第1話 異世界に召喚される
文才がなく1000文字書くだけでも数時間かかってしまう
言葉が出てこない
今日は始業式のため全校生徒と教師、そして、非常員教師と全員が体育館に集まっている。
俺が通っている学校――蒼桜高校は全校生徒が146名しかおらず小規模な高校だ。
なぜこんなに少ないのかというとこの蒼桜高校がまだ創立3年しか経っていないと言う理由がある。
しかし、この高校は創立されたばかりというのを除いても知名度が低すぎる。
「えー今日から2学期となりますが夏休みをいかがお過ごししたでしょうか――」
今は壇上で校長先生が話をしている
特に面白いわけでもなく、かと言って面白くないわけでも……いや、面白くない話がこれから20分ほど続くのかと思うと憂鬱になる。
どこかで聞いたことがあるが校長先生が話してある内容を考えているのは国語の教師だと聞いたことがあるが、本当なのだろうか。
「そしてですね私は、なっなんだこれは!?」
さすがに眠たくなりウトウトしていると校長先生の驚く声がマイクにより全体に伝わり、何事かと、周りが騒がしくなる。
「あぁ?何が起きて……」
何を騒いでいるのか分からず、辺りを見渡すとみんなが足元へと目線が下にむいていたため自分も下を見るとそこには青白くアニメやマンガで見る魔法陣のようなものが体育館に広がっていた。
「どういうことだよ。これ」
戸惑う俺たちを他所に魔法陣?はさらに広がっていき、魔法陣は体育館囲い込み、それと同時に強烈な光が俺たちを襲った。
「あ~くそっなんなんだよ」
先はどの光で一時的に視力が奪われていたがそれも回復したので、周りを見渡す。
するとそこは、よくRPGで見る王様を謁見するような場所だった。
突然見える風景が変わったために、誰もが混乱しざわついている。
「なんだ!?もしかして召喚されたのか!?ひゃっほーい!」
中には馬鹿な誰かがそう叫んでいる。口には出さないが、俺もそうだがだが他にもそう思っているやつはいるだろう、なんせ良くある展開なのだから……ある一点を除くのなら。
「まぁ、召喚されたのはいいとしてなんで、こんな大人数なんだよ!」
そう、魔法陣に囲われていたのは体育館であの場にいた、およそ180人ほどの人が集まっているために、座る場所がないほどに混雑している。
現に王様らしき人とその横にいる女の人が何かを叫んでいるようだが全く聞こえないじゃないか。
すると、女の人がしびれを切らしたのか手を天井に向け、何かを叫ぶ。
その瞬間、手の先から火の玉が上がり、見事に天井に穴を開けていた。
そこからは綺麗な空が見えていた。
「じゃなくて、凛はいるのか!?」
俺は後ろにいるはずの幼なじみがちゃんとそこにいるのか確認するために後ろを向くと、首を傾げている俺の幼なじみ――美月凛がいた。
「ここにいるよ?」
「よかった、ちゃんといたんだな」
「ここ、どこ?」
「さぁな」
「守ってくれる?」
「ああ、任せておけ」
そういうと俺たちは笑い合い、先ほど天井に穴をあけた女性のほうへと顔を向ける。
「失礼いたしました、私は王国魔導研究所の所長のエイラです。
いきなりのことで混乱しているかもしれませんが、ステータスを開いてもらえませんか?あっ、他人に見てほしい場合は適当に念じれば何とかなりますので。そして、その中にあるクラスと一番最初にあるスキルを1人ずつ私達のところへ報告してください。そのあいだに部屋の準備をしますので」
そう言われると各々ステータスと唱えていたので俺たちもステータスを見ることにした。
「どうやって開くか教えろよなっと、できたできた。なんだ口にだす必要ないじゃん」
やり方も分からなかったので適当にステータスって心のなかで言ってみたら、何か画面のようなものが出てきた。
名前 舞花 永護
クラス 斥候
最適環境lv1(lv×2の人数に指定可能)
隠密lv1
索敵lv2
魔力探知lv1
器用lv3
調合lv2
改竄
ポケット収納
無病息災
基本魔法 土 光、影
言語理解
識字
勇魔
現れたそれは、よく漫画などであるような、能力値やレベルなどが書かれておらず、職業じゃなくてクラスとスキルが書かれているだけだった。
「おっと、凛はどうだった?」
凛を見ると凛は少し困ったような表情を浮かべていた。
「これで見える?」
「ん、あぁ見えたぞっと俺のも見せておくか」
「見えた」
名前 美月 凛
クラス 魔王
魔王の証明lv1(lv×2の人数に指定可能)
魔王の威圧lv1
索敵lv1
魔力探知lv1
支配lv1
空間収納
状態耐性
精神耐性
基本魔法 闇
言語理解
識字
あ、やばい、凛が完全にダークサイドの人になっている
「危険?」
「まだはっきりと魔王が敵とは限らないが、良くないのかもな」
俺達は息を潜めて話す。そして、周りの声に耳を傾けると
「俺忍者だった」「魔法使いだったわ」「勇者キター!」「ヒャッホーイ勇者だぜ!」などなどいろいろな声が聞こえ、中には無言で顔を青ざめさせているもの。生気を失っているものもいた。
「って勇者は複数人居るのかよ」
「だいじょうぶ」
「まぁ任せろって」
俺は凛のステータスに手をかざし、改竄を使い魔王を運び屋に魔王の証明と威圧、ついでに支配も見えなくなるように念じる。
すると、凛のステータスが変わった。
名前 美月 凛
クラス 運び屋(魔王)
(魔王の証明lv1(lv×2の人数に指定可能))
(魔王の威圧lv1)
索敵lv1
魔力探知lv1
(支配lv1)
空間収納
状態耐性
精神耐性
基本魔法 闇
言語理解
識字
「永護すごい」
「うまくいって何よりだ」
本当に成功して何よりだ。実のところ任せろとは言ったものの情報改竄がステータスにもできるかは分からず神に祈る気持ちだった
「報告する?」
「いや、順番なんて関係ないだろうし後でいいだろう」
「本音は?」
「あの列に並ぶのが嫌、人混みに突撃する勇気はありません」
「ふふっ」
そこから、俺達は列がなくなるまで話しうことにしたのだが、ふと凛が何か思い出したようで聞いてきた。
「索敵ってどうしたら?」
「んー索敵っつ-と気配とかを読み取るってことでいいのかな?」
「多分そう」
「ならそうだな、凛目をつぶってくれ」
「分かった」
「そしたら、俺が横にいることを意識してくれ」
「うん」
「どうだ?」
「なんとなく、そこにいるのがわかった」
「そうか、なら今俺はどこに移動したか当ててくれ」
俺はできるかぎり音を立てないように凛の背後へと回る
「えっと、後ろ?」
「正解。んじゃ今度は俺じゃなくて意識を広げるようなイメージでやってみてくれ」
「ん?」
「あー、水の波紋みたいな感じで」
「何かいりのは分かった」
「まぁ、実際いるし見たから知ってると思うが正解だ」
「そうだね」
「目をそのままつぶっておけよ、んじゃ最後に今一番人がいない場所を指差してくれ」
天井とか床はなしな、と付け加えると凛は少し笑い、集中するためにか、口を引き締めた。
そして指さした方向は右斜め前だ
「あそこ?」
「正解だ、どうだ、分かったか」
「なんとなく?」
「まぁ、そこら辺は慣れだろう」
「永護は普通に出来るの?」
「まぁ、できるけど?ってかやってるけど」
「なんでできる?」
「えっと、いやまぁ、なんとなく?」
言えない、凛にちょっかいをかけようとする奴らとか、俺にちょっかいをかけようとする奴らを警戒し続けてたらできるようになったなんて言いたくない。
「まぁいっか」
「今のうちに練習でもしておくか?まだ掛かりそうだし」
「そうだね」
凛は索敵と空間収納を俺は隠密と索敵、あとポケット収納を試していた。
空間収納は手に触れたものを意識するだけでその場に触れたものに合わせた空間が現れ、その中にものを入れる事ができるようで、取り出したい場合は逆を念じればいいだけのようだ。ちなみに収納したものは一覧で見ることができるらしく、いちいち覚えなくてもいいと知って喜んでいた。空間が現れる以外は俺も同じだった。
俺の方は隠密、これは気配を隠すものだった確認をすぐ終えた俺は、隠密と索敵をひたすらに練習していた。
あれから何分ぐらい経ったのだろうか、少なくとも30分は経っているだろう。もう殆ど人がいない。
人がいなくなってきているということは音でも気配でも分かる。それは凛も同じようで目を開けてこちらを見ていた。
「疲れた?」
「少し」
「そっか、じゃ行くか」
「うん」
俺達は最初に言われたようにエイラさん?の元へと策敵したまま向かう。
ほとんど人がいないために並ぶことなく着いた。
「ん?こんにちわ。どうやら私のところはあなた達で最後のようね」
「えぇ、こんにちは。どうやらそのようですね」
「では、教えてくれますか?」
「はい。自分はマイハナ エイゴでクラスは斥候でスキルは最適環境です」
「んーとはい。そちらの方は?」
「ミヅキ リンで運び屋です。スキルは索敵です」
「運び屋ね、ってことは収納系スキルを持ってるの?」
「収納系?」
言葉の意味がわからなかったのだろう首を傾げている
「あー空間収納なら凛持ってますよ。」
「へぇ、空間収納ね。収納系なら最上級じゃないよかったわね」
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
その後俺達は兵士に連れられて部屋に案内された。
案内された部屋は絨毯が敷かれており大きなベッドが1つに見覚えのある鉄製の箱にドレッサー、クローゼット、そして、椅子と机があり、扉が1つある。もしかしたらトイレとかがあるのかもしれない。
まるでここはホテルのような場所だ。
「とりあえず、ここがお前たちの部屋だ。別に城外に行かないのなら自由にしてもらっても構わないが、夜になったら食事が届くようになっているから日が落ち始めたらこの部屋に戻っておいてくれ。もし、部屋がわからなかったり聞きたいことがあるなら、俺のような兵士に聞いてくれ。あぁ、後この部屋にあるものは自由に使ってもらって構わない」
「あぁ、分かった。早速だけど少しいいか?」
「なんだ?」
「ここに、図書館があるのかどうかと、時間や日付を教えてほしい」
「いいぞ、図書館はある。そうだな、この部屋を右に曲がってまっすぐ行ったところの三番目の所を左に曲がった先にある。時間については俺の記憶が正しければお前たちの世界とほぼ同じで、違うのは1ヶ月が30で1年が360日って所だな」
「ありがとう」
「これが仕事だからな。くれぐれも外には出るなよ」
「分かった」
「眠たい」
凛が部屋に一つしかなく大きな、そして、見るからにフカフカなベッドに倒れ込みながら言う。その声からは、この世界の、未知への恐怖や心配が無いように言った凛に俺はため息をつく。
「はぁ、怖くないのか?お前は」
「守れる自信ない?」
「ったく、頑張りますよっと」
俺もベッドに倒れ込みたかったがこのままでは制服が皺になると思い、ジャケットを脱ぎ、収納に何か服がないかと探した。
「っと、これか。ほらっ凛、制服が皺になるから着替えておけ」
俺が凛に渡したは白を基調としたひざ下まであるスカートに白のブラウスだった。
それを受け取った凛は頬を少しふくらませ目で抗議してきた。
「凛に合う奴がなかったんだよ、我慢してくれ。うげ、これしかねぇのか、しかたがないか」
サイズがなかったと言われては凛も諦めるしかなかったようだ。
それにしても、パッと見た感じ俺に合う服が一着しかなく仕方なくそれに着替える。
俺と凛は背中を向き合う形で着替えを始める。
そこに、会話など存在せず、ただ布が擦れる音と服が地面に落ちる音だけだった。
「終わったよ」
「新鮮だな、凛がスカートはいているのって」
「いつ以来だろ」
「似合ってるからいいじゃないか」
「永護もね」
「ほっとけ」
凛は普段では履かないスカートにブラウスだったために新鮮さがあったが、永護は少し違った。いや、確かに新鮮さで言えば永護の方が新鮮……のはずだ。
永護の服装は、足首が絞られておらず大きく開いている青いズボンに同じく青色を基調とした半袖の服だった。
「ファンタジーだね」
「なんのコスプレだよって言いたくなるよな、普通なら」
そう、今は普通では無いのだ、だからこんな格好でも問題ないはずだ。うん
「図書館にでも行くか」
「うん」
余談だが俺のポケット収納はポケットに入るのなら何でも入るようで服とかを入れ替えても特に問題なく取り出すことができた。
俺達は着替えた服を収納に入れようとして、そういえば凛の空間収納があることを思い出し空間の中へと入れ、先ほど教えられた道通りに図書館に向かう。
「へぇ、ここが図書館か」
「変わらないね」
俺は学校とかの図書館しか利用しなかったために一般の図書館はあまり知らないが、凛によるとさほど変わらないようだ。
「適当に探すか」
「うん」
俺達は適当に歩き興味を持った本を手にとって椅子に座る読み始める。
俺が手にしたのは『子供でも分かるスキルについて』で凛が手にしたのは『魔法とはなんだろう』だ。
厚みはそこまでないが、その分本当に分かりやすくまとめられており、意外と面白そうだった。
凛も意外と興味深かったのか真剣な表情で読んでいる。
俺も集中して読むとするか。
「ふぅ、疲れた」
「お疲れ様、そろそろ戻る?」
「そうだな、っとこれは元の場所に戻しておけばいいのかな」
「あそこに書いてある」
「お、ほんとだ。にしても、日本語じゃないのに読めるってのは変な感じだよな」
「そうだね」
俺達は本を返却し図書館を出て部屋に戻り、何が書いてあったか話し合いメモにまとめた。
「んーと、こんな感じか」
・スキルは主に魔法、攻撃、防御、空間、収納、耐性、補助、探知、特殊の9つの系統に分かれている。
・スキルのlvは一種の基準を表しており使っている時間や密度によって変わる
・スキルの各系統には下位互換や上位互換があるものがある。例えば凛の空間収納は収納の最上級に当たる
・特殊とは8つに当てはまらないスキルで凛の魔王の証明が当てはまるのだろう
・魔法は基本属性の火、水、土、風、特殊属性の氷、雷、影、光、闇、回復の10属性になる
・魔法に決まった能力はなく自分が思う属性のイメージで魔法は決まり、発現すると同時に魔法の能力や使い方が頭に直接情報として流れてくる
・魔法を行使するのには魔力が必要で、消費魔力は魔法によって異なる
・魔法によっては無詠唱もあれば詠唱がる時も、また、特殊な動作で発動する場合もある
「んー、そうだね、こんな感じかな」
「魔力ってなんだろうな?」
「調べないとね」
「だな」
凛と今後の予定を話していると部屋がノックされた。
「どうぞ、お食事です」
そういって机に出されたのは、何かの肉と野菜が入ったスープだった。
「では、ごゆっくり」
そう言ってメイドは扉を閉めた。
「……いただこうか」
「そうだね」
俺と凛は手を合わせ目の前に出された料理を食べることにした。
食材は何か知らないが美味しかったことに変わりはなかった。不安はあったけど。
俺は扉の向こうにあった風呂から上がりベッドに腰を掛ける。そしてある一点を眺め続けた
眺め続けること数十分俺は意を決し、この部屋に入った時からずっと気になっていた鉄製の箱を開けてみることにした。
「おぉ」
「わぁ」
4つに分けられている箱の1番上を開けてみると冷気が溢れだし、その先に合ったのは飲み物だった。
それをドライヤーのようなもので髪を乾かしながらやってきた凛も、驚きの声を表す。
俺は容器に入っている飲み物のフタを開けるとプシュ~と何かが抜ける音がした。
「これって、うへ、やっぱり炭酸かよ」
「ほんとに!?」
俺はこの炭酸はあまり好きではない。というか、苦手だ。
しかし、凛は炭酸が大好きなので炭酸とわかった瞬間ものすごい勢いでとんできた。
「ほらよ」
「お風呂あがりはこれがいい」
俺は目をキラキラさせている凛をよそに、新しい飲み物を取り出しフタを開ける。今度は音がしないので炭酸ではないことを祈りつつ、口につけた。
「ん?オレンジジュース?いやでも、なんか違うな。まぁいっか」
飲んだジュースは柑橘系でどことなくオレンジジュースに似ているのだが少し違和感があった。違和感と言ってもオレンジジュースとしてということだけで美味しかった。
それぞれ、ジュースを飲み終え何故か洗面所に合った歯ブラシで歯を磨き、大きなベッドで2人、寄り添うように寝る。
そこに、やましい気持ちなど2人にはなく、あるのは懐かしさと安堵だけだった。
誤字脱字報告待っています