第1話 ドラゴン、現る!
第1話。
夏。太陽がギンギンが照りつけている。
ここは「ラムルド大陸」の小さな町、「ロット」。
鉱石の産地として名高く、今日もピッケルを担いだ男達が町を行き交う。
町の中心部に巨大な鉱山。囲むように市場と住宅街がある。
鉱山から北へは鉱物輸送用の道が開けている。
少年コート。
彼もまたここの住人の一人であった。
先月15の誕生日を迎えたが、相変わらず彼女もおらず、叔父の仕事を手伝う毎日。
3年前に母を亡くし、父は物心ついたころから行方が分かっていない。
母が亡くなったタイミングで、叔父の家へやって来た。
叔父は「よせ」といっているが、コートは叔父の仕事を一生懸命手伝っている。
採掘された鉱石を運び出す仕事だ。
結構肉体労働で、15の彼にとって、夏の日のこの仕事は拷問に近い。
「飯にしよう!!!」
彼の叔父の声が響き、
「イーリヤッホウ!」
ピッケルや台車を投げ捨てた男達が一斉に走り出した。
「オレも食おう・・・」
コートも台車をおき、鉱山を後にした。
「ウヒー!旨そうなナメクジ飯!」
「・・・相変わらず『変』食だね」
「いやいや、旨いぞナ飯」
今ではお互い敬語を止めて話している。
今彼の叔父が手にしているのは、彼の好物のナメクジ飯、略してナ飯だ。
平気で食べられるとかではなく、本当に好物だと彼は語っている。
「さて、味付けに塩を~♪」
「えぇ!?ナメクジだぞ!?溶けるよ!」
「チーズ感覚で食えるぞ!」
親指を立て、ウインクするコートの父、「レイン」。
コートははあ、とため息をついた後、用を足しにトイレへ向かった。
鉱山に隣接する加工工場内に、鉱山職員用のトイレがある。
用を足し、工場を跡にしようとしたときだ。
ドアに手をかけた瞬間、コートはふと気配を感じた。
「・・・?」
勘違いだろうか?そう思いドアを開けようとするがやはり気になる。
「誰だ・・・」
そっと後ろを振り返った。
ブン、と何かが空気を切る音がした。
「何だ!?誰だ!」
ドアを少し開け、逃げられる体勢を作り、警戒する。
「まーまーそんなあわてないでよ」
緊張感のない間抜けた声が聞こえた。
子供の声。
「・・・子供?」
コートは辺りを見回すが、人などそこにいなかった。
ドア付近は普段、工場の職員のたまり場になっているだけ。
そこを定位置としている人間は居ないはず。
「姿を見せてくれよ・・・」
おそるおそるコートは聞いた。
すると直後、彼の前で何かが光り、横切った。
「おわっ!?人魂!?」
「ちげーよ」
いつの間にか光は彼の前で止まっていた。
やがて声の主であろう光の輝きが落ちてきて、姿が露わになる。
「・・・え?」
これ、ドラゴン?コートはそう思った。
丸くて大きな瞳。頭の後ろから尾にかけては何本か触手のようなものが伸びている。
手は幼児の手にように小さく、犬のそれに近いような爪が3本。
また、背中には小さな羽が。
「よう!驚いた!?」
「驚かないわけないだろっ!!!」
「結論から言おう。オレはドラゴンでお前を迎えに来た。さあ行こう準備はいいか3-2-1・・・」
「ちょっ・・・待・・・て!!」
もの凄い早口で言うドラゴンにコートは詰まった声で言った。
「まずお前は何なんだ!?」
「シャイト。」
「いや名前じゃなく」
「じゃあ何だ?」
「えと・・・何だ?種類?」
人類以外と話すのは当たり前のように初めてだったコートは言葉を上手く選べない。
「種類・・・?んー・・・『神獣』、になるのか?」
「・・・神獣?」
コートは耳を疑った。
トイレから出てきて帰ろうと思ったら突如出てきたちっちゃい竜を神と信じる方が無理だった。
「あ、ああ~珍獣ね。なるへそ。」
「違う!神に獣で『神獣』!」
シャイトと名乗るドラゴンは半分キレ気味で言った。
「・・・」
本当かどうかは分からないが、取り敢えず認めないと先に進めないのでコートは話を合わせることにした。
「で、神獣サマがオレに何の用ですまする?」
わざとらしく敬語を使うコート。
すると急にシャイトは真剣な表情になった。
「言っても信じてもらえないと思うけど、今『神界』があぶないんだよ」
シャイトは言葉を続ける。
「今から言うことを真実と信じ、誰にも言わないと約束してくれる?」
「言いふらしはしない。内容によるな、信じるかは。あと神界の危機とオレの関連性詳しく」
「・・・言いふらさないなら良かった。関連性についても話す・・・」
安堵の表情を浮かべるシャイト。
目を瞑り、大きく息をはいた後、シャイトは口を開いた。




