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発明品

作者: TAKI

やはり別荘で過ごす時間は落ち着ける。私は連日の出張から帰ってきた。お陰でしばらくは休暇が取れそうで何よりだ。

私の名前はA。もはや私のことを知らないものはこの業界ではいないだろう。ある事業に成功し安定した収入を手にし、今は休暇で田舎の別荘でゆったりとしている。

「なんとも良い気分だ」

私はそう言いながら窓を開け外の空気を部屋に取り入れた。すると外から声をかけられた。

「はいはい、何でしょうか?」

私がドアを開いて目に入ってきたものは中年の男性だった。一見びっしりとスーツを決めているように見えるが一部一部ほつれているところがある。私はそれを怪しいセールスマンだと判断し、言った。

「何を売りにきたのでしょうか?基本的なものはもう既にあるので買い取るつもりはございませんよ」

すると男性は言った。

「私はB研究所のCと申します。今回はとても素晴らしい発明品を持って参りました。お時間頂けないでしょうか?」

そう言う男性に私は興味を示した。

「というとそのバックの中に入っているのが発明品ですか?」

そう私が地面に置いてあるバックを指差して言った。

「はい、そうです。これら発明品は(説明)というものです。いかがでしょうか?」

説明を聞いた私はこれを大量生産し販売すれば儲けものになると考え、男性に言った。

「少し私にその発明品を触らせてくれませんか?」

男性はどうぞといい、一つの発明品を私に渡した。私はそれをじっくりと眺め手で感触を確かめ、男性に言った。

「とても素晴らしい代物です。この発明品全て買いましょう。」

男性はパッと明るい表情になり私に言った。

「これら全てで6000万円になります。」

私は6000万円の小切手を男性に渡して確認を取った。

「これで所有権は完全に私のものだね?」

男性は

「はい、もちろんでございます。」

言った後にご購入ありがとうございました。と言い帰って行った。

私は寝室に戻り、満足してそのまま寝てしまった。


何時間寝ただろうか。私は時計を見て唸った。

「あのまま、一日経ったのか。」

まあいい、と心を落ち着かせ、もう一度発明品をよーく眺めた。眺めていればいるほどいい代物だと思います私はその発明品に見惚れていた。しかしその時違和感を覚えた。発明品をいじってみてしばらくして全ての発明品を確認したが精巧に作られたただのガラクタだった。私は顔が真っ青になった。それも当たり前だ。6000万円という多額のお金を使ったにも関わらず手に入ったのは一円にもならないガラクタ。私は絶望し、このままで途方に暮れてしまうと考えた。

どうしたものか、どうしたものか。私は居ても立っても居られなくなって寝室中を歩き回った。しばらくしてまたガラクタに目を落とした。

「そうだ、私も同じことをすればいいんだ。」

そう思った私はすぐさま準備をし、ガラクタ持ち、家を飛び出した。


そして今、私はあの家の窓が開くのを待っている。

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