出会いのあと
ボコボコにされたシュウジは目覚めるとギルド支部にいた
シュウジは目が次に目が覚めたのは、ギルド支部のソファーの上だ。
明るい光がまず目に入ってきた。
「ん・・・ここは・・・?」
シュウジが疑問を口にすると答える声があった。
「おはよう。シュウジくん。痛みは無い?」
アリサだった。
その時シュウジは初めて自分のいる場所を悟った。
痛みは少し残っている。
だが、それより重要なことがシュウジにはあった。
「なんでここにいるの?」
「ん?倒れているところを私が拾ったの」
もしかすると、アリサさんは影を見ているのかもしれない。
黒い布をかぶったマリーを。
「アリサさんが運んでくれたの?」
「そうよ。私だって聖術師の端くれだから軽かったわ」
そういって紅茶をシュウジの前に差し出した。
「さぁそれを飲んだら寝なさいね。二階の空いている部屋なら好きに使っていいから。今日は遅いから帰るのは大変でしょ?」
それを聞いてシュウジは窓を見る。
窓は真っ暗な闇を覗かせていた。
「あとどれくらいで夜が明けるの?」
「そんなに寝てた訳じゃないから。まだしばらくは夜のままね」
「そう・・・」
あまり時間が経っていないのは救いだった。
シュウジには自分の頭を冷やす時間が欲しかった。
そう思いアリサの淹れた紅茶を啜る。
その時アリサが口を開いた。
「ねぇシュウジ君。なんであそこに倒れてたの?」
体が強張るのを感じた。
だが、その動揺をアリサに伝えないように、平常心を意識した。
「正直言って記憶が曖昧だよ。疲れてたかなぁ?」
「そう?駄目よ。自分の体はいたわらなきゃ」
「そうする」
そういってシュウジは苦笑いを浮かべた。
しかし内心は穏やかではいられなかった。
何故?どうしてマリーが?
という気持ちがまず起きた。
マリーは確かに少々人とは距離を持つ変わった人物であった。
だが、それが殺人現場に居合わせるような人物とは思えなかった。
一件目もマリーが殺したのか・・・?
マリーに限ってそんなことはないと理性では否定していた。
何かの間違いであると。
だが、頭の片隅にはどうしても払拭できない不安がある。
どうすればいい?
「どうすれば・・・」
そう無意識に呟いていた。
その呟きをアリサは聞いていた。
「どうしたの?」
シュウジはハッとした。
口に出していたのだ。
「なんでもないよ」
「そう・・・」
アリサは納得したような言葉を言った。
シュウジは落ち着くことを考える。
だが、すぐに考えてしまう。
マリーがどうしてあの場所にいたことを。
もし犯人だとして、どうすれば救えるのかと、そんなことまで考え出す。
頭が、ぐるぐる回ってどんどん不愉快になっていた。
なんでだ?
なんでこんなにイライラするんだ?
シュウジはグッと拳を握った。
渾身の力を拳にこめて、爪が自分の手に食い込むことも気付かずに。
どうして?
そんなの決まってる!!
俺が弱いからだ!!
弱くなかったらあの場所でマリーに質問できた。
捕らえる事だってできた。
だが、俺は弱い。
弱いから対等な立場にも立っていなかった!!
その考えが無性に心を蝕んだ。
「アリサさん。お茶ありがとう。もうねるよ」
「分かったわ。カップはそこに置いておいていいから。お休み」
「お休み」
シュウジはそういい2階に上がった。
階段は上ると廊下で接続されており、その廊下を歩くと左右に扉が並んでいる。
そのどれかを使うのだ。
使っている部屋には名前の書いてある札がある。
つまり札が無い部屋が遣っていい部屋ということになる。
「しまったな。俺札を持ってない」a
そう呟く。
だが頭の中はその呟きではなく、自分の弱さと愚かさを悔やむ心でいっぱいだった。
すぐにベットにもぐりこみたかった。
だから、札のかかっていない部屋の扉を開いて、一直線にベットにもぐりこんだ。
「クソ!!クソ!!」
シュウジの小さな足掻きが暗い部屋に広がった。
アリサはよほどの紅茶好きみたいです。
紅茶はトゥーニナに住み着いてからはまった趣味でアリサ曰くまだ日が浅いらしいです。
近所のおばちゃんが名手らしい。




