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イ尓喜好  作者: 貴妃
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第五話

その時、カチャリと厨房のドアが開いた。


「美花、その男の子は…例の…?」


「マーマ……」


「マーマ、俺は先程電話した者です。俊也ジュンイエと言います。美花とはもう一度、一から付き合っていきたいと思います。宜しくお願いします」


「……まあ、美花の事をこんなに真剣に考えてたなんて……てっきり、日本鬼子だと思ってたわ」


「美花の事もっと知りたくて、少しずつ中国語を覚えるようにしました。マーマ、宜しくお願いします。

請多関照

(チン ドゥオ グアン ジャオ)」


「こちらこそ

彼此彼此

(ビ- ツ- ビ- ツ-)」


「マーマ、そういえば餃子は?」


「餃子の事を忘れてないのは偉いよ。丁度、タネに使う野菜を切り揃えたところだから、もう一度厨房に入っておいで。あと、俊也も来たかったらおいで」


私たちはマーマの後をついて厨房に入った。


調理台の上には細かく切り刻まれた白菜・韮・椎茸・生姜、豚挽き肉、様々な調味料が置かれていた。


「『中国では餃子を食べる』という事は誰でも知ってるけど、作り方やポピュラーな食べ方は意外に知られてないことが多いの。もちろん昔から『餃子が作れないと嫁に行けない』なんて言われてきたけど、女の子だけが覚えてればいいってもんじゃないの。中国は日本やアメリカ以上に男女平等の考え方が浸透してるから、男の子も最低でもたしなむ程度くらいは出来てなきゃいけないのよ。中国では夫も普通に家事をこなすのよ。亭主関白なんてやってたら家からつまみ出されてしまうわ」


「マーマ、中国ってすごいんですね。俺の家ではお父さんが家事をしなくても誰も何も言いません。当たり前の事として皆認めてます。俺は学校の授業で家庭科を習っていて、男が家事をすることの大切さを教えられてるけど、普段はそんなことしないし、お母さんに頼りきってるから……」


「俊也もそうだったの?日本人って誰に聞いても男女問わずそんな感じの同じような答えが返ってくるよね」


「美花、美花は家事をしない日本の男性をどう思う?」


「亭主関白で嫌いだけど、文化の違いでそうなるなら理解したいと思う。でも、中国では女は男の三倍強いから、たぶんやらせる」


「……怖」


「ちっとも怖くなんかないわ。美花が言ってるのは当たり前の事よ、俊也」


話している間にタネが形作られていった。肉と野菜が混ざり合い、甜面醤や紹興酒の香りが素材の持ち味を引き立てていった。


さまざまな物が一つになっていく過程の面白さを感じた。


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