バイト禁止の高校でも家業ならセーフ!
ある日の事。
学校からダッシュで帰って、きさらはすぐに着替えていつものお祓いに行った。
場所は松山城東高校・・・きさらの通う学校のすぐ近くにある踏み切りだ。
時刻は5時30分。きさらの通う学校の生徒が沢山いる中でお祓いをする。
この踏み切りでは2日前人身事故があった・・・。
借金に苦しみこの踏み切りで自殺した夫婦の霊を祓ってくれと、この踏み切りの近くに工場を持つ社長さんから依頼が来た。
実はきさらは小学生の頃からお祓いをしているから、愛媛県内では有名な除霊師なのである。だからお祓いの依頼は何もしなくても入って来る。
それでお祓いをするのは良いのだけれど・・・きさらが困るのは同じ学校の子が踏み切りを渡る中で除霊しなければならないという事である。
みんなが見ている中でお祓いするのは正直恥ずかしいし、同じクラスの人が見ていたらどうしようという事である。
まぁきさらはクラスでは存在感薄いし、カースト底辺だからカースト上位の陽キャ達に認識さえされてないと思うけど万が一の事があるから怖い。
巫女の格好でお祓いしているのをクラスの陽キャに見られたら嫌だな・・・・って思う。てか次の日絶対にいじられる・・・!
きさらは同じ学校の生徒が沢山いる中で、とりあえず除霊をする。
この前みたいにどこかの右打者の様なフルスイングではなく、丁寧に大麻を振って除霊をする・・・。
一通り除霊が完了すると、きさらは帰ろうとする。
がっ・・・!ふと目が合った!同じクラスの陽キャ女子と!
「あっれぇ〜〜〜〜?宇都宮さんだ〜〜〜?」
顔は知っているが名前は知らないクラスのカースト最上位の女と目が合ってしまった。
きさらは目が合った瞬間変な汗が出た。
「あ、え・・・」
「あれあれ〜?うちの学校、校則でバイト禁止じゃなかったかな〜?宇都宮さん、除霊のバイトしてんでしょ?先生に報告しちゃおうかな〜〜〜〜〜?」
このカースト最上位の女はいつも授業が終わるとホームルームが終わると先生達と楽しそうに話す女。髪型は姫カットで身長も胸もきさらより大きい。
それ故に、先生達と仲が良い。
きさらは先生と仲の良いタイプの人が苦手だ。
すぐに人の些細な事を先生にチクるというか、報告したりするから見ていて嫌になるのだ。
「私は家が神社だから・・・。除霊は家業の1つだよ?」
家業はバイトでは無いから基本的にはセーフだ。先生に問い詰められても大目に見てもらえるだろう。
するとカースト最上位の女は「ふーん。あっそ!」と言って、きさらを見下した目で去っていった。
「嫌な奴・・・」
きさらは去って行くカースト最上位の女を睨み付けて、そのまま帰っていく。