コレはいかんでしょ
次の日、きさらはグッスリ寝てしまって午前11時に目が覚めた。
「うーん・・・めっちゃ寝ちゃった」
あくびをして身体をゆっくりと伸ばしてベッドから起き上がる。
昨日寝たのが遅かったからか昼前までグッスリ寝てしまっていた。
しかしグッスリ寝る事が出来たのは幽霊をちゃんと祓った証拠でもある。幽霊を祓っても寝苦しかったりするとちゃんと幽霊を祓えていない場合があるし、また別の幽霊が現れた場合がある。
今回きさらはきちんと御札も貼ったし、盛り塩もやったからしばらく幽霊は入ってこないはずだ。
「さてと・・・」
きさらは起きて歯を磨いて、顔を洗って・・・軽く化粧をすると、この寮の事務所へと向かう。
「あ、すみません・・・」
事務所の扉を開けて緊張した顔できさらは人を呼ぶ。
すると昨日の感じの悪いおじさんが現れた。
「祓ったのか?」
いきなり感じ悪く接してくるおじさんだが、きさらは出来るだけ気にしないようにする。
「は、祓いました。なので報告しに来ました・・・」
きさらはどうもこのおじさんが苦手だ。というか誰だってこんな感じの悪いおじさんなんて苦手だし嫌いだろう。
「そうか。じゃあコレ渡しておく。」
おじさんは事務所の引き出しの中から封筒を取り出してきさらに投げる様に渡す。そしてきさらはそれを上手く取れずに落とした為拾う。
「あっ!落としちゃった・・・」
「ふん、じゃあ早く帰りたまえ」
おじさんは冷たい目付きをしてきさらを事務所から追い出そうとする。
「は、はい。すみません・・・」
きさらもこの空気が嫌でさっさと事務所から出る。泣きそうな顔をしながら。
そして事務所から出てしばらく歩くときさらはしゃがみ込む。
「うう、怖かったよぅ・・・」
威圧的で感じ悪いおじさんに冷たい対応をされて泣きそうなきさらちゃん。
年頃の気の弱い女の子のきさらちゃんは幽霊の怖さは克服できたけど怖い人間に対してはまだ克服できていない。
なので1人でグスンと泣く。
そしてしばらく泣いたきさらは気持ちを切り替えて歩こうとしたが、何となく封筒の中が気になった。
「そういえば今回はどれくらい入っているんだろ?」
この封筒の中身はお金である。きさらのお祓いのお金は手渡しか銀行振り込みにしてもらっている。殆どが手渡しだが、有名な大企業とかだと銀行振り込みしてくるパターンもある。
そしてきさらのお祓いの値段だが、コレは相手の次第である。相手の経済状況次第で貰うお金が違う。
これはきさらがお金のない人に多くのお金を払わせたくないという思いからきている。
だからお金のない人からは貰わない事もある。
だが今回は有名な自動車メーカーである。きさらは少し期待して封筒を開けると・・・。
「こ、これは・・・!」
図書券1万円分であった。
「そ、そんな!現金じゃないなんて・・・!」
本来封筒に入れるはずなのは現金である。なのに図書券1万円分なんてあんまりだ。
「きっとあのおじさんだ。あのおじさんが私が小娘だからって図書券にしたんだ。こんなのあんまりだよ・・・」
お祓いの値段は相手次第・・・とはいえ有名自動車メーカーがこんな事するとは思わずきさらはショックを受けてしまう。




