転生?転移?
なんとなく異世界モノが書きたくなりました。
好き勝手やるつもりですが、どうか石だけは投げないでほしく思う所存でございます。
突然だが、ウィリアムズ症候群という病気を知っているだろうか。俺はその病気らしい。
この病気は稀な病気で、染色体7番目が欠損して、性格にも多少影響が出るほか、顔がエルフみたいになるらしい。でもそれはあくまで顔だけの話。耳は別に尖ったりした例は無いそうだ――――俺以外は。
耳は尖っているが、顔つきは通常の人と一緒で、ウィリアムズ症候群の特徴は無い。あ、でも遺伝的には黒目になるはずらしいけど、右目だけ赤色だし。でもちゃんと見えてる不思議。
これには俺が生まれた病院の産婦人科の先生どころか、今まで会った医者全員に首を傾げられた。
こんな異常な謎体質だし、仕方ないよねって思う。
まあそんな謎体質でも、外見の特徴以外は普通の人というわけで、進学するたび即生徒指導室、オマケにそのことでいじめられるとかいう悪魔の二連コンボに苦しめられてきた。
でも、それも今日で終わる。
――――俺は今日で自殺する。
さすがにもう希望なんて無い。多分高校の先生にも良くは思われていないし、就職の面接だってもってのほかだろう。
『エルフ耳コスプレ野郎』なんていわれてるしな。
と、いうわけでここにロープがある。
なんか不思議と気分が高揚している。それほどまでに現実がつらかった感じはしないのだが。いや、自殺しようとしてる人が言っても信じられねえか、はは。
とりあえず、自殺を決意したときから言いたかったことがある。
「ぐっばい、まいふれんず……ッ」
いや、友達なんていなかったけどな。
☆
ここはどこだろう。
たしか俺は縄で首を括った気がするんだが。いや、でもそうするとなんで俺は意識があるのかが分からない。
それに、なんで俺は野原の真ん中でのんきに寝ていたのだろうか。こんな場所は近所に無かったはずだ。わけが分からない。
……いや、なんか小説で読んだ気がする。こういうのを異世界転生って言うんじゃないか?
そうだとしたらなんか凄くうれしくなって来た。だってこういうのにはエルフってつきものじゃん?
てことは、その辺歩いていても「あ、なんだエルフか」くらいで済ませてもらえるかもしれない。
そうならやっと外で耳を隠さずに出歩ける。なんか思わず生涯の夢を達成できた感じだな。17年しか生きてなかったけどな。
いや、でもエルフがあまりいない世界かもしれないし、そもそも絶滅とかしてるかもしれない。
まあそのときはそのときか。
さて、まずこういうときにするのは自分のステータスの確認だ。どんな異世界俺TUEEE物でもそうだし。ということで一回やってみよう。
「自身ステータス鑑定」
……。
あれ、何にもでない。いや、多分言葉が間違ってたんだろう。あとイメージとか?
えっと……ド○クエのステータス的なのを想像すればいいか。
「自身ステータス鑑定」
【名前】 レイティア
【種族】 一応ヒト族
【性別】 男
【階位】 1
【魔力】 530000
【職業】
【その他】
……いろいろツッコミどころがあるんだが。
一応ってなんだよ一応て。あと魔力五十三万てフ○ーザかよ……で、職業は空白……てことは無職か。で、階位はレベルみたいな物かな?その他……って何だろう。まあ後々分かるだろ。
で、名前もレイティアって……たしかやってたネトゲの名前だった気がする。でもなんで……
さて。とりあえずステータス確認はできた。そして異世界かも?って説も当たりっぽい。だってステータスわかったし。
とすれば、このあとはとりあえず現地の人を見つけて話を聞かないと。じゃあ向かう方向は……とりあえずあの小高い丘に登ってこのあたりを見渡してみようか。
「……ふう」
思わずため息が漏れてしまった。まあ意外と高い丘……てか山だったし仕方ないか。
――っておお。すげえ。なんか謎生物いる。えらく物騒なよろいとか着てるし緑色だし。あれはゴブリンか。多分。
って、なんかあのゴブリンに人が襲われてない?しかも女の人っぽい。
こ れ は 助 け ね ば。
現場に急行しよう。ちょうどこの山の麓だし。武器……は無いけどどうにかいけるんじゃないかな。魔力使えばいけそうだし。
それで感謝されて……むふふ。
俺はとりあえずその辺に落ちてた謎生物のでかい骨を拾って麓に向かった。
9/7 誤字、調子乗りすぎなレイティア君を修正。