ!」
「ねぇ、お兄ちゃん」
「なに!?」
「リアルストリートファイターやろッ!」
「展開が急だし、絶対いやだよ! それより病院連れて行ってよ!? この指重傷だよ!?」
「はぁぁあああッ!!」
「ていうかもう始まってるの!? 怖いよ! 青い残像残して近づいてこないでよ!? ちょ、ちょっとタイム! 僕なんも悪いことしてないよね!? なんで! な、ま、ちょ! なんだか走馬灯っぽいの見えてくるよ……!? まっ……! 僕はまだ死にたくないよ!! ストップ! ストップ! スト………!!」
――これは、ある晴れた日の話でした。
元々は連載小説以外になにか書きたい、と思ったことがきっかけでした。最初はファンタジーものを書こうとしたのですが、文字数が2万を超えた時点でも、まだまだ終わりそうになかったのでやめて、この作品を執筆しました。一息ついたらファンタジーも連載しようと思います。
話が逸れてしまいましたね(笑)。最後まで読んでくれた皆様。ありがとうございました。




