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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

幼馴染のヤンキー娘が俺のオタク趣味を止めさせるために彼女になってやると言ってきたんだが、三次元はアウトオブ眼Chu!

書き直してみました。

広い心で読んでいただけると幸いです。

俺の名前は織主(おりぬし)公人(きみひと)

今日も今日とて、退屈な学生生活を送っている。。


学生の本分は勉強と言われてはいるが、今、授業と授業の合間の休み時間は各々が自由に過ごしている。

友人との会話に夢中になる者、ボールを持ち出して燥ぐお調子者、態々短い休み時間を浪費して陰キャAに絡みに行く暇を持て余したウェイウェイチャラーズ。

そんな彼等彼女等と関わろうとはせず、窓際の席で電子媒体を弄っているモブ野郎が一人。

そう。

俺だ。


手元の媒体の画面に表示されるボタンをタッチすると、その操作によって画面に変化が見られた。

何かが回転するようなエフェクト。

そのエフェクトが終了すると抽選という吐き気を催すほどの尋常ならざる悪意によって偏った確率で選ばれた何かが排出され画面内に表示される。

まあ、ぶっちゃけソシャゲのガチャである。


「チッ!あぁクソッ!」


ガチャの結果は悲惨なものでつい舌打ちと暴言が出てしまった。


「えっ!?ご、ごめんなさい!?」


不意にすぐ隣から声がした。

どうやら俺の席の横を通っていたらしい人に自分の事だと思わせてしまったようだ。

声のした方を見るとそこには、緩めのウェーブがかかった茶髪に眼鏡をかけたゆるふわ系文学少女とでもいえばいいのだろうか?そんな感じの世間一般で美少女に分類されるだろう少女が立っていた。

彼女の名前は夏目愛(なつめあい)

彼女は同じクラスでは無い筈なのだが、恐らくは休み時間だから友達に会いに来たのだろう。


「ん?ああ、夏目さんか。すまない。君に言ったわけじゃないんだ……。」


「え……?そうなの……?う、うん。そっか。良かった……。」


表面上は許してくれるようだが、彼女の顔が赤い事から内心では怒っているのだろう。

顔が赤いからと言って自分に惚れていると思うのは、一部の考え無しか約束された勝利の美形(イケメン)くらいのものだ。

俺?

俺はモブだよモブ。

何処にでも居るその辺のオタクAだよ。

話しかけた殆どの女の子が動揺して気絶したり逃げ出したりするし、幼馴染にも昔から何度もお前はモテないとか言われてる。

モテないって言った後にゴニョゴニョ言ってた気もするけど、いつも風が吹いたり車が通ったりして聞き取れないからよくわからない。

そんなモブが自分はモテるんじゃないかなんて考えるはずが無いだろ?

そんな訳で、自分で自分の事をモブだと認識している俺は3次元の恋愛には期待していない。

いや、アニメやゲームみたいにファンタジーイベントが有って、そこで運命の出会いがあってボーイミーツガールとかも憧れるけど、そんなことは現実では起きない訳で……

まあ、そういう訳で今の夏目さんのように顔が赤いという事は多分きっと怒っているという事なのだろう。

こういう場合は誠意をもって謝っておくのが吉だろう。


「ああ、本当にすまない。意図せずとはいえ君に不快な思いをさせてしまった……。」


俺は誠意をもって彼女の目を見ながら謝った。

すると彼女はさらに顔を赤くしてしまう。


「う、ううん!本当に大丈夫だから!不快だなんてそんな……あっそれよりも、今度の日曜日って予定あるかな?もし予定が無かったら――――」


日曜日の予定……だと……?

やはり本心では不快に思っていて後日改めて呼び出そうというのか……。

くっ……日曜日は撮り溜めてたアニメを見ようと思っていたのに……。

どうする?

どうやってこの状況を打破すれば良いんだ?


「――――でチケットが余っててそれで……」


ん?

しまった!思考に没頭していて話の内容を全く聞いていなかったぞ。

さて、どうしようか……

おや?

あれは……


「えっ!?ちょっと!なに?放して!?」


教室の入り口から2人の女子が歩いて来て、夏目さんの両隣に立つと突然自身の腕を夏目さんの腋に通して左右から固めるとそのまま教室の外へ引っ張っていった。

教室の入り口には2人に指示したと思われる女子が腕を組んで待ち構えていた。


彼女は、隣のクラスの河合(かわい)姫冠(てぃあら)さん。

大変特徴的な†キラキラネーム†だから覚えている。

彼女もまた、世間一般では美少女と呼ばれる部類であり、友人の話ではクラスカースト上位のギャルらしい。

頭頂部は金髪で髪先に向かうにつれピンク色になっていてそれをサイドポニーに結い上げ、服装はかなり着崩してスカートも短く如何にもギャルギャルしい。

というかルーズソックスは今時どうなのだろうか?いや逆に新しいのか?

彼女たちと夏目さんが教室から廊下に出て少しすると声が聞こえてきた。


「何勝手に抜け――――してんのよ!」


「そん――――私の勝手だよ。恥ず――――がって話しかけられない姫冠ちゃんが悪いんでしょ!」


よく聞き取れないが言い争いをしているようだ。

よし。

当面の危機も去ったことだしソシャゲに戻ろう。


「おやおや、公人殿公人殿。今廊下を歩いていたら我が校の三大美少女のうちの二人が公人殿を巡ってキャッツファイトしていたでござるよwデュフフフwwwwいやーモテる男は辛いでござるなww」


ソシャゲの操作に戻ろうとした俺に、まるでネットスラングの如く草を生やして話しかけて来たのは、瓶底眼鏡が特徴的な朱夜久野(しゅやくの)兎母(とも)

良い奴ではあるのだが、偶に今のようによくわからない冗談を言う。

この前も「実は拙者、人の他者に対する好感度が見えるのでござるよwwwその能力によれば彼女達の公人殿に対する好感度はMax Count Stop(めっちゃ良い発音)でござりまするなww」などとほざいていた。

まったく兎母君にも困ったものだ。

俺みたいなモブがモテるなんてそんなこと有る訳が無いじゃないか。

まあ、そんな兎母君とは話も合うことからよく一緒に居るし、俺としては親友だと思っている。

兎母君が来たことだし友人との会話をたのしもうかと思ったが、もう少しで休み時間も終わりそうな事に気が付いたので電子媒体を懐にしまい授業に備える。


その時、突然ドアが勢い良く開かれた。


ガラッ!

ピシャ―ン!

ガラー……


そして、勢い余って閉まった。


「ぬぅ!?力を入れ過ぎてドアが戻って来ただとっ!?」


教室のドアの方から聞き覚えのある喧しい声が聞こえた。


「ふはははははははは!嫁よ!我が態々来てやったぞ!喜んで出迎えるが良い!」


この喧しいのは留学生のオリーシュ・(ワロタ)・クサハエール。

銀髪にオッドアイでかなりの美形なのだが、どうやら日本語が不自由のようでこの通りぶっ飛んだ話し方をする。


「誰が嫁よ!誰が!いつもいつも勝手なこと言って!」


「そ、そうだよ。勝手にそんなこと言って相手に失礼だよ。」


「嫁に嫁と言って何が悪い?好意を表しているだけで失礼とは日本人のそういうところは理解できないな。」


オリーシュの発言に夏目さんと河合さんが噛み付いた。

今日のようにオリーシュは、よく嫁嫁いうので女生徒からの受けが悪いのだ。

そうして彼女たちが喚いているのを眺めていると、その後ろから人影が現れた事に気が付いた。

そしてオリーシュが吹き飛ばされた。


「おう。入り口で留まってんじゃねえよ。邪魔だろ。」


オリーシュを吹き飛ばした人物、夢野(ゆめの)有栖(ありす)は、口調は荒いが正論を言う。

彼女は俺の幼馴染で家も隣なことから昔はよく遊んでいた。

名前は可愛らしいがヤンキーだ。

ついこの前まではそんなことは無かったのだが、高校デビューというやつだろうか?

確かあれは俺が、メインヒロインがヤンキーのギャルゲーに嵌ってた頃だったな……まあ、それは関係ない事だろう。

彼女が変わってしまったのは何故だろか?

全く解らない。


「ちょっと、いきなり何するのよ!危ないじゃない!」


「ああ゛?んだよ、お前らが入り口で留まってるから悪いんだろうが。」


正論である。


「なんですって!」


その後、有栖と夏目さんの口論は授業が始まるまで続いた。

あと、吹き飛ばされたオリーシュが気絶してパンツ晒してて可哀想だったので俺が保健室に運んでおいた。


そんなこんなで授業が終わって現在、帰路の途中な訳なのだが……


「くっ……殴っても全然効かねえ!どうすりゃいいんだ!」


「それは魔法生物だから魔法以外の攻撃は効かないんだ!さあ、僕と契約しよう!僕と契約すれば魔法が使えるようになるんだ!さあ!ここにサインと印鑑を!拇印でも構わないよ!」


幼馴染(有栖)が不定形の神話生物的なナニカに襲われていた……

あと、なんか黒くて貌が無いスフィンクスみたいな形状のヌイグルミ的ナマモノが凄いグイグイ契約を推している。


「ああ、もう!契約でも何でもしてやるから早くよこせ!」


え、契約しちゃうの?

めっちゃ胡散臭いよ?

それ絶対クーリングオフ出来ない類だよ?


「えーと……よし!これでいいんだろ?早くしろって!」


「やった!ありがとう!今期も契約のノルマ達成出来なくてお給料が大変な事になるところだったんだ!これで道端の雑草を食べなくて済むよ!」


え……マスコット業界世知辛いな……


「さあ、これで契約完了だよ。新たな魔法少女の誕生だ!」


マスコットの言葉に呼応するかのように有栖の体が光り始める。

そこからは、よくある魔法少女の変身バンクよろしく、来ている服が粒子となって消え(謎の光で局部は見えない)、次々にフリッフリのフリル塗れの魔法少女然とした服が装着されていく。

変身バンクが終わるとそこには、少女チックな服を着た有栖の姿があった。

なお、有栖は女子にしては高い身長に肉感的な体形、所謂ボンキュッボンな為、もう、コスチュームがまったくもって似合わない。

それはもう、ムッチムチであった。

そもそもサイズが合っていないのである。

恐らくナマモノの契約ターゲット年齢層とは合わなかったのだろう……


俺は幼馴染の黒歴史を見なかったことにしてその場を立ち去ろうとした。

が、その時なぜか足元に落ちていた木の枝を踏み砕いてしまいその音でバレた。

そして、有栖に記憶を物理的に消す為かボコボコにされた。

それからなんやかんやでナマモノの口八丁に乗せられる形で有栖の魔法少女活動を手伝うことに……

魔法少女活動の内容は、さっきの不定形神話生物的なのみたいな明らかに現実に存在したら駄目そうなモンスターを倒すみたいなそんな感じで、俺はそのサポートをするそうだ。


それから三年もの間、有栖と共にくとぅるってる見た目のエグイナマモノを狩りまくった。

二年目に第二の魔法少女ポジションが現れた。

そう。

オリーシュがな。

ん?

オリーシュは女の子だぞ?

銀髪オッドアイのロリィタだ。

魔法少女になることでツインテール属性とニーソ属性も追加された。

……俺は誰に説明してるんだ?

まあいい。

三年目は、夏目さんと河合さんも参戦して魔法少女同士でバトってた。

もう俺のまともな日常は兎母君しか残っていないかもしれない。

そういえば、ことあるごとに現れるやたら強い謎の魔法美少女仮面の正体は分からずじまいだったな……


それから更に数年の時が過ぎ幼馴染&学友の魔法少女化という人生の黒歴史も一段落し、まともな日常を取り戻した俺は今、白い小さなチャペルの一室に居た。


魔法少女事件で俺はかなり危ない目にもあった。

命の危機と呼べるものも何度か味わった。

そして、気が付いたんだ。

日常は偉大だと。

アニメやゲームみたいな大冒険なんていらない。

本当に大事なものはすぐ近くに有るという事に……

それに気が付いてから直ぐに彼女に告白した。

彼女は俺の告白を受け入れてくれて、それで数年の交際を経て今、結婚式を目前に控えている。

そう。

兎母君との。

うん?

兎母君は女の子だぞ?

普段はデカい瓶底眼鏡をしていて目立たないが、実態は長い黒髪の超美少女だ。

趣味が合うのも大きい。

有栖?

いや、何かにつけてど突いてくる幼馴染はちょっと……

ん?

何故こんな説明をしているんだ?

まあいいか。


そんな事より、さっきチラッと兎母君の控室を覗いてみたら有栖達が来ていた。

彼女達も友人として出席してくれるようだ。

なにやら焦げ臭い気がするけど、まあ気のせいだろう。

そんな事よりもだ。

部屋の中にウエディングドレスを着て佇む兎母君……いや、兎母のなんと綺麗なことだろうか……

これからの人生を、こんな素晴らしい女性と共に在れるなんてなんて俺は幸せ者だろうか。

最高の嫁さんと気の良い友人達。

ああ、なんて幸福なんだ。

俺は今最高に幸せだ…………ん?

あれ?

違う。

オカシイ。

オカシイ。

オカシイ。

オカシイ。

俺が選んだのは兎母君じゃなくて■■だった筈だ!

何だ!

何が…………<ザー>


【error】


【error】


【error】

























--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


ザッザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あら?また映らなくなったね。」


椅子に座った女が、目前で雑音を出しながら映像を映さなくなったモニターを眺めながら呟く。

女が居る部屋にはモニター以外に様々な機材と薬品が並んでいる。


「まーた要らないことを思い出しちゃったのかな?」


女が椅子から立ち上がりモニターの方へと移動する。


「しょうがないかー。あの頃は楽しかったからねー。」


そう言いながら女はモニター横にある機材を操作する。


「そういえばあの頃はボク、拙者とか言っちゃってたっけ。君と親しくするためにキャラ作ってたもんねー。」


喋りながらも慣れた様子で操作を続ける。


「そう、あんなに近くに居たのにさ。君がボクを選ばなかったから……」


女は操作の手を止めると機材の隣にある巨大な試験管にしな垂れかかる。

試験管の中には一人の男性が浮かんでおり、その頭部、脳に繋がるケーブルが機材へと続いている。


「でも良いんだ。邪魔なモノは全部片づけておいたから。」


女は笑っている。

それはそれは晴れやかな笑顔だった。


「記憶の巻き戻しが終わったよ。さあ、公人殿(・・・)……もう一度最初からやり直そうか。」


女は試験管に口づけると機材のスイッチを押す。


「何度でも繰り返そう。何度でも……何度でも何度でも何度でも!君の眼にボク以外の三次元の女が写らなくなるまで!」



作者はラブコメを書いている筈でした。

その筈でした。


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[一言]  初めまして。拙いながらも感想を送らせていただきます。  展開の早さがツボに入りまして、中盤から笑顔で読みました。  展開が早すぎて話がわかりにくい点が少し気になりましたが、この展開の早さ…
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