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朝焼けの戦場

異世界での戦闘が本格的に始まります!

布団を抱きしめて気持ちよく眠っていたカロラインを起こしたのは、フレイアの必死な叫び声だった。

「カロラインさん!? 早く起きてください!」

「なにヨォ、まだ日も出ていないじゃない・・・もう少し眠らせて」

「ダメです! 敵襲なのです!」

「何!」

敵襲と聞いてカロラインはベットから飛び起き、ものの1分で戦闘服に着替えてしまった。魔王討伐に関連する敵を殲滅する事が、彼女がこの世界でできる唯一の仕事だ。もし彼女が戦いを拒んだのなら、彼女は衣食住の権利を剥奪されて城を追い出されてしまうだろう。大甲冑を使用してこの王国を制圧して支配する事も可能だが、大切な人を殺したグレートライトの人間ならともかく、憎くもない王国民に危害を加えようとは考えもしなかった。

「敵は王国北部の海岸に出現しました。岩石巨人を主力とする大部隊です!」

「なんでもっと早く起こさなかった!?」

「起こしてもカロラインさんは気持ち良さそうに寝て、一向に起きてくれなかったじゃないですか!」

「うっ・・・」

カロラインはフレイアのもっともな意見に言葉を詰まらせた。元の世界にいた時から彼女は理不尽なことを言う癖がある。しかし大甲冑の操縦の腕は確かなので大目に見られてきたのだ。

「とにかく、行くわよ!」

王宮の裏には、巨大なプールがある。その中は特殊な薬草を混ぜた液体で満たされており、その中には全長30メートル程の鋼鉄の巨人が座っていた。カロラインの元いた世界の覇権国家、大日本国連邦の誇る兵器「大甲冑」である。カロラインはすぐさま大甲冑のコックピットに乗り込み、起動用コードを入力しはじめるのであった。




王国北部の森を抜けた先にある海岸は、ヒト型の茶色い岩石に埋め尽くされていた。これらは岩石巨人と言う、その名の通り岩で出来た巨人で、防御力が強いため、上級貴族が使える爆裂魔動のフラッシュボムを多用してやっと一体倒せるほどに強い。




「今までこんな事はなかったですなぁ」

王宮の会議室で水晶越しに海岸の様子を見ていた、口髭を生やした大臣が首を傾げながら言う。彼は朝に弱いのか、しきりにあくびをしている。

「全くだ。もしかすると、奴らに魔神を召喚したことを悟られたのかもしれないぞ。この大掛かりな侵攻は、魔神排除のための作戦と推測できる」

そう答えるのは王国の将軍だ。

「観測魔動妨害用結界を張り巡らせていたのですよ? そんな事・・・!」

「まあ、心配するな。魔神の力があればあんな奴ら石ころも同然だろうが」

「!?」

将軍の発言に眠そうな顔をしていた大臣は驚いた顔をする。岩石巨人は一体ですら並の兵士たちでは苦戦すると言うのに、それが何体もいるのだ。いくら魔神でも、厳しいのではと彼は思っていたのだ。

「いやあ、魔神の力について記述のある古文書を読んでみたのだがね、あれは我々の想像を遥かに超える存在だよ。だから絶対に魔神を操るカロライン様の機嫌を損ねる様な事はしないように。王国の運命は彼女にかかっていると言っても過言ではないのだからね」




海岸では屈強な兵士と高級魔導士が、岩石巨人達の森以降への侵攻を斧を振るい、魔道をぶつけ、斧が壊れれば兜を投げつけ、砂で目眩しをするなどの必死の抵抗でなんとか食い止めていた。時折ズドーンと、爆発による振動で砂が踊る。森の木に隠れて兵士が通信用の水晶玉に向かって増援を求めている。

「こちら湾岸防衛兵団混合戦隊! 第1防衛線が突破されそうです! 至急増援を求む!」




「吹き飛びなぁ!!」

戦場に少し遅れてきたカロラインは、海岸に出るや否や大甲冑に装備されている汎用小型ミサイルを連発しする。それは堅牢な岩石巨人の体にあたるや否や弾け、眩い光をとともに砂塵を含んだ熱風を巻き起こす。そして光は正面の岩石巨人数十体を消滅させてしまった。バラバラに砕け散った破片すら残らないのは、そのミサイルが反物質を利用した兵器だからだ。対消滅の際に発生する莫大なエネルギーは、大甲冑のエネルギー波吸収装置で減少されて、並の爆発に抑え込まれる。吸収したエネルギーは対生成で様々な素粒子に変換され、武装の材料にされる。ちなみにこのミサイルは、大甲冑内の自動生産機のお陰で、材料さえあれば弾切れにはならない。反物質は大甲冑の予備リアクターにも使われているタルタロス断層と言う、いまだに未知の多い亜空間から精製している。




「フッ、ウッフフフフ!」

今のカロラインは岩石巨人で遊んでいた。ミサイルであらかたの敵を片付けてしまったからだ。カロラインは捕まえた岩石巨人の手足を無理やり胴体から引き離し、頭のあったところに足をくっつけたり、ほかの岩石巨人から奪ったもぎたてホヤホヤの脚部を両腕に無理やりくっつけて、岩石巨人を四足歩行しかできないようにしたり、上半身を対にしてくっつけてみたりと、福笑い的な遊びを思いついてしまったので実行している最中だ。



この世の理に極限まで近付いたかのような、然し一瞬で決着のついた大甲冑(魔神)の戦いの様子を見ている物達がいる。特に大甲冑を興味津々に、青い瞳をきらめかせて観ているのは、アリーセと言う名の魔道士の少女だ。岩石巨人迎撃の戦いに参加しているアリーセは目の前で起こった出来事に興奮して、近くにいた友人であり同期でもある少年に食って掛かるように質問した。

「ねえねえジョセフ聞いてよ! 魔神の使ったあの技、一体何なのあれ! 消滅魔動の類いなの!? それとも古代秘術と言われた絶対魔法!?」

ジョセフと呼ばれた黒い髪の少年は冷静に答える。

「アリーセ、どちらも違うぞ。魔動も絶対魔法も発動すれば魔動余波が必ず発生するんだが、あの技からはそれが感じられない。俺らの認知を超えた術なんだろうな」

「ふーん。流石ジョセフ! よくわからなかったわ!」

ジョセフはずっこけた。

「魔動の知識が足りないのによく高等魔動を使えるなぁ」

「使えるんだから何でもいいじゃない♪ 何たって私は天才だから、訓練なしに詠唱するだけで魔動が使えるんだもん! にしても魔神が羨ましいなぁ。私も岩石巨人をあんな風にして遊んでみたいな!」

呆れるジョセフに対して楽しそうに言ったアリーセだが、瞬時に顔を硬らせて防御魔動を発動させる。

「エマージェンシー・ウエポンコード・ディー!!」

アリーセの持つイマジナリーステッキから青い閃光が迸り、巨大な半透明の青い盾を作り出す。その刹那、業火が盾を包み込んだ。

「一体何が・・・!?」

「いいから! このまま退却するわよ!!」

二人は盾に守られながら後退りし、森の中に隠れた。




森の中で一息ついた二人は、あたりの様子を伺っていた。魔神があらかた岩石巨人を消滅させているが、様子がおかしかった。ジョセフはアリーセに状況を確認する。

「何があった?」

「あれよ」

彼女が指さした先では、空が火を吹いていた。

「あれはドラゴン!?」

「そうよ。姿が見えないけど、あんなことができる怪物は他にいない」

アリーセは魔動の知識はからっきしだが、怪物の知識は人一倍あるのだ。

「形状認識妨害魔動か! 魔神でも姿が見えない相手では・・・」



ドラゴンとの戦いの始めは大甲冑のレーダー機能と砲弾の破片効果で、効率的に敵を撃破していたが、わらわらと湧いてくるドラゴンの群れに兵器の自動生産能力が追いつかず、暫く兵器が使えなくなってしまった。そこでカロラインは大甲冑で生き残りの岩石巨人を砕き、それをドラゴン達に向けて投げ飛ばした。岩石で肉が抉れて絶命したドラゴンがボトボトと落ちてくるが、今や空を埋め尽くさんばかりのドラゴンの群れに対してそれは焼け石に水であった。



「うーん・・・窒素爆弾の爆発にも耐えられる装甲があるとはいえ、炎で炙られ続けるのは不愉快ねぇ。しかも炎が森に引火しているから、このままだと王都にも被害が出るわ」

後方の森は延焼部分が広がり始め、朝日に負けない勢いで空を赤く染めている。決着を早くつけないと甚大な被害が出るだろう。カロラインは衝撃緩和液に満たされたコックピットの中で、腕を組んで考えこんでいた。前髪が液にふわふわ浮いて海藻のようだ。

「追撃誘導弾はこのステルストカゲ共の発炎器官にあまり反応しないようだし・・・」

カロラインは、ハアーとため息をつく。

「この機能使った事ないけど、一か八かね!」

コックピットのモニターには「空間圧壊機能」の文字が映し出されていた。

投稿が遅れて申し訳ありません! 拙い文章ですが、楽しんでいただけたら幸いです。諸事情で暫く更新できないことがあるかもしれませんが、何卒ご了承ください。

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