第六話
「タネが出来たから、次は皮で包むのよ」
「「はーい」」
すでにきれいな円形に伸ばされた皮の中央にタネを適量乗せる。皮の縁を合わせて襞を描くように閉じる。もちろん、閉じ方がゆるいと肉汁がこぼれて食感がパサパサになってしまうので、空気が入らないようにきつく閉じる。
そうして、全ての皮でタネを包み終えた。
3人が包んだ餃子を見ると、やはりマーマのが一番美しく整えられていた。一ミリの狂いもなく全く同じ形をしたものが並んでいた。美花の物は、マーマ程ではないが、それなりに整えられていた。あまり作ったことがなくても、華僑の血が流れているからであろう。俊也の物は、マーマや美花のそれと比べると見劣りはするものの、一生懸命努力した形跡は見られた。
「マーマ、すごい!なんでそんなにきれいなの?」
「今はあまり上手じゃなくても心を込めて作り続ければ誰でも出来るようになるのよ。さあ、次は餃子を蒸していくわよ」
日本では焼餃子がポピュラーだが、中国では蒸餃子や水餃子の方が一般的である(もちろん、地域差はあるが)。
程よく蒸気が出ている蒸籠に餃子を並べ、数分間蒸した。
美味しそうな、何とも言えない香りが立ち込めてきた。
※中国では焼餃子よりも水餃子や蒸餃子がポピュラーだと書きましたが、揚げ餃子をお菓子や軽食として食べる事もあります。
また、お祝い事の時には食紅などを混ぜて色を付けた皮を用いいろいろな具を様々な形に包む「変わり種餃子」や、意図的にコインを入れられた餃子を食べ当てる遊びがあります。
なお、コイン入りの餃子に当たった人は幸せになるそうです。