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最終決戦

SFにでてくる様なロボット兵器が、ファンタジーな世界に移転して戦う話です!

 新世暦一〇年、太平洋のある島では世紀の大決戦が行われていた。アジアの盟主たる「大日本連邦」の精鋭部隊と、それに抵抗する、世界に悪名を轟かす武装組織「グレートライト」の戦いは、島の地形を全く変えてしまうほどである。


 山は抉られて谷になり、谷は埋め立てられて山になり、湖の水は地が削られたことで、全て外洋に流れ出て、森林は薙ぎ倒されて木材置き場になった。


 浜辺には砲撃音でショック死した鯨や海豚がジェンガの様に積み重なって流れ着き、耐え難い悪臭を放っている。


 壊れて放置された戦車の上では、どこから来たのか、鳩がとまって日光浴をしている。


 DODODODO!


 轟音が鳴り響く。上空から三〇メートルはある鋼鉄の巨人が、背中のジェットを使って減速しながら、戦車を跨いで着地した。鳩は気絶し、熱い草むらの中にポトリと落ちて見えなくなった。


 その正体は、日本国の科学力の結晶たる新兵器「強襲用大型重武装甲冑」通称、大甲冑である。




 衝撃緩和液で満たされたコックピット内で、パイロットの若い女性が、作戦司令部に向かって音声で通信を入れる。




「ハコネヤマハカイセイ」





 美しい声でそう言う彼女の名は、武東・カロラインという。白人との混血で、高い身長に長い手足は、彼女とすれ違った男は必ず振り返ると言われるほどスタイルが良い。


 大甲冑の操縦時に着用する操縦着は、ダイビングスーツの様な形状で、特殊な繊維でおられており、軽いが防弾チョッキ並みの防御性能を誇る。彼女の体に吸い付く黒の操縦着は、彼女の胸とヒップの美しい曲線を強調していた。


 彼女の眉は力強い線を引き、長いまつ毛は美しく、綺麗な青い瞳の中には、燃え上がる闘志が隠されている。


 彼女は通信を入れ終わると、機体制御用のレバー横に付いているボタンを押す。すると、液体内に投影された映像出力兼入力画面が現れる。彼女はそれを操作して、大甲冑の稼働率矯正プログラムを解除し、目的地である、敵の軍事要塞へと大甲冑を駆った。


「武者振るいがする!敵には全員地獄を見せてやるわ!」


 大甲冑はスポーツカー並みのスピードで敵の軍事要塞目掛けて突進する。途中、敵の歩兵や装甲車が進路にいたが、構わずに進んだ。後方にできた肉塊や血飛沫にはめもくれなかった。


 稼働率矯正プログラムを解除された大甲冑は、搭乗安全圏ギリギリの稼働をする代わりに、機体のフルパワーに近い性能を発揮することができる。そのため、5キロ離れた目的地には1分とかからずに到着した。




 敵の軍事要塞は幾十もの装甲が張られ、それは地下にも及んでいる。対地装備は勿論、対空装備も充実しており、連邦軍が攻撃を仕掛ける前は、島一個が強固な要塞と化していたのだ。海岸沿いに仕掛けられたAI付きの対艦ミサイルや魚雷発射装置は、世界トップクラスの軍事力を誇る連邦軍を苦戦させた。核兵器や窒素爆弾を何発も使用したなら別だが、通常の兵器ならこの要塞を突破するのは困難だろう。


 そんな鉄壁の要塞を突破するために、この大甲冑が使用されることになった。この大甲冑は、人工筋肉をベースに造られており、腕の一振りは、軽く見積もっても、戦車砲の五倍の威力がある。また、光学迷彩を使用して姿を消すことや、音波シールドという、音波で敵の物理攻撃を防ぐ能力も持っている。噂では、地球外生物の生体組織を利用していると言われているが、真偽は定かではない。何にしろ、この大甲冑は、核兵器と窒素爆弾に匹敵する力を持つのだ。



 彼女はコックピットのレバーを操作し、大甲冑の剛腕をふるって要塞の装甲を破壊する。一撃、また一撃。それに伴い、一枚、また一枚と、連邦軍を苦戦させた装甲板が破壊されてゆく。彼女の大甲冑には容赦なく大砲や小銃の連射が浴びせられるが、全く効いている様子はない。


 二、三人の敵の砲兵が大甲冑に近づき、攻撃してきた。


 BOM!


 砲弾は大甲冑の首もとに当たった。


「やったか!」


 砲兵の一人が叫ぶ。しかし・・・


「ビックリさせんじゃないわよ!?」


「そ、そんなバカな!この距離だぞ!?」


 砲兵達の顔は絶望に染まる。


「アッハハハ!そんなにアタシに殺されたいのかしら!?」


 コックピットの中で彼女は、その美しい顔を嗜虐的にして大甲冑に恐ろしい行動を取らせ始める。


 稀に、この敵兵の様に近距離で攻撃することで、攻撃の効果をあげようと攻撃してくる命知らずの敵の戦車や砲兵がいたが、彼女は害虫を潰すかの様に踏み潰したり、掴んで放り投げ、地に叩きつけたりもした。放り投げた戦車に、もう一台の敵の戦車を投げつけ、空中で衝突させて爆散させた。叩きつけられた敵兵はペシャンコになり、肉片は爆風に吹き飛ばされた。その効果があったのか、近距離で攻撃をされることはなくなった。


「フフフ、ウッフフフ!」


 彼女は笑い声をあげる。声だけ聞いたのなら、綺麗な声だなぁと思う程度かもしれない。しかし、彼女の周りを見よ!大甲冑の手は血に染まり、周りには肉塊や血溜まり、爆散した戦車の残骸などが転がっている。綺麗な青い瞳は今や、闘志と嗜虐性に満ちて冷たい光を放っていた。その眼光は、敵を戦闘という合法的な行為で痛ぶる快感と、敵と戦う事に快感を覚える彼女の性格を象徴している。


 彼女は戦場の女王。支配者である。そこで彼女に太刀打ちできるものは存在しなかった。



「アッハハハ!あと一枚!」


 BAGONN!


 最後の装甲板が破壊された。敵の最後の命綱が切れた瞬間である。



「フッハハハハ!この中の連中は皆殺しよ!アタシの親友を殺した罪は重いわよ!フフフ!せいぜい苦しみ抜いて、死ぬ間際までアタシを楽しませなさい!」


彼女はそう言うと、レバーと、それについたボタンを操作して、大甲冑の片腕を装甲板に開いた穴に突っ込み、その手先からモクモクと毒ガスを注入する。それと同時に要塞内部を偵察する為の小型飛行カメラを飛ばす。


程なくして、要塞の中からは悲鳴や怒号が聞こえてきた。カメラから送られてくる映像が、彼女のコックピット内に映し出される。


映し出されたのは地獄絵図である。血反吐を吐いて痙攣する者、毒ガスに苦しみながらも責任のなすりつけ合いで乱闘する者、頭を下げて彼女の大甲冑に許しを乞う者、小便を漏らす者、それを拭く者、毒ガスで気が狂ったのか自慰をする者、歌う者、祈る者などなど。


彼女は敵兵が毒ガスで苦しむ様子を観ながら、自慰を始める。


「ああん!最高!奴らが苦しむ様子を観られるなんてぇ!」


彼女は快楽に喘ぎ、息を荒げる。


「ハア、ハア、ハァン!あぁ!もっと、もっと、もっとぉ!苦しみなさい!」


要塞内が静寂に包まれた時、彼女は絶頂を迎え終わって息を整えていた。


「フウー」


コックピット内も、彼女のため息を最後に、計器の音を除いて静まり返った。


彼女の活躍により、敵の軍事要塞は陥落した。



作戦司令部から、迎えの部隊が来るまで待機せよと命令が来たので、彼女は自分が陥落させた要塞の上に大甲冑で登り、そこで地平線を眺めていた。


「アタシは奴らの本部を壊滅させた・・・これがアタシの生きる目標、戦いがアタシの生き甲斐。なのに、自分でその生き甲斐を潰さざるを得なかった・・・」


これから、どう生きてゆこうか、彼女は少し真面目に考えている。


幼い頃、戦争孤児の彼女は、唯一の親友の少女をグレートライトの兵士に殺された。親友は彼女を庇って敵の銃弾を受けたのである。敵の銃弾は幼い親友の体を貫き、彼女の胸の肉を抉った。あまりの胸の痛みに彼女は泣き叫んだ。それが親友を撃たれた悲しみによるものか、単に胸の痛みなのか、その両方なのかは今となってはわからない。しかし、一つ言えるのは、この日、彼女はグレートライトを自らの手で壊滅させることを決意したのである。


FLASH!


彼女が昔のことを思い出していると、目の前が一瞬にして光り輝き始めた。


「何!?」


その正体は、敵の開発した亜空間移送装置の仕業で、彼女とその大甲冑をそれで亜空間に飛ばそうとしたが失敗。それが遅れて正常に作動した事によるものだと彼女が知るのは、後のことである。

このサイトでは初めての投稿です。拙い文章ですが、楽しんで頂けたなら嬉しいです。


用語解説


新世暦 第三次世界大戦後の日本で、記念に作られた暦。新世暦一〇年は、西暦二〇五〇年に相当します。


大日本国連邦 第三次世界大戦後、アジア各国を統率する、アジアの盟主たる国家。


ハコネヤマハカイセイ 「上陸成功、これから攻撃に移る」という意味の暗号。

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