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第6章ー10

 1922年2月6日、ようやくワシントン会議は全ての決着を見た。

 英米日仏伊、5か国の主力艦(戦艦、空母)の保有比率を決めた海軍軍縮条約の締結。

 日英同盟廃棄等を決め、太平洋の各国の領土等の尊重を決めた英米日三国協定の締結。

 中国の領土の保全、門戸開放を決めた10か国条約(併せて日米中の三国で山東半島還付に伴う諸権益を調整する条約)の締結。

 以上、4つの条約乃至協定が締結された。


 一番、利益を得たのは日本だった。

 確かに単独の海軍力では、戦艦は対英米4割と言う屈辱に甘んじる羽目になった。

 しかし、日英同盟は英米日三国協定によって事実上維持された(米国と日英がお互いに同盟締結を呼びかけることが基本的に無い以上、中国で争乱が起きた場合等に、即座に日英同盟を復活させるための英米日三国協定なのは、見える人には明瞭に見えることだった。)。

 そして、日英が同盟すれば、米国に対して、1.5倍近い海軍力の優位を日英は得ることになる。

 一部を除いて日本の代表団は十二分に満足して、ワシントンを去ることになった。


 その一部である加藤寛治提督は、ワシントンを去る前夜になっても、加藤友三郎海相に半分食って掛かっていた。

「納得いきません。日本単独でも、せめて対米5割、できれば対米6割になるように交渉すべきでした」

 加藤提督は吼えた。

「そんな比率を主張したら、日英同盟が存続できない。日英が同盟しても、米国は7割の海軍力を維持できるというのが、米国の軍拡派を宥めることができた要因なのだからな。それとも、日英同盟が無い方がよいとでも言うのか。日露戦争から世界大戦まで、弟子の我々に対して師匠の英国は様々な便宜を同盟国の誼で図ってくれたではないか。世界大戦の際、対潜戦に要るだろうといって、爆雷から対潜聴音機、飛行船まで提供してくれた英国の恩義を忘れたのか。今後も日英同盟は日本に必要なのだ」

 加藤海相の言葉に、加藤提督は最終的に沈黙せざるを得なかった。


 英米も多少は不満を残したが、一応は満足してワシントン会議を終えることになった。

 主力艦のみとはいえ、海軍力の制限をお互いにすることになった。

 これ以上の軍拡は、国力の損耗を招くだけだというのは、英米の良識派にとって自明のことだった。

 そして、中国については、10か国条約によって、門戸開放、機会均等、主権尊重と言ったことが定められたが、実際には、英米(日)にとって有利なものだった。

 なぜなら、10か国条約は、中国における各国の権益を現状のままで認めているからである。

 そして、山東還付条約を日米中で締結することにより、日米は更に山東半島の権益を獲得できた。

 門戸開放という美名の下、低関税による中国からの収奪も続けられる。

 英米は取りあえず満足した。


 中国以外の列国も、門戸開放による中国市場から利益の獲得が続くこと等、ワシントン会議は、一応は満足のいく結果となった。


 一番踏んだり蹴ったりの目に遭ったのが、中国だった。

 主権尊重と言っても、どこまでが中国の領土なのか、明確にされなかった。

 実際、この後の満州事変の際、満州国は中国の領土だと、中国国民党政権は主張したが、米国や韓国は嘲笑した。

 ワシントン会議で、満州は中国領だとどこに明記されていると言い、日英等ワシントン会議に参加していた諸国も米韓の主張に同意したのである。

 そして、門戸開放、機会均等の美名によって、関税自主権は相変わらず中国には認められなかった。

 低関税による外国製品の売り込みを阻止できない中国の民衆は産業を育てることが事実上不可能な状況にあえぐことになった。

 こういったことが、中国国民党や中国共産党の躍進を中国で招くことになる。

 

 第6章の終わりです。

 次に関東大震災等の幕間を入れて新章に移ります。

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