第四話
「《茉莉花》ってどこだよ?……確か、華町通りの路地裏だったような……」
その頃、電話の声の主である少年、俊也は必死に《茉莉花》を探していた。
……………
…………………………
「あ、ここだ。やっと見つけた!」
……ドンドンドン
俊也はドアを叩いた。
「美花、ここに居るんだろ?俺、会いに来たよ」
………………………………
「美花、あの男の子やっぱり来たみたいだけど、どうする?」
「私、やっぱり彼に会いたい!」
私は厨房を出て茶館の入り口に立っている俊也の元へ駆け寄った。
「請美花,再一次与我交往。我,同様美花的想事更知道,也理解想家郷的文化。怎様?」
(「チン メイ ホア,ザイ イ- ツ- ユ- ウオ ジャオ ワン。ウオ,トン ヤン メイ ホア ダ シアン シ- ゴン ジ- ダオ,イエ リ- ジエ シアン ジア シアン ダ ウェン ホア。ゼン ヤン?」)
たどたどしい言い方ではあったが、俊也は中国語で美花に思いを伝えた。
「謝謝,俊也」
(「シエ シエ,ジュン イエ」)
私は満面の笑みで答えた。
「美花、ありがとう。これからも宜しく……えっと、美花の国では俺の事 俊也って言うのか?」
「そうよ。ジュンイエ」
「そうか」
「あ、今、店のマーマと一緒に餃子作ってたんだ。まだ皮しか作ってないけど……良かったら、食べてく?」
「うん。マーマって誰?」
「マーマは『お母さん』という意味の言葉で、親しみを込めてお母さんみたいな人を呼んだりすることもあるのよ」
「へー。じゃあ、ジャオズは?」
「餃子よ」
「なんか言葉って面白いな。マーマって、『ママ』と意味同じなんだろ?古い時代のアメリカ人みたいだな」
「そう?日本の小さい子供たちがお母さんを『ママ』って呼んでるのを聞いて、変な発音の中国語だなって思ってたわ」