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第10章ー10

 対中国国民党政府軍との戦争に突入したことから、日本以外の各国も部隊を派遣してきた。英米は陸上兵力として、それぞれ1個海兵旅団を上海に送り込み、艦隊も急派した。

 だが、問題は航空支援だった。

 幾ら英米とはいえ、中国まで空母を派遣するとなると大騒動だった。

 英国の空母は本国艦隊と地中海艦隊に配備されているだけで、インド洋、太平洋には1隻も無かった。

 そして、米国は。


「米国の現在の空母は1隻、「ラングレー」しか実働可能でないので、対中戦争に投入できないとのことです」

「レキシントン級空母は、1隻も未だ実戦投入可能段階にないだと」

 連合艦隊参謀長の高橋三吉少将の報告を受けた連合艦隊司令長官の加藤寛治大将は、ぼやくような声を上げた。

「そういうことになります」

 連合艦隊参謀長の高橋三吉少将は、半ば呆れるように言った後に続けた。

「我が国も人のことは言えませんが。「伊勢」、「日向」共に関東大震災の復興予算のために建造予算を削られたこともあり、ようやく一昨年に竣工しましたが、「日向」は早速、改装作業に入る羽目になりましたし」

「全く、だからワシントン条約に反対したんだ。軍備に金を掛けないからだ」

 加藤大将は、八つ当たりを思わずした。


 そう、米国は予算をケチる余り、1927年3月になっても「レキシントン」も、「サラトガ」も実戦に投入できるどころか、竣工さえしておらず、空母は「ラングレー」しか保有していなかったのである。


 ちなみに日本の誇る「伊勢」、「日向」の両空母は、英国の技術協力を受けて竣工したのだが、黎明期の空母ということもあり、後世からすれば、異様な姿になった。

「フューリアス」を参考に、二段式飛行甲板を搭載し、バラストを兼ねて、後ろ向きに20サンチ連装砲塔3基を上部飛行甲板の後部に設置していた。

 更に操艦の都合から右舷前部に小型艦橋を共に設けるところまでは同一だったが、煙突の形式は比較も兼ねて、「伊勢」と「日向」で異なる形式を試した。

「伊勢」が湾曲式煙突を右舷に設置、「日向」が両舷に艦尾まで誘導する排煙煙突を採用したのである。

 だが、共に実際に運用してみると、乗組員から非難轟々の惨状をもたらした。


「日向」は、煙突沿いの区画が40度以上の高温に達し、何人もの乗組員が熱射病で倒れ、居住不能と判定される有様となった。

 このため、半年も経たない内に応急措置として、「伊勢」と同様の煙突形式に改装されることになり、現在、その改装作業のために「日向」はドック入りしていた。

 では、「伊勢」では、どうだったのか?


「何で「日向」を、「伊勢」と同様の湾曲式煙突にするんだ」

「伊勢」の飛行隊長、吉良俊一中佐は、「伊勢」に着任以来、片っ端から意見具申をして回っていた。

「英米と同じでいいではないか。凝り過ぎだ」

 吉良中佐はそれを口癖にし、「伊勢」の乗組員の多くも同意した。


 湾曲式煙突にした結果、右舷後部の居住区画の窓が開けられず、換気が充分にできないことから、伝染病が多発してしまったのである。


 そして、この非難を受け、次の空母、「龍驤」では英米と同様の艦橋と煙突を一体にしたタイプが採用され、その運用実績の結果、「伊勢」、「日向」も同様の姿に改装され、2度目の世界大戦に突入する。

 だが、実は「龍驤」でも日本は煙突に拘りを残しており、煙突をわざと外側に傾斜させたため、それにより燃料等を調整して配分しないと、艦が傾斜するという欠陥が生じてしまった。

 日本の空母は煙突問題に黎明期に大変苦労した。


 こうして日(英米)中戦争において、「伊勢」は孤軍奮闘を強いられる羽目になり、英米は「龍驤」の建造を、日本にロンドン条約で認めることになる。 

 この世界のワシントン条約のために、空母として竣工した「伊勢」と「日向」が描写されますが、ダメダメな感じに。

 作者の私なりに、いろいろ考えた末にこうしましたが、感想欄がまた荒れそうなので、活動報告に改めてスペック等を補足説明するので、「伊勢」、「日向」に関する突っ込みは、活動報告にお願いします。


 ご意見、ご感想をお待ちしています。


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