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消えた青春 ──コロナ明けの私へ──

作者: 赤槻春来

 不定期に上げる変な短編第3弾。(1弾2弾はpixivにて掲載)

 ストーリー性などはとくに考えていないので悪しからず。

拝啓 未来の私へ


 コロナ禍が鳴りを潜め、「大人」となった私は、今いかがお過ごしでしょうか。

 親しい友人と過ごしているのか、はたまた恋愛を経験し結婚までしているのか…いずれにせよ、私のことですからその選択に納得がいった上で生活を送っていることでしょう。


 さて、これを書いている私は、いよいよ就活に差し掛かり、自分を振り返る時期となっています。…件の官能小説の時と同じですね。

 大学生活は特にこれといった特殊な行事も無く、いよいよ資格取得目前となりました。ボランティアや実習は─ここでは書けませんしね。手元の記録を是非見返してください。


 閑話休題。


 履歴書を書くに当たって、ふと自分の青春が何か、思い返したのです。…高校生活を思い出して、私自身が、忘れないように。

 長い前置きですが少しだけ、また私の思い付きにお付き合いください。



ーーー



 高校1年生、春前。

 学年末試験を控えた私の耳に届いたのは、後に3年近く続くコロナ禍の産声だった。


 学校では「どこどこに感染者が出た」や「あの学校が休校になった」といった話が、まことしやかに囁かれていた。…まぁ、私自身は試験目前にしたことで進級すら危うい苦境に立たされていたのだけれど。


 転機が訪れたのは2月の最終週。

 我が校で遂に感染者が出たことにより、卒業式を前にして高校が休校になったのだ。

 感染症の存在がより一層身近になった瞬間でもあるが…

 ──私はそれよりも、試験がどうなったかについてそれどころではなかった。まぁ、結果から言えば試験自体が無くなりその地点での成績で繰り上げになったのだが。

 私が安堵の息を吐くその時から、既にパンデミックは始まっていた。



 高校2年生、春。

 リモート授業が始まり、ゴールデンウィークを開けても尚、学校へ登校は愚か、人と会うことすらめっきりなくなってしまっていた。…まぁ、私自身はようやく買ってもらったパソコンを弄って、動画やアニメを見て過ごしていたのだが。勉強に身が入らなかったのは言うまでもないだろう。


 6月を手前にして、ようやく再開されたな高校。

 窮屈なパーテーションに区切られ、マスクで互いの顔を見ることも、誰かと話をすることも許されぬ学校生活。部活も、委員会も、高1の時はあった体育祭も、もちろんそんなものは存在していない。

 中学までで憧れていた青春──高2の学生生活は、音を立てて崩れ去ったのだ。


 さて、話は少し変わるが、高2開始地点で、私には仲の良いと思える友人がいなかった。

 クラスメイトとして話す相手程度はいたが、互いに連絡をとっていないあたり仲の良いとは言い難い。

 2、3年時では特に、顔が見えなかった環境であったため、私の人見知りに拍車をかけたことは想像に難くないだろう。


 そんな人見知りの激しい私には、高校生活で唯一友人と言っていい人がいた。彼は後に皆勤賞を貰っている人物なのではあるが、人物像については言葉では割愛することにする。



 高校2年生、夏。

 文系、理系でコース分けされたクラスもようやく馴染みはじめ、少しずつ、窮屈な学校生活にも順応しはじめた頃。


 学校生活の一大イベントである、『修学旅行』が中止となったことが伝えられた。


 学校生活の華形、修学旅行。

 いくつもの作品でイベントが起こる舞台であり、私自身が入学説明会で高校に興味を持った一因でもある。仲良かった人が少ないとはいえ、流石に私も意気消沈をした。

(余談だが、私が書いている修学旅行関連のエピソードは、当時奇跡的に行けた知人や後の弟達からの受け売りである)



 高校2年生、秋。

 外出自粛により、特に外出もできない夏休みを終えた私達は、学期末試験を控え登校を再開する。

 夏休み中のエピソードは、最早語る必要も無いだろう。もちろん創作や親世代が語るようや華々しい青春的エピソードなど、語る内容は皆無。寧ろ同年代でそのようなエピソードを持っている人は、社会基盤に馴染めない不良となってしまうであろう。


 閑話休題。

 本来文化祭を控えていた秋。この御時世、私の通った高校ではもちろん文化祭なぞ存在しない。

 教員達の働きにより、なんとか代替のモノを用意したはいいものの、残念ながら当時の私はクラスの絵を描いたくらいしか携わった記憶が無い。(その絵も原本は提出済みで既に無く、データ上としても見れなくなっている)



 高校2年生、冬。

 いよいよ受験が見え始め、早い人は既に動きはじめた頃。

 ようやく活動可能になった部活動も、大会は何処も無くなった。この頃、原因は私の知らぬところではあったが、1年生の頃は仲良かったはずの女子部員同士の仲違いが激化し、ギスギスとした場面も多く目にするようになった。(個人的には、女同士が真に仲良くなれないと悟った瞬間でもある)


 クリスマスやそれに準ずるイベントがあるように思えるが、もちろんそんなものは存在しない。

 外出も、交友も制限された世では、そんな場違いなことをできるはずもない。


 もし突出したイベントがあるとすれば、年始の深夜に地元の知人3人とサッカーをしたことくらいだろうか。(その知人も今では連絡すら取っていないが)

 もちろん、学校で開催されるはずだった球技大会やバレンタイン等といったイベントが軒並みなくなったのは言うまでもない。



 高校3年生、春夏。

 私自身が最も壊れていた時期。

 何をするでも無く、ただ受験勉強に時間が相殺されていく毎日。

 ようやく動きはじめた部活も無くなり、もっぱら塾と学校を家と往復する毎日だが、未だに対面は規制され、私語は不可、家族以外で最も接する時間の長かったはずの講師の顔すら、最早鮮明に思い出すことすらできない。

 今となって考えれば、件の官能小説はそんな狂った私の内面の表れだったのかもしれない。



 高校3年生、秋冬。

 各大学の受験が始まり、クラスの人達がチラホラと欠席が目立ち始める頃。相変わらず話すらできない空間は、ピリピリとした受験モードへと切り替わる。

 文化祭も球技大会も、その他クリスマスやバレンタインなど、イベントなんてものはもちろん存在しない。…まぁ、例の難しくなった数学の共通テストにあたり絶望したことはある意味イベントであったのかもしれないが。 

 卒業式も、部活の送別会のようなものも無く、淡々と証書だけ渡され、私は高校生活を終えたのだ。



 大学進学後、終息の兆しが見え始める頃。

 対面が基本に戻りつつも、通年であった合宿も新歓もすべて無く、気付けは資格課程で消費されていく大学生活。結局そこでコロナにもかかり、その苦しさを味わうことになったのだが…まぁ、後遺症が無かっただけマシであろう。


 知人の顔すらわからぬ3年間。他人や周りに興味を示さなくなった私の中で、それは特に注目されるでもなく、ひっそりと幕を閉じていった。



ーーー



 現実は小説よりも奇なり。

 華々しい小説上のような青春ではなく、『何もできなかった』という青春を送った私。何処かで見たこの言葉は、ある意味自分にも当てはまると思います。

 確かに華々しい交流は無かったけれど、もしかしたらそう思えることこそが私の青春だったのかもしれません。


 

 別に私は不幸自慢をしたくてこれを書いたわけではありません。

 私よりももっと酷い状態の人も、そんなピンとこなかったという人もたくさんいるでしょう。でもそれは、きっとその人の物語であり、本人だけの青春なのではないかと、私は思います。


 これを読んでいる私は、今、どんな生活を送っていますか?

 今ハマっている趣味も、繋がっている縁も、何処まで保っているのか、今の私にはわかりません。


 もし、不安で挫けそうなら、また一度立ち止まって初心を思い返してください。

 最初はきっと興味と好奇心が原動力なはずなのだから。


 いつか、未来の私が、こんな『青春』を笑い飛ばせるように。笑い話として、私にコレを語ってくれるように。

 堂々と胸を張れる生き方をしていると、私は私を信じています。



敬具

 駄文失礼しました。

 ここで書くかは迷いましたが、処女作の完結が作者視点として見えてきたのを期に突発的に書きたくなったので書き殴らせていただきました。

 更新ペースが遅いので、もしかしたらまだ数年かかるかもしれませんが、私の作品で少しでも笑っていただけましたら幸いです。

 

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