幽霊の近寄る温泉とそうでない温泉
きさらが来た場所は露天風呂。深夜の露天風呂は誰も居ないから広く感じる。
それにここの温泉は基本的に塩化物泉だから幽霊は必要以上に近寄ってこない。
幽霊は塩が苦手である。きさらはいつも幽霊に塩をぶっかけて退治しているが、塩水でも対峙することが可能である。
故に塩化物泉である温泉の中に入ることは出来ないのだ。
とはいえ、ここの温泉には普通のお湯もあるから幽霊はそこの湯に浸かっているのが遠目からでも分かる。
露天風呂に手を入れて水温を確かめたきさらはゆっくりと温泉に浸かる。すると物凄く気持ち良くて身体の疲れを取ってくれるような気分になった。
「やっぱり塩化物温泉は良いな♪幽霊が近寄ってこないし♪身体は温まるし♪あぁ〜ん♪気持ちいいなぁ〜♪」
するときさらは誰も人が居ないのをいい事に歌を歌いだす。
「〜〜〜〜♪♪♪♪」
きさらの歌っている歌はアニソン。基本的にきさらはアニメ以外観ないから必然的にアニソンしか歌えないし興味もない。
今流行りのドラマとか知らないし、人気の芸能人も知らない。
とはいえアニメや声優さんは好きだけどドハマリしているわけでもない。わざわざグッズを買ったりまでしない感じの軽いアニメ好きである。
きさらはアニソンを歌いながら、ふと空を見てみる。
するときさらの目には綺麗な星空に満月が見えた。
「ふふ・・・♪♪♪」
上機嫌で顔をニヤける。きさらはこの綺麗な夜空を見れて幸せに感じた。
「今日1日嫌な思いもしたけど、巫女をしている私じゃないとこんな美しい夜空を1人で観ることは出来なかっただろうな・・・♪」
実際に家で風呂に入ったら絶対にこの夜空を見ることは出来なかった。巫女として町に出てお祓いをしたからこそ、この誰も居ないこの時間に来て静かに美しい夜空を観れたのだ。
きさらは巫女として生まれたことが嫌になる時もあるし霊感があることが辛く感じることもあるけど、こんな綺麗な夜空を見れる事が出来るなら我慢できる。
この美しい夜空こそがきさらにとっては何よりの馳走であった。
「大人になればこんな夜空を見ながらお酒を飲んでみたいな・・・♪雰囲気が良いし♪」
きさらは高校1年で既にお酒に興味がある模様。
お父さんとお母さんがいつもお酒を飲んでいるから嫌でも興味が出るものだ。
両親共にお酒を飲んでいると凄く上機嫌で楽しそうにしているから、きさらも飲んでみたくなる。
「あぁ〜早く大人になりたいなぁ〜♪大人になったらお酒を飲んでつまみも食って〜酔いたいなぁ〜♪」
きさらは誰も居ない事をいいことによく分からない歌を歌い出した。こんなの人前では絶対にしない事だけど、誰も居ないし幸せ気分の今ならではの行動である。




