第十五話【サプライズ】
出されていた紅茶を飲み干し、契約書の控えと代金を受け取って来年の再会をエディと約束して店の外へ出た。
「お、やっと出てきたか」
「悪ぃ、悪ぃ、話し込んじまった。そんじゃ行こうぜ」
毛織物の買い取り査定が無かった分、早く商会を後にすることができたが、今日はやることが多い。
これから食事会に必要な食材の買い出しに行かなくてはならないのだが、その前に護衛として付いてきてくれたメンバーと別の目的を果たさなくてはならない。
今回、護衛として選抜された者たちは村に帰ったら結婚する男たちだ。
モングールの結婚式は盛大に披露宴が執り行われる。その際、本来であれば宝石があしらわれた首飾りが新郎から花嫁へと贈られる。
だが、厳しい税や帝国から依頼されていた他国への荷の運搬の仕事がなくなったことで、その際に発生していた交易による収入を失い、近隣諸国で購入することができていた宝石などの貴重品が手に入らなくなってしまった。
エディにベスティメンタ商会のレトリア支店長に取り合ってもらい、宝飾店を紹介してもらうことができた。
今年はハワル、ゾンを含めて十二人が結婚する。それも二年振りの結婚式なのだから、これくらいのサプライズがあっても罰は当たらないだろう。
宝飾店に到着したが一旦皆を外で待たせて、先に一人で中に入る。
「いらっしゃいませ」
出迎えてくれたのは、燕尾服に似ているこの世界の正装をしたダンディな男で、こちらの恰好を瞬時に観察して声をかけられる。
「初めまして、私は当商会でカームと申します。申し訳ございませんお客様、当店は紹介がないと・・・」
恐らく貴族のような恰好をしていれば、このような丁重なお断りを受けることもないのだろうが、彼らにとっても扱っている商品が商品なだけに自衛の意味も兼ねているのだろう。
「あぁ、紹介状ならありますよ。ご確認を」
羊皮紙を手渡して確認してもらう。男は蝋封の刻印を確認すると目が変わった。
「これは、ベスティメンタ商会さんの」
中に押してあるベスティメンタ商会の印を
「はい、先ほど大きい取引をさせて頂きまして、その際に紹介して頂いたんですよ」
「なるほど、そういう事でしたか」
「はい。それにしてもこのような素晴らしい商館を紹介して頂いたので、後程お礼に伺わなくてはなりませんね」
「お、お褒めにあずかり光栄でございます。」
当然、適当に褒めているわけではない。商売というのは信用が大切だ。それも特に宝飾品という素人では見極めが難しいものは店の看板がものを言う。それに高級衣類と宝飾品は切っても切れない関係である。互いに客を紹介し合うことは重要な収入源となる。
つまりだ、大切な商売仲間との関係が悪化することはどうしても避けたいはずだ。つまり、ここで商品を購入した後にベスティメンタ商会へ顔を出すと仄めかすことで粗悪品を掴まされることはなくなるだろう。
「それではお客様、応接室へご案内させて頂きますのでどうぞこちらへ」
「あ、支払いは俺なんですけど、選ぶのは俺じゃないんで連れを呼んできても良いですか?」
「もちろん、かまいません。ですが、お茶を用意致しますので人数をお伺いしてもよろしいですか?」
「いえ、急に伺っていますのでお構いなく。人数は十二人です」
外で待たせている者たちを呼びに行き、カームと共に応接室へ向かう。
「本日は、当店へのご来店誠に感謝いたします。早速ではございますが、どのような商品をお求めでございますでしょうか?」
今後の事を考えるとそれ程高いものを買ってあげることはできない。この金は俺が作ったようなものだが、この金はモングールの金である。それに、戦が始まれば金がきっと必要になるだろう。
「今回の目的は首飾りに使う宝石です。品質については大きさ重視で、不純物についてはある程度は許容します」
「かしこまりました。では、ご予算はどういたしましょう?」
「そうですね・・・紐はこちらで用意がありますので不要です。ただ、紐を通すための地金の工賃を含めて一つ辺り二十シルといったところでしょうか」
「二十シルですと・・・金剛石をご所望される場合、透明度、含有する不純物、色味を最低の品質に落としましても小粒の物となってしまいますが?」
聞きなれない名前だが、確か金剛石はダイヤモンドのことだ。だが、大学の機材もないこの世界ではジルコニアどころか、ガラスとの見分けも俺にはつかない。
「いえ、金剛石ではなく色石でお願いします。それに、金剛石ではないので地金も金ではなく銀で構いません」
銀はどうしても黒く変色してしまう。故に、透明度が命であるダイヤモンドで使用される地金のほとんどが腐食に強いプラチナ又は金だ。だが、色石であれば黒ずんだ銀であっても目立たずに済むわけだ。
「かしこまりました。すぐに商品をご用意致しますのでお待ちくださいませ」
「お願いします」
そう言い残して部屋を出て行ったカームは、五分ほどで宝石が並べられた黒い長方形のトレイを手に戻ってきた。
「おぉー!」
「お前ら見てん! こい、がばい綺麗かばい!」
「ほんなごてやん!」
「こいば渡すぎ、あいも驚くやろうな!」
「おいカズヒサ! ほんなごてよかとかっ!」
「あぁ、好きなのを選んでくれ。ただ、一人一つだからな」
実物の宝石を見て、皆のテンションが一気に上がっている。そんな彼らの姿を見て、今年限りではなく次の年も、そのまた次の年も同じようにここに来れたら良いと思った。
「それでは、工賃を含めまして二ゴル四十シルとなります」
暗算してみると、一人頭二十シルという考えていた予算よりも大幅に安い料金が提示された。
「想定よりだいぶ安いようですが、よろしいのですか?」
「えぇ、構いません。ですが、今後とも御贔屓にしていただければ幸いです」
「もちろん、来年もよろしくお願いします」
商品の受け取りは二日後となった。代金の支払い、俺たちの世話を焼いてくれたカームに礼を告げて店を後にした。
【ゾンビランドサガR】が4月8日から始まりますね!待ちに待った第二期なので、めちゃめちゃ楽しみです!
再び、伝説の山田たえを画面で見れるとは胸が熱くなりますよね。
今度は焼き物の町である有田町が出てきてくれると嬉しいです。時期的にもゴールデンウィークなので、10万人以上が訪れる有田陶器市を舞台にしてくれることを祈っています。
全くゾンビランドサガに関係なくて申し訳ないのですが、
読んでくださっている皆様にアンケートを取らせて頂きたいのです。
次の章で、外の村(?)が舞台になるのですが、活発な竜族の姫とそんな彼女を守護する物静かな護衛娘が出る話か、意識高い系エルフ族であることを羞恥しているエルフ娘の話。どちらを先に見たいでしょうか?
もしよければ、お答えくださるとうれしいです。
『ドラゴン』 もしくは 『エルフ』と感想に残しておいて頂けると幸いです。
5月頃に集計してどっちに先に行くか決めさせていただきます。




