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【完結済み】The Safe House  作者: さかな煎餅
第4章「俺たちの家」
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本心

メグちゃんは、スーツ姿の男性が運転する車に乗り、去っていった……。

オレは車が走っていった暗い林を、ジッと見つめた。


夢野陽

「うそ……」

氷室零

「……アイツらに、脅されたのかもしれない」


オレは首を横に振った。


夢野陽

「近くで見てたけど、そんな様子はなかったよ」

氷室零

「じゃあ、メグの意志で……? そんな馬鹿な……」


――二人でログハウスのリビングに戻り、各々ソファーに腰掛けた。


夢野陽

「メグちゃん……暗い顔、してた。本心じゃ、ないかもしれない……」

氷室零

「……わからない。ただ、メグ自身が帰りたいと言ったのは、事実だ」

夢野陽

「……そう、だね」


……オレたちの衣擦れの音だけが、リビングに響いた。


夢野陽

「もう……ここにいる意味もなくなったし、

オレは明日、自首するよ」

氷室零

「……そうか。……私も共犯だ、自首、するか……」


オレは壁を見た。

そこには、メグちゃんが描いた絵がかかっている。

ログハウスのリビングで、オレとメグちゃんと氷室さんが、微笑んでいる……。


夢野陽

「……やっぱり、気になる、メグちゃんのこと……」

氷室零

「……今まで帰りたがってなかったのに、さっき、急に帰るって言いだしたことか?」


オレはうなずいた。


夢野陽

「本当に帰りたかったのかを知りたい……

それに、最後にもう一度だけ顔が見たい……」


氷室さんは腕を組んだ。


氷室零

「そうだな……。

メグが今、幸せに過ごせているかも気になる……」

夢野陽

「……メグちゃんを一目見て、かなうなら会話する……。

それから、警察に自首しようと思う」


氷室さんはうなずき、


氷室零

「賛成だ。……行こう」


立ち上がった。


   ◇ ◇ ◇


――その夜。

記者は、ホテル街の近くの電柱の陰にいた。

彼は、スマートフォンの時計を見つめている。


記者

(そろそろ三時間経つ……あ、出てきた!)


記者はホテルの入り口の方向へ、スマートフォンを向けた。


記者

「やった……‼」


彼は小さく叫んだ。


記者

(これこそ僕がやりたかった、正義‼

これは決定的だ、警視総監がこんなこと、許されるわけがない!

すぐにネット記事にして、アップしなくちゃ‼)


記者はその場から走り去っていった……。


   ◇ ◇ ◇


真は女性の肩を抱いて、ラブホテルから出てきた。


白雪真

「ん……?」


彼は後ろを向いた。……そこには、暗い路地裏があるだけだ。


女性

「どうしたの?」

白雪真

「人の気配がした気がしてね。……なんでもないよ」

女性

「奥さんのことで疲れてるんじゃない? 今夜はうちで休みましょうよ」

白雪真

「いや、遠慮しておく。さすがに怪しまれる……」


真はスマートフォンを取り出し、耳に当てた。


白雪真

「俺だ……ああ、いつもの場所に車を頼む。

……明理紗には、余計なことを言わないようにな」


   ◇ ◇ ◇


氷室さんの運転するバイクで、メグちゃんの家の前までやってきた。

あたりからは時折、雪が屋根から落ちる音だけが聞こえて来る。

――オレは去年のクリスマスと同じように、白い屋敷の窓を見上げた。


夢野陽

「メグちゃん……もう寝てるかも」

氷室零

「ああ、もう〇時だからな」


脇にいる氷室さんはスマートフォンを見ていた。


夢野陽

「せめて、一目だけでも――」


ガラガラ……


夢野陽、氷室零

「‼」


今見ていたまさにその窓が、開いた。

そこから、メグちゃんの顔が見える……。


夢野陽

「――メグちゃん……‼」


オレは小さく叫んだ。

メグちゃんの大きな目が、きょろきょろと辺りを見渡し……

オレの目と、交差した。


メグ

「あっ……!」


メグちゃんの口角が、わずかに上がった。


メグ

「陽……零……どうして……」

夢野陽

「どうしても聞きたくって……。

メグちゃん、気が変わったの?

やっぱり、この家がいいって、思ったの……?」


メグちゃんは目をさまよわせた。


メグ

「そ、それは……」

夢野陽

「……」

氷室零

「……」


メグちゃんは口を閉じ、うつむいた。


メグ

「……あの木のおうちで、イヤな夢を、見たの……」

氷室零

「夢? ……どんな夢なんだ?」

メグ

「そ、それは……」


その時、ビュオッ‼ と、風が吹いた。


メグ

「あ‼」


メグちゃんが空に手を伸ばす。

その指先を、白いものがかすめた。


夢野陽

(あれは……紙?)


メグちゃんは慌てた顔をして、部屋に引っ込んだ。

空からひらひらと落ちてきた紙を、氷室さんが空中でつかんだ。


夢野陽

「オレにも見せて」


紙を見ている氷室さんの脇から、覗き込む。


夢野陽、氷室零

「‼」


オレと氷室さんは顔を見合わせた。


夢野陽

「――やっぱりメグちゃんは、ここに帰りたかったわけじゃなかったんだ」

氷室零

「ああ……」


――紙には、ログハウスの前で笑い合うオレと、

メグちゃんと、氷室さんの絵が描かれていた……。


メグ

「返して、陽、零‼」

夢野陽、氷室零

「‼」


オレと氷室さんは、声のする門の方を見た。


??

「また外に行くの⁉ 恵!」


――聞き覚えのある、甲高い声が聞こえた。


夢野陽

(この声は……)


オレと氷室さんは門のところへ走った。

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