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【完結済み】The Safe House  作者: さかな煎餅
第3章「変化」
28/58

オレたち三人はそれぞれソファーに座っていた。


氷室零

「メグ、今度は何を描いてるんだ?」


氷室さんが、メグちゃんの方に身を乗り出した。


メグ

「この前のれい! ぬいぐるみとー、れい!」

氷室零

「そうか……」


氷室さんは微笑んだ。


夢野陽

(メグちゃん、氷室さん……ずいぶん、柔らかい表情を……)


ログハウスにきた時───

メグちゃんは怯えていて、

氷室さんはむすっとした顔をしていた。

今では、ふたりはくつろいだ様子で、笑顔で話している……。


夢野陽

(これで、オレの夢が…………

────? ゆめ……? 

……なんのことだ?)


……頭をよぎった言葉に……オレは、眉をひそめた。


   ◇ ◇ ◇


――その日の夜。


夢野陽

「ここは……」


……眠りから目が覚めると、また、あの白い空間にいた。


夢野陽

「またか……」

(……今度は、なんだ? なんで、またここに──)

??

「はあ……」


下の方から声がした。

下を見ると、幼い頃のオレが三角座りをして、ため息をついていた。


幼い夢野陽

「やっと──ここまでこれた……」

夢野陽

「また、キミ……ここまで来れた、ってどういうこと?」

幼い夢野陽

「ああ、お前か」


彼はうれしそうな顔をして、オレを見上げた。


幼い夢野陽

「ありがとう」

夢野陽

「え……?」

幼い夢野陽

「この前は、罵って悪かったよ。でも、今は感謝してる。

……僕の夢を、叶えてくれたから……」

夢野陽

「ゆめ…………」


……昼間、無意識のうちに頭をよぎった言葉だ。


夢野陽

「夢って?」

幼い夢野陽

「理想の家族だよ」

夢野陽

「理想の、家族?」

??

「オイ‼‼ 犯罪者‼‼」


低い怒鳴り声が、後ろから響いてきた。


夢野陽、幼い夢野陽

「‼」


振り向くと、

スーツ姿のオレがまた、般若のような顔をしていた。


夢野陽

(なんだ?)


スーツ姿の夢野陽

「気持ち悪い……!

幼い子どもを誘拐しただけじゃなく……

こんな、家族ごっこみたいなことを……」

幼い夢野陽

「ごっこじゃない!」


幼い彼が、立ち上がった。


幼い夢野陽

「僕は、本気だ!

僕は本気で、メグちゃんと零ちゃんを、家族と思ってる!」

スーツ姿の夢野陽

「それが、気持ち悪いんだよ!」


スーツ姿のオレは、幼いオレの胸倉をつかんだ。


夢野陽

「お、おい!」


スーツ姿の夢野陽

「お前らは、お前は……

一生俺の言うことを聞いてれば……

平凡かもしれねえが、死ぬまで安泰に生きられたのに……

なに、余計なことをしてんだよ!」


彼は幼いオレを殴りつけた。


幼い夢野陽

「うっ!」

夢野陽

「いっ……⁉」


……オレのほおも、ズキズキと痛んだ。


夢野陽

(なんだ……これ⁉)

スーツ姿の夢野陽

「なにが、理想の家族だ! この犯罪者! 死ね!」


彼は床に転がった幼いオレの腹を、何度も殴りつけた。


幼い夢野陽

「いたい! 痛いよ‼ やめてっ‼」


オレの腹も、ズキズキと痛む……。


夢野陽

「う、うう……!」


オレはその場に膝をついた。


夢野陽

(なんだ⁉ なんで、オレと彼が……⁉)


スーツ姿の夢野陽

「この、犯罪者! 死ね!

俺の言うことを、無視しやがって‼

女児誘拐なんて、余計なことすんじゃねえよ‼ ああ⁉」


……何度も何度も、腹に痛みが走る……。


夢野陽

(もう、ダメだ……意識が────)


   ◇ ◇ ◇


夢野陽

「…………はっ!」


……目が覚めた。木の天井が、見える……。


夢野陽

(今度は、現実────……痛っ⁉)


急に、腹が痛み始めた。


夢野陽

「う、うう……!」

(痛い、痛い……‼‼ なんなんだ⁉

……さっき見たよく分からない夢が、関係してるのか⁉)


……スマートフォンに、手を伸ばす。


夢野陽

(あの医者に、連絡を────)


……義眼の医者が、脳裏をよぎった。

……それと同時に、

病室で心配そうな顔でオレを覗き込む、

メグちゃんと氷室さんも────

……スマートフォンに伸ばした手を、腹に持って行った。


夢野陽

(ダメだ……ふたりに心配は、かけられない……

……この犯罪は、この事件は全部、

オレが始めたことなんだ、だから、

オレは、黙って耐えていれば────)


オレは、カーテンの隙間から陽が差し込むまで……腹をおさえて唸っていた……。

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