実はこの世は幽霊がうじゃうじゃいる
家の近くの駅で電車から降りて歩いて家へ帰ると、きさらは嫌な気配を感じた。
気配のある方を見てみると自販機の目の前で小汚い幽霊がジッと自販機のボタンを押していた。
これはさっき電車で見た浮遊霊の類の霊である。
服装からしてつい最近亡くなった人だろうか・・・・。
きさらは周囲を見て誰もいないことを確認して大麻を取り出す。
霊を祓うところを誰かに見られるのは恥ずかしいから電車ではやらなかったけど、周りに誰もいない今なら祓う事が出来る。
きさらは普通に自販機の前にいる霊の後ろに立ち、大麻と塩を取り出し、大麻に塩をかけてから霊に向かって右の強打者並みのフルスイングをかました。
「へ・・・ぷ、ぼっ・・・!?」
自販機の前にいた幽霊は驚いた顔と共に奇妙な声を出してスゥ~と消えていった。
これがきさらのお祓いの仕方である。除霊の仕事をする時は周りに人がいる時は丁寧に大麻を振ってお祓いをするが、誰も居ない時は豪快にフルスイングをする。
この方が日々のストレスも発散出来るし気持ち良いのだ。
ちなみに大麻でフルスイングする前に大麻に塩をかけたのは除霊効果が少しでも上がるようにする為である。
子供の時に見たテレビでは盛り塩は悪い気を祓うと言っていたので、登場小学生だったきさらはそれを信じて除霊をしていた。
そのやり方で今までずっと祓ってきたので、きさらは今後もこの方法で祓い続けるだろう。
自販機の幽霊を祓ってから10分程歩くと寂れた神社の見えてきた。
この神社の敷地の隣にあるボロい家がきさらの家である。
先祖代々寂れた神社を受け継ぎ続けてはいるが寂れた神社って参拝客も少ないから神社での収入はほぼ無い。
・・・と思っていたが、きさらのお祓いの仕事は見事に神社の仕事である。神社の仕事として除霊の仕事を受けているから一応神社の収入と言えるだろう。
しかも意外と思うかも知れないが除霊の仕事は多いのだ。ちゃんと除霊しても際限なく除霊の依頼が入って来る。
みんなが思っている以上にこの世は幽霊だらけで、そこら辺を歩いているだけで幽霊に出くわすものである。
「さてと・・・。アレ?」
きさらは荷物を部屋に置いてからアニメでも見ようと思っていたのだが、何やら変な気配がする。
きさらの感じる変な気配というのは殆どが心霊関係である。
「うわぁ・・・。家の中に幽霊が入っているよ・・・」
きさらの家はボロくて汚い家である。家の中も自分の部屋は綺麗だけど母と父の部屋は基本的に汚い。
きさらが綺麗に片付けてもたまに帰ってきてはグチャグチャに散らかして、そして何ヶ月も県外で仕事する。
「そういえば半月前にお父さんとお母さんが帰ってきたけど、二人の部屋の掃除まだやってなかったなぁ・・・」
幽霊は陰の気があるところに集まりやすい。ただでさえ幽霊が近寄りやすい神社。そして隣にあるボロい家なのだ、その上部屋が汚いとなれば幽霊はうじゃうじゃと寄ってくる。
「あーもう!幽霊なんてみんなフルスイングで消しちゃう!気味が悪いもん!」
大麻をブンブン振り回してきさらは家にいる幽霊退治に奔走するのであった。